手羽
クッキーも出来上がり、明日の用意は全て終わったので、ユリはショートケーキを作り始めた。
「ユリ様、何を作るんですか?」
「クリスマスケーキよ」
「あー、ケーキとチキンを食べるんでしたっけ?」
「うふふ。そうね」
「チキンはどうするんですか?」
「鶏肉の用意はあるのよ。んー、唐揚げでも出しましょうか」
「唐揚げ!」
「明日、何人くらい来ると思う?」
「又しばらく休みなので、朝から並んで100人以上は来るでしょうね」
「あ、やっぱり?」
「回転率的に、座る人は最大で200、買って帰る人はその倍くらいですかね?」
「リラちゃん、明日お店出てくれる?」
「はい。明日作るのは当日調理分くらいですよね?」
「そうね。飲み物以外なら、唐揚げだけじゃないかしら?」
「飲み物出しながらお店に出ます」
「持ち帰りの人をさばくために、マーレイさんも大丈夫かしら?」
「年内最後の営業日なので、予定を空けていると思います」
ユリはシートスポンジを使って、苺と缶詰の桃を挟んだ生クリームのケーキを作った。
冷蔵庫で冷やし落ち着かせている間に飾りを作る。
苺はヘタ側を平らに切り、三角の頭側1/3の部分を切る。
大きめの丸口金で生クリームを切り目に絞り、切り取った苺を乗せる。
小さめの丸口金で、三角の先に小さな丸を絞る。
大きな丸口金で、肩から背負った袋を絞る。
チョコで顔を書いて、サンタイチゴの出来上がり。
「うわ、何か可愛い」
「サンタイチゴよ。赤い服を着た、サンタクロースと呼ばれる人が、プレゼントを子供の枕元に配ると言う、んー、伝説?」
「もしかして、これ200個作るんですか?」
「正解」
「うははー! 70個くらい頑張ります」
残り130個は、リラのなかで誰の担当なのだろう?
ユリは疑問に思ったが、リラ的には、ユリが100個くらい作って、30個を残りの皆で作る計算だ。
苺は、MとSの間くらいのサイズで、27~30粒ほど入っている。ジャム用ではないので、つぶれないようにパック入りを用意した。
「肩から背負ったプレゼントの袋は、ケーキに乗せてから絞ってね」
「ユリ御姉様、生クリームを分けているのはどうしてなのですか?」
途中まで泡立てた生クリームを半分分けたのを見たカエンが質問してきた。
「あら、休憩はもう良いの? 生クリームは絞り袋を通すだけでも泡立てたのと一緒で、だんだん固くなっちゃうからね。少しでも固そうだと思ったら、まだあまり泡立てていないクリームを混ぜると固さが戻せるのよ」
「そんな裏技が・・・」
全部均一に泡立ててしまい、飾りを絞る最後の方で、生クリームがボロボロになったことがあるカエンは、次回は取り分けて使おうと思っていた。
「苺の帽子の部分は、水平に切ってね」
リラが面白がってサンタ苺を作っていると、ユメが見に来た。
「何作ってるにゃ?」
「サンタイチゴです」
「リラ、サンタ知ってるのにゃ?」
「ユリ様が、子供の枕元にプレゼントを配る伝説の人と説明してくださいました!」
「ユリ、明日何か配るのにゃ?」
「ケーキと唐揚げを配ろうかと思ってるわ」
「何で唐揚げにゃ?」
「フライドチキンは、骨入りで食べる人が面倒かと思って」
「ターキーじゃないのにゃ?」
「私が子供の頃は、フライドチキンだったのよ」
「わたくしのところは、鶏モモ肉のソテーでございました」
「俺の家は、チューリップの唐揚げだったなぁ。ただいま」
「花にゃ?」
「ソウ、おかえりなさい。ユメちゃん、チューリップって言うのは、鶏手羽を加工して作る唐揚げの名前よ。見た目が花のチューリップみたいなのよ」
「ユリ、それ作ってにゃ!」
「私も食べてみたいです!」
「俺も久しぶりに食べたいなぁ」
「わたくしだけ食べられないではありませんか!」
「カエン、明日も来るか?」
「よろしくお願いします」
「カエンちゃん、お仕事は大丈夫なの?」
「明日の予定は早朝だけでございます。なんなら、お店のお手伝いもいたしますわ」
「ユリ、いつ作る?」
「いつが良いの? お昼ご飯?」
「お昼ご飯で、お願いいたします。夜は、さすがにタキビと一緒にとります」
「じゃあ、お店のは普通の唐揚げで、みんなの分は、チューリップを作るわね」
ユリは、カエンを送っていくソウに、鶏手羽肉を頼んだ。
「手羽先だっけ?」
「手羽元でも手羽中(手羽先)でもできるわ」
「へぇ。売ってる方を買ってくるよ」
「よろしくお願いしまーす」




