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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
5章

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蕎麦

「ただいまー」

「お帰りなさい」

「届けてきたよー」

「ありがとう」

「どうぞしたー!」


キボウはユリに木の実を渡してきた。

ユリの魔力を回復させた、あの木の実だ。


「お返しらしいよ。それ」

「私がもらって良いの?」

「ユリのー」

「どうもありがとう」


その木の実を受けとると、又、木の実を出してきた。

ありがとうと受けとると更にもう一つ。そしてキボウは合計10個出してきた。

ソウもおどろいていたが、全てユリのだとキボウが言った。


「ユリの全回復の手段がないんだから、ありがたく受け取っておきなよ」

「うん。ありがとう」


ソウは、キボウと一緒に、世界樹様のところに、おせち料理を届けに行ってきたのだ。

本来、明日行くべきかもしれないけれど、明日行けば、又、一月(ひとつき)帰ることができない可能性もあることを考慮し、キボウに相談した結果、31日のうちにキボウに届けてもらったのだ。

キボウは、すぐいく!と、新年にこだわらなかった。ソウがついていったのは、おせち料理を運ぶためだ。


「マシュマロできた?」

「できたわよ。普通のと、フレーバータイプと。でも、ゼラチン抜きはまだ考え中よ」

「難しそう?」

「そのまま食べるだけのものなら、アガーか葛粉かペクチンで作れそうだけど、ココアに入れるとなると、どれも溶けないと思うのよね」

「溶けるかどうかが焦点なら、そのまま食べるお菓子と、ホットココア用を別に考えたらどうだ?」

「!? その発想はなかったわ。ありがとう。ココア用には、メレンゲ菓子で良いわね!」


ユリは早速、メレンゲ菓子を仕込み、丸口金で丸く絞りだし、低温のオーブンで焼いて仕上げた。

焼成には時間がかかるので、その間にアガーを使って、そのまま食べる用のマシュマロも作った。


「さあ、あとはお蕎麦を。ソウは、お蕎麦に何があれば良い?」

「天ぷらか、お揚げが欲しいかな」

「油揚げ買いに行ってこようかしら」

「買い物なら行ってくるよ?」

「そう? なら、油揚げと、天ぷらにしてほしいものを買ってきてもらえる?」

「了解」


ソウが買い物に行ったので、ユリは、鰹出汁と昆布出汁の二種類を作って冷まし、日本蕎麦を茹で、鞄にしまった。


天ぷら鍋に油を張り、ボールに水と卵を溶き、小麦粉とベーキングパウダーを用意して、ソウの帰りを待った。


小麦粉にベーキングパウダーを混ぜ振るっていると、ソウが帰ってきた。


「お待たせー」

「お帰りなさーい」


ソウは、油揚げの他、鶏笹身と竹輪と大豆ミートを買ってきた。

ユリは、家に有るカボチャと蓮根と椎茸も用意し、先にお揚げを煮てから、天ぷらを始めた。


卵と水を溶いたものの中に氷を加え、ベーキングパウダーを混ぜた小麦粉を軽く溶き混ぜた。


「粉混ざりきらなくて良いの?」

「混ぜすぎない感じが、天ぷらが軽くできるのよ。ここで混ぜすぎると、衣が重くなるのよ」

「へぇー」


覗き込んだソウが、不思議そうに聞いてきた。

お店で天ぷらを出さないので、ユリが作るのをソウは見たことがなかったらしい。

以前、にんじんの葉を天ぷらにしたものを作ったとき、ソウは揚げる所は見なかったのだ。

かき揚げは混ぜてしまうので、少し作り方が違う。


先に野菜類を揚げ、次に大豆ミートの味付けしたものを揚げ、最後にとり天と竹輪を揚げた。

一度鞄にしまい、ユメとキボウを呼んできた。

まだ大分時間は早いが、ユメが早く寝る予定なので、夕飯を早めにしたのだ。


「年越し蕎麦を食べようと思います。温かい蕎麦か、天ざるか選べます」

「俺、天ざるが良い!」

「天ざる食べるにゃ」

「わかんなーい」

「全員天ざるにしましょう」


ユリは、竹製のミニザルに蕎麦を盛り付け、蕎麦用の冷たい汁と、天ぷら用の温かいだし汁を用意した。


「井桁というか、蒸籠というか、蕎麦用の簾の台がないので、竹のザルにいれました」


天ぷらは別盛りで皿に盛り付け、品数を同じにしたキボウ用も作った。


「さあ、食べましょう」

「キボー同じ?」

「キボウ君が食べられるように作ったわよ」

「キボーたべる!」


食べても良いのかキボウが確認してきた。ソウが、大豆ミートを買ってきてくれたので、鶏天と竹輪に似た形になるように、ユリが揚げたのだ。


「天ぷら、凄いにゃ!」

「あら? ユメちゃん、天ぷら食べたことなかった?」

「かき揚げだけにゃ」

「うわ、ユリの天ぷら、凄く旨い!」

「おいしー、おいしー」

「みんな、ありがと」


年越し蕎麦だから、メインは蕎麦のはずだけど、みんな天ぷらばかり食べていた。


「ユリ、キボウのは何なのにゃ?」

「大豆ミートといって、大豆の加工食品よ」

「見た目、お肉みたいにゃ」

「味や食感も、お肉みたいなのよ。食べてみたいなら有るわよ」

「食べてみるにゃ!」


ユリは全員に、少し小さめの大豆ミートの味つき天ぷらを追加した。


「知らなかったら、何かのお肉みたいにゃ」

「そうね。形状によって色々使えるのよ」


「ユリ、油揚げ使わなかったな」

「あとで、お稲荷さんにして置くから、夜、小腹が空いた時にでも食べたら良いわ」

「お稲荷さんか! ありがとう」


蕎麦が食べ終わると、ユメが寝ると言うまで、みんなでトランプで遊んだ。


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