家族
ユリが朝起きると、既にカエンは居なかった。
ソウの能力が戻り次第連れて帰ったらしい。
「昨日はごめんな」
「私は構わないけど、大丈夫?」
「自力では来られないからな。俺がミスらない限り二度と来ないよ」
「そういう意味じゃなくて、ソウの気持ちは大丈夫なの?」
「・・・俺は・・・ユリと一緒にここにいたい」
「うん」
「ユリが嫌にならない限り、いや、好きじゃなくても一緒にいたい」
「ふふふ、私の自由はないのね。でも、私は嫌にならないわ」
「ユリ、ありがとう」
「どういたしまして。でもね、私の方がソウに感謝しているのよ。いつもありがとう。ソウ」
「ユリ!」
ソウにしっかりと抱きしめられた。
今日は近くて嬉しいな。何て思っていたら幼女のユメが暇そうにこっちを見ていた。
「あ、ユメちゃん」
「え?」
ソウが手を離し、ユメの方へ振り返る。
「もう居ないにゃ?」
「あ、ありがとうな、ユメ。もう帰ったよ」
「なんか食べるにゃ。お菓子が良いにゃ」
「はい。何にしましょう」
久しぶりに三人で食べる朝ご飯はとても美味しかった。
「あ、そういえば、明日、お菓子教えにいくことになりました。ソウとユメちゃんは時間あるの?」
「明日なら大丈夫だ。ダメでもどうにかする」
「一緒に行くにゃ!」
「二人とも、よろしくお願いします」
「おう!」
「はいにゃ!」
とっても気分が良いわ!
今なら空も飛べるかも。なんて、ふふふ。
昼ご飯も一緒に食べたし、美味しくて幸せで太っちゃうかも。ふふふ。
ランチもおやつも笑顔のままで楽勝だった。
18:00になり、本日の営業終了。
夕飯も三人で一緒に食べた。
あんまり嬉しくって、うっかり涙がこぼれてしまって、ソウを慌てさせてしまった。
数日はなるべく家にいるからと言われ、
ユメもしばらくは遠くに出掛けないと言っていた。
明日はお店もお休みなので、仕込みもないし、安心したら久しぶりに心の底からのんびりできた。
明日と言えば、そういえば何時に迎えが来るのかしら?
「ソウ、明日のお約束って、時間を決めなかったんだけど、何時に来るかしら?」
「あー時間を決めなかったなら、前回来た時間くらいじゃないか?」
「そうすると、14:00頃?」
「まあ、早くても9:00前には貴族は来ないよ。普通に起きれば間に合うと思うよ」
「そうなのね。ありがとう」