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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
5章

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本音

一時間ほど馬車は走り、グンジョーに着いた。

どうやら一度も来たことがないのはグランだけらしく、グランだけが妙にはしゃいでいた。


「リラ、リラは何度目なんだ?」

「何度・・・初めて来たのはユリ様に連れてきていただいたときで、5年前。次はウルトラマリンブルー侯爵様にご招待いただいたときに約4週間の一年前。そして今の3回目です」


グランの問いにリラが答えていた。


「あら、全国行脚(あんぎゃ)の最後だったの?」

「はい。例外はありましたが、割りと南の方から回りました」

「例外って?」

「パープル侯爵様のお屋敷のあとは、レッド公爵様のところに伺いまして、次は、ブルー公爵様でした。順番から言って、イエロー公爵様のところは怖いなと思っていましたら、王宮からお声がかかりまして、ハイドランジア王妃様が、イエロー領は行かなくて良い。とおっしゃって、イエロー公爵様が、もし嫌でなければ、王宮に料理人を預けるから、一緒に指導して欲しいと、お手紙をくださったので、王宮には他より長く、8週間くらい居りました。あとは、言われるままに移動したので、いまいち地理の把握ができていませんが、私が体を壊さないようにと、気候が違いすぎる移動をしないよう、ハイドランジア王妃様が手配してくださり、とても快適に過ごさせていただきました。領地は、恐らくほぼ全部回ったのだと思います」

「領地っていくつあるの?」

「36だと思うにゃ」

「35と王都だな」

「ひとつどこ行ったにゃ?」

「現在、世界樹の森は、どこの領地でもないんだよ」

「はい。王宮と、34箇所回らせていただきました」

「本当にご苦労様でした」

「楽しかったですよ。シィスルとマリーゴールドにも会えましたし」


リラの視線と一緒にシィスルとマリーゴールドの方をユリが振り向いた。


「ユ、ユリ様! お願いがございます! 週に1日でも良いので、勉強させてください!」

「私もお願い致します」


シィスルとマリーゴールドが、強行に出た。


「リラちゃんが困るでしょう?」

「いえ、リラさんからは許可を得て居ります!」

「そうなの?」


ユリは驚いてリラに尋ねた。


「願わくば、私もまだ勉強したいです。ユリ様の元に居たいです」

「(リラちゃんの)お店どうするのよ?」


「はい! 私考えました! ユリ様のお店は週4日営業なので、例えば、こんな感じです」


シィスルが紙を持ってきた。

左端が曜日で、名前は頭文字のみの省略らしい。


◇ーーーーー◇

 ユリ様のお店 休み   リラさんのお店 

M シ、         リ、マ

F リ、    シ、マ   

W       リ、   シ、マ

T マ、         リ、シ

G リ、    シ、マ   

E            全員

S       リ、   シ、マ

◇ーーーーー◇


「これだと、リラちゃんのお店にリラちゃんが居ない日が2日もあるわ」

「うちは、私がいなくても営業できます。二人は優秀なので、完全に任せられます。それよりも、ユリ様と一緒に仕事がしたいのです」


ユリは考え込んでしまった。そしてふと思い出した。


「あ、ユメちゃんが言っていたのは、この事?」

「そうだにゃ。私も来月から手伝えるかわからないにゃ。でも、一緒に居たいのにゃ」

「ユリ、少しだけ試してみたら良いじゃないか」


ユメだけでなく、ソウにまで言われた。


「わかったわ。正月明けから疲れない程度にお願いします」


そのあと、リラはイリスに怒られていたようだったが、マーレイとレギュムが取り成していた。

リラは全く堪えていない様子で、始終ニコニコしていて、イリスの方が諦めたようだった。


イリスがユリに謝りに来た。


「ユリ様、リラが我が儘を申しまして大変申し訳ございません」

「いえ、私はものすごく助かるのよ。でも、リラちゃんのお店は大変になっちゃうでしょ?」

「実を申しますと、リラは、ユリ様がお戻りになられたら、自分の店を閉めるつもりでいたようです。しかし、弟子を放り出すわけにもいかず、渋々営業を続ける判断をしたらしく、それでもどうしてもユリ様と一緒に仕事がしたいと、大分悩んだようでした」

「そうだったのね。私は、そんなリラちゃんに、何を返せるのかしら。やっぱり手伝わなければよかったと思われないように、私も頑張るわ」

「ありがとうございます」


立ち止まって話し込んでしまったため、結構な時間が過ぎた。


「17時前には出発していないと間に合わないので、16:40集合で、それまで自由時間とします」


別行動をするのは、レギュムとクララだけのようで、他のメンバーはユリたちについて来た。


花梨花と菊之助には戻ってきてから一度会ったが、その他の人たちとは女王になってからは初めてなのだ。

ユリは少し不安に思いながら、以前も行った選別場に顔を出した。


門を通り抜け、敷地内に入ると、人が整列していた。


「ユリ様、いらっしゃいませ!」

「ありがとう!」


笑顔で迎えてもらえた。堅い態度で頭を上げてもらえないかもしれないと少しビクビクしていたのだ。


「ユリ様、本日は何をご所望でございましょう?」

「干し柿と、有れば蜜柑(みかん)と、あと柔らかい柿と、花梨(かりん)有ります?」

「全てございます」

「えーと、みんなは何か買うの?」

「はい。私達は、注文済みなんです」

「そうなの!?」


ソウが、リラたちにピクニック計画を話した翌日の月曜日(つきのひ)に、いつもの注文を取りに来る予定日だった花梨花に、訪問の話をすでに伝えてあったらしく、今日は待ち構えていたらしい。


「ユリ様ー!」


3~4歳の子供を抱っこし、お腹の大きな女性が歩いてきた。


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