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相談

一月(ひとつき)以上前のこと。


ワンルームのユリの部屋のテレビでは、報道番組のキャスターが必死に訴えていた。


「地上の人口が爆発的に増え、いよいよ宇宙への旅立ちかと思われた、その同時期に、偶然発見された方法によって一般人でも異世界への転移ができるようになりました。

ただし、時限の波の影響で、安全に転移できる時間は限られ、約1か月後の3日間で希望者を転移させる必要があるのです。

これを逃すと次に安全に転移できるのは30年後とも50年後とも言われています。

転移先は複数有りますが、条件の良いものから先に埋まっていきます。

興味のあるかたはホームペー 」


カチカチ。

画面を切り替えホームページをひらく。


募集定員に空きがあるものを見ると、意外と集まらないのが職人や技術職のようで。

同じ場所へ行った全員が片寄った職業では開拓も文化も支障があるので、ある程度の職業が揃わないと出発が難しい。と書いてある。


募集しているのは?と募集欄を見る。


◇◇◇◇◇


Aコスモス 文明度±0

不足人員 なし 募集若干名(支援なし)


Bサンフラワー 文明度-10

不足人員 なし 募集なし


Cリコリス 文明度-30

不足人員 なし 募集なし


Dハイビスカス 文明度-50

不足人員 なし 募集若干名(支援なし)


Eストレリチア 文明度-100

不足人員 なし 募集若干名(支援なし)


Fブーゲンビリア 文明度-120

不足人員 料理人(支援あり)


Gアルストロメリア 文明度-200

不足人員 料理人(支援あり)


◇◇◇◇◇


「ねぇソウ?こういうのって、医師とかが不足するものじゃないの?」


椅子に座ったユリの後ろに立って、一緒にパソコン画面を見ていた幼馴染みのソウに疑問を投げた。


「むしろ医師の応募は最初に埋まったらしいよ。要は科学者で行きたい人は多いから」


なるほど、科学者なら医師免許を取ってでも参加するということなのね。

でも料理人は?


「そうなのね。でも料理人なんていっぱいいそうなのにねぇ?」


「自分の店がある人は希望しないし、そもそもこういう募集自体を知らないか、興味がないからしいよ」


そうか、確かにお店がある人は望まないわね。

画面を見ていると、ふと数字が気になった。


「なるほどねー。この、文明度ってなあに?」


画面を指挿し聞いてみる。


「現在の文明から見て、何年位前に相当するからしいよ」

「え、マイナス200って、・・・電気もガスも水道も無い世界?」

「そうだな」


そんな未開の地に行って生活できるの?

一般人が行ってなんとかなるの?

そういえば、どうして文明度なんてわかるのかしら?


「思ったんだけど、これ、文明度って誰が調べたの?」

「なんか、転移能力者っていつでも転移できるらしいよ」

「うわー。チート!」

「だから、転移能力者は、郵便屋さんをするんだって」

「え?」


ユリは今後の事をソウに相談している最中だった。

ここはユリが借りているワンルームで、ここに越してきたのは割りと最近だ。それまでは店の2階の住居に住んでいた。ソウはその頃からの幼馴染みなのだ。

店の権利関係で、詐欺まがいの金銭トラブルにあい、このまま地元にいるのも辛く、何処か他に行きたいと思っていたのだった。


「で、どうするの?」

「うーん、天涯孤独だし、特に引き継ぐ財産もないし、心機一転、料理人枠で行ってみようかと思ってるの」

「そうか。俺も一緒に行こうかな」


え?一緒に行ってくれるの?

一緒に行ってくれるなら嬉しいけど。

でもソウって料理できたかしら?募集は料理人枠だけよね?

少しおっかなびっくり聞いてみる。


「ソウ、仕事はどうするの?」

「もち、郵便屋さん」


んんん? 一瞬理解ができない。


「え!?・・・ソウって転移能力者だったの!?」

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