章魚
今日は全部おにぎりだ。おかずに卵焼きと、唐揚げと、タコさんウインナーが入っている。
水筒を複数持ってきていて、ユメとキボウに渡した。
さすがに今日は外で食べるには寒いので、ご飯を食べても良い部屋を借りた。
「お弁当持ってこなかった」
「リラちゃんも一緒に食べたら良いわ。いっぱい有るから大丈夫よ」
「すみません、思い付きませんでした」
「朝、突然呼ばれたんだから、思い付いたほうが驚くわよ」
「ユリ、中身は何にゃ?」
「左から、ツナマヨ、梅干し、昆布の佃煮、焼き鮭、おかか、椎茸の佃煮ね」
「ユリ様、ホットドッグのえーと、ソーセージでしたっけ? これは、何で面白い形をしているんですか?」
「あー、タコさんウインナーね」
「タコサンウインナー?」
「こんな感じの赤い生物がいるのよ。それを真似たものね」
リラとキボウには全く伝わらなかったらしい。
だが、ユメは喜んでいたので、問題無しだ。
「ユリ、鮭取って」
「はい、どうぞ」
「キボー、どれー」
「キボウ君は、昆布の佃煮と、椎茸の佃煮と、卵焼きで良いかしら?」
「ありがとー」
「おにぎり小さいから全部食べてみるにゃ」
「私も全種類食べてみて良いですか?」
「リラちゃん、酸っぱいの平気? 梅干しは酸っぱいわよ」
「た、食べてみます」
3つ食べて、普通のおにぎり1個分くらいの小さなおにぎりなので、6種類 各10個の、60個用意してある。
「あれ?これ食べたこと有る?・・・あ!花梨花様が作られた、梅和えの味だ!」
「花梨花さん、料理作るのね」
ソウは2つずつ食べて12個、ユリは全部食べたあと佃煮を二つ残して10個、ユメは一つずつとツナマヨをもう一つの7個、リラは全種類食べたあと梅を除いた11個、キボウが佃煮を2つずつの4個食べた。
「デザートは、パイナップルと、ドラゴンフルーツと、バナナ、どれが良い?」
「ドラゴンフルーツってなんですか?」
「俺、パイン」
「パイナップルが良いにゃ」
「ピターヤー」
「ソウとユメちゃんがパイナップルで、私とキボウ君がドラゴンフルーツね。リラちゃんは両方食べる?」
「ありがとうございます」
ユリがパイナップルを先に切り、ソウとユメとリラに渡した。
次に赤いドラゴンフルーツを切ると、その色にリラが驚いていた。
「どうぞ、召し上がれ」
「うわ、何かシャリシャリして面白い! 凄く甘くて美味しい!」
さすがリラ、知らないドラゴンフルーツから食べた。
「凄く甘い果物なんですね!色が驚くけど、美味しい!」
「リラ、パイナップルも食べると良いにゃ」
「はーい。うわー、これも甘いですねー」
「リラ、驚かないのにゃ?」
「え?」
「ユメちゃん、リラちゃんは、普通のパイナップルを食べたことがないんじゃないかしら?」
「はい。皮がついているのは初めていただきました」
缶詰のパイナップルは、ユリが使っていたので、リラも食べたことがある。
ソウが工房の人に呼ばれていた。
「にゃーー。食べたことがなかったのにゃ。普通は、もっと酸っぱいのにゃ。これは、キボウの選んだものだから、特別美味しいのにゃ」
「そうだったんですね。おじいちゃんなら、生のパイナップルを食べたことがあるかもしれません」
「一つあげるわ。持って帰って家で食べてみると良いわよ。今切ったの見ていたわよね。普通に食べられる場所は、皮と中心以外だからね」
「食べられないのですか?」
「毒はないわ。固いのよ。育てるときに農薬を使っていないなら、皮を煮てシロップを作れるらしいけど、私は作ってみたことがないわ」
パイナップルは、家についてから渡すことになった。今渡されてもリラが困るだけである。
工房の人と話していたソウが戻ってきた。
「窯を見せてくれるらしいけど、見学するか?」
「見てみたいにゃ」
「私も見たことないから見てみたいわ」
「みるー、みるー」
「私もお願いします!」
工房の人の案内で、今、空の窯のなかを見せて貰った。
ユリ(150cm)は背が低いので困らなかったが、ソウ(175cm)やリラ(約170cm)は頭がぶつかってしまい、見学するのが大変そうだった。
「見学もしたし、そろそろ帰るか」
「カエンちゃん迎えにいかないとね」
「カエンが来るのにゃ?」
「魔力を上げるために、水木に泊まりに来る予定よ」
「俺がカエンを迎えに行ってくるよ」
「お願いします」
ソウが、工房の人に引き取りに来る日を聞いて、話がまとまったので、リラをつれて転移で帰ってきた。
「ユリ様、ご飯作りますか? お礼に私が作りましょうか?」
「まずは、リラちゃんに、パイナップルとドラゴンフルーツね。置いてきたら良いわ。ご飯、カエンちゃんが来てから決めましょう。何か持ってくるかもしれないからね」
「はーい。パイナップル置きに行ってきます」
章魚=タコ




