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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
5章

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316/690

底上

「ユリ、メイプルからの簡単な謝罪があったにゃ」

「謝罪ってなあに?」

「部下が持ってきたにゃ」


ユメからメモを渡された。


◇ーーーーー◇

ユメ様

夏板の件でご迷惑をお掛けしたこと、大変申し訳ございません。明後日、ハナノ様がお見えになる前に、一言(ひとこと)お詫びをと思い至りました。

                 M.C. 

◇ーーーーー◇


「えー。こんなことでいちいち謝ってたら大変じゃない」

「そうだにゃ。ユリ、例えば結果的に恩師に迷惑かけたらどうするにゃ?」

「謝るわ」

「そういうことにゃ」

「特に迷惑とは感じていなくても?」

「そこは恩師側の度量や力量によるにゃ」

「一番穏便なのは、このまま受け入れたら良いのかしら?」

「そうだにゃ」


ユリは、ふと思った。


「ところでメイプルさんが、なにがしかの迷惑をかけたと思っていると言うことは、夏板がもう納品されたのかしら?」

「そうかもしれないにゃ」

「トロピカルさんは、相変わらず対応が早いのね。午前中に来たのは、最終確認だったのね」

「既存商品の高性能版は、案外作ってあったのかもしれないにゃ」

「成る程、あり得るわね」


「ユリ様! サンタイチゴ終わりました!」

「あ、ごめん、ほとんどリラちゃんが作ったわね」

「えへへ、これ、面白かったです。他にも何か作れないですか?」

「この国って、確かハート型なのよね?」

「長めのハート型にゃ」


ユリは苺を半分に切り、ヘタの辺りを三角に切り込んだ。


「はい。ハートイチゴよ」

「あ!お城に有った旗の形!」

「この国はこんな感じの形らしいわ」

「国の形!? 旗には名前はないんですか?」

calla lily(カラーリリー)ね」

「あれ?王族の方のお名前のカラーって、お花の名前ですか?」

「そうよ。リラちゃんすごいわね」

「リラ優秀なのにゃ」


割りと最近まで気がつかなかった王族が何人もいる。


そんなことを話していると、又訪問者があった。

トロピカル魔動力機器の店主だった。


「ハナノ様、お陰さまで、夏板を無事納品することができました。本当にありがとうございます」

「良かったわね。そうそう、昼頃来たコニファーさんにも言ったんだけど、そのうち国民の魔力値を底上げします。近い未来には、魔力をたくさん使うものも売れるようになると思いますよ」

「私が聞いてもよろしかったのですか?」

「もちろんです。同業者に噂として流しても良いですよ」

「はい。ありがとうございます。あと、午前中に伺ったものは、暖炉の代わりと考えてよろしいでしょうか?」

「その通りです。可能なら、安全対策も考えてみてください」


「はい。あの、昔考えたもので、木か竹の網で囲う熱くなる板を作りました。魔力値が大きすぎて製品化しなかったのですが、この考えでよろしいでしょうか?」

「はい。そのものですね! どのくらいの厚みで、いつできますか?」

「本体は、2cmくらいで、囲いの厚みを含めると5cmといったところです。試作品でしたら多少のサイズ違いで15個くらいございます。椅子の下に納めるサイズはこれからお作りします。35~60度くらいに温まり、火事にはなりません」

「使うのは早くても正月明けからなので、無理に急がなくて大丈夫です。試作品を出して良いならそれをください。お店の壁側に置きます。あと、製品としての正当額を請求してください」

「どうもありがとうございます。明日朝にお持ちいたします」


トロピカルの店主は、闘志を燃やした目をして帰っていった。

ユリが欲しかったパネルヒーターがすぐにできそうだ。

椅子の下に置くタイプができたら、馬車にも乗せれば馬車の足元も温かい。操縦席にも置くことにしようとユリは考えていた。


ユリがトロピカルの店主と話している間に、リラが食事の用意をしてくれた。

カエンを送って戻ってきたソウと、別の仕事が終わって顔を出したマーレイが揃ったので、皆で食事をし、解散した。


ユリは、鶏肉を漬け込み、明日の唐揚げの用意をしてから自分の部屋に戻った。

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