表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

323/690

改作

「あと残ってるのは、パウンドケーキとなにかしら?」

「お店の注文は落ち着いていますし、夕飯とパウンドケーキだけだと思います」

「意外とパウンドケーキが進まなかったわよね」

「人が来たりしましたしね」

「パウンドケーキ、作ってしまいましょう」

「はい」


リラと話していると、カエンが戻ってきた。


「ただいま戻りました」

「おかえりなさい。カエンちゃん、何時まで大丈夫なの?」

「ユリ御姉様、お店は18時までと伺っておりましたので、それまで大丈夫でございます」

「ソウに用事がなければ私が送るけど、それで良い?」

「はい。ありがとうございます」


リラはパウンドケーキの準備だけ終わらせると、ユリに言った。


「ユリ様、夕飯の準備はまだですよね? 私が作っても良いですか?」

「構わないけど、頼んで良いの?」

「はい!」

「では、お願いします」


そのままリラは何やら材料を揃え始めたので、ユリはカエンとパウンドケーキを作り始めた。


お店の方も売り切れが出始めた。


「ユリ様、ポテロンと、黒ごまムースが売り切れました」

「イリスさん、ありがとう。残りぎみなのは何?」

「ヨーグルトゼリーのプレーンが、ほぼ残っています」

「わかったわ、対処します」


プレーンのヨーグルトゼリーを下げてきてもらった。朝、50個有った物が、47個残っている。

リラが心配して覗きに来た。


「ユリ様、どうされるのですか?」

「ユメちゃんが、クロ猫ッカン作ってたときの猫のクッキー型、どこにあるかわかる?」

「懐かしいですね。わかりますので、持ってきます」


リラにクッキー型を持ってきてもらい、ユリはヨーグルトゼリーの表面に、浅く型を押し付けた。


「あまり良く見えませんね」

「ここに、メイプルシロップを」


表面に、メイプルシロップを流し入れると、押し付けたクッキー型の模様が浮かび上がった。


「うわー!面白いですね! メッセージも書けそうですね!」

「簡単な文字なら可能ね。これで売れるんじゃないかしら」

「この後、一番になくなりそうですね」


プレーンを7個ほど残し、40個はメイプルシロップをかけた。

出来上がったものをカエンが店に持っていくと、リラの予想通り、その場で全部売れたらしい。


「ユリ、今のは何にゃ!」

「ヨーグルトゼリーのプレーンが売れないって言うから、メイプルシロップをかけただけよ。猫の模様は、クッキー型でつけたのよ」

「もう無いのにゃ?」

「え、食べたかったの? なら、残したプレーン下げてくれば、取っておくわよ」

「ありがとにゃ!」


ユメは、プレーンを7つ全部下げてきた。


「ユリ様、作りますか?」

「食べるときに、ユメちゃんにつくってもらった方が良いと思うのよね」

「たしかにそうですね!」


するとイリスが、相談に来た。


「ユリ様、他に黒猫仕様のお菓子はないのかと、何人かのお客様から」

「えー、何が残ってる?」

「ティラミスが30くらい、他は、20以下です」

「ティラミス下げてきてもらえる?」

「かしこまりました」


ユリは少し厚い紙と、ハサミとセロハンテープを持ってきた。


「リラちゃん、これ、猫型に切ってもらえる?」

「クッキー型と、同じような感じで良いですか?」

「お任せします」


リラがフリーハンドで、ささっと切ってくれた。


「ありがとう!流石ねぇ」


ユリは、持ち手を猫型の少し厚い紙に張り付け、ティラミスの上に置き、回りに粉糖をかけた。


「うわー!猫が浮かび上がった!」


再びカエンが店に持っていくと、やはりその場で売り切れたらしい。ティラミスは、32個有ったので、2個は出さずに先ほどのヨーグルトゼリーと一緒にしまっておいた。


残りは、イチゴムース、桃のババロア、抹茶ムースだけになった。


「もっと残るかもしれないと思っていたんだけと、何も残らなそうね」

「クリスマスケーキと唐揚げは、残っていないんですか?」

「唐揚げは32個(15皿分)残ってるわ。作った数は同じくらいのはずだから、15個くらいあるんじゃないかしら?」


ユリは唐揚げの残りはわかるので、ケーキも同じくらいだろうと思っていた。

リラが確認に行くと、クリスマスケーキは残り4個だった。


「あれ?何でそんなにずれたのかしら?」

「あ! ユリ様、私たちはチューリップ唐揚げを食べたので、」

「あー!それよ! 引くのを忘れていたわ」

「夕飯に唐揚げも食べましょう」


閉店ギリギリに食べに来た客が、残っていたケーキを全て買っていき、生菓子は売り切れた。

最後にクリスマスケーキが2個残ったのは、ユリが鞄にしまった。


外の販売も、生菓子は早い段階で売り切れ、残りは、女神の慈愛・パウンドケーキと、時送り・世界樹様のクッキーだけになったらしく、レモンパウンドケーキは売り切れた。


「無事閉店したわ。カエンちゃん、送っていくから準備してもらえる?」

「はい」

「リラちゃん、夕飯任せたわね。ちょっと行ってくるわ」

「はーい。すぐ戻られますよね?」

「5分か10分ってところだと思うわ」

「ユリ御姉様、準備できました」


ユリはカエンの肩に手を置き、カエンの屋敷に転移した。


「カエンちゃん、チューリップ唐揚げいくついる?」

「え、良いのですか?」

「欲しかったんじゃないの?」

「休憩しましたので」

「それは構わないわ。それで、いくつ欲しい?」

「3つほどいただけますでしょうか?」

「え、3つで良いの? まだ30個以上あるから20個くらいあげるわよ?」

「では、12個お願いいたします」


ユリは皿をだし、その上にチューリップ唐揚げを12個出した。


「それと、今日のお手伝い分ね」


パウンドケーキと世界樹様のクッキーをいくつかとりだし、渡した。


「ありがとうございます」


コンコンコン。


「姉上、お帰りでしょうか?」

「タキビ、今帰ったわ」


「弟さん?」

「はい。入れても良いでしょうか?」

「どうぞ」


「タキビ、入って良いわよ」

「失礼します。あねう、え、えーと?」

「こちらは、ユリ御姉様です」

「はじめまして。タキビと申します」

「はじめまして。ユリ・ハナノです」

「ユリ御姉様、お時間大丈夫でございますか? もし可能でしたら、少しだけお待ちいただきたいのですが」

「10分くらいなら待ってます。時間がかかるなら、又後で来るわ」

「すぐですので、少しお待ちくださいませ」


カエンが退室してしまい、タキビと二人残された。


「タキビ君も、魔力あるの?」

「結界がなんとか張れますが、殆ど魔力がありません」

「結界が張れるなら立派だわ。よかったら今度カエンちゃんと一緒に遊びに来てね」

「良いのですか?」

「まったく魔力がないと酩酊してダメらしいけど、少しでもあれば来ても大丈夫よ?」

「あ、いえ、ソウ様が」

「ソウに何か言われたの?」

「僕は、嫌われていると」

「えー、なんで? 何かしたの?」

「特に覚えはありません」

「んー、大丈夫だと思うわよ?」

「兄上と呼ばせていただけませんでした」

「あー、義理の兄になるのよね」

「ぎりの兄?」

「法的な続柄ね。もしカエンちゃんがいなければ、ソウとは従兄弟(いとこ)になるでしょ?」

「はい」

「そういう意味だと思うわよ。ソウは初め、カエンちゃんのことも、妹とは認めないって言っていたくらいだからね」

「嫌われた訳じゃなかった・・・」

「ソウはソウで、この家と確執があったみたいだからね、今は大丈夫だと思うわよ」


カエンが戻ってきた。


「お待たせいたしました」

「はい」

「ユリ御姉様、こちら、クリスマスプレゼントでございます。朝、間に合いませんで、お手数ではございますが、お兄様の分と、ユメちゃんの分と、リラちゃんの分もお持ちいただけますでしょうか?」

「あら、ありがとう! 私は用意していなくてごめんなさい。パウンドケーキくらいしか持っていないわ」

「先ほどいただいたパウンドケーキで充分でございます」

「うふふ、なら、パウンドケーキを差し上げるわ」


ユリはパウンドケーキと、クッキーを2種類取り出した。


「ハッピークリスマス! では、またね」

「ありがとうございます」


ユリは転移で戻ってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ