貴族
「刺身食べたいなぁ。寿司とか食べたいなぁ
茶碗蒸しとお吸い物セットで!
アイス食べたいなぁ。フルーツパフェも良いなぁ」
他に誰もいないので独り言劇場だった。
ソウもユメちゃんもどこ行ったのかなぁ?
今日のランチはカペッリーニに重曹入れて茹でて冷やし中華に・・・したら怒られるかなぁ?
常温冷やさない中華は嫌だなぁ。
冷たいものが食べたい!
さあ、アホな妄想は止めて仕事するかな。
今日のランチは当初の予定通り、ホワイトシチュー&パン40組とカレーライス40皿分、セットを付けると1000☆双方単品は500☆で。
セットは、ミニサラダ、ジュース、フルーツ盛りプリンを50組用意する。
作ってしまえば盛り付けるだけの簡単なお仕事です。
その作るのが大変なわけだが。
ほぼ材料が被るけど、別の鍋で煮込む。
シチューが鳥で、カレーは豚だ。
残りの材料は、玉葱、にんじん、ジャガイモ。
煮ている間にプリンを仕込み、窯で蒸し焼きにする。
できたプリンを冷まし、更に冷水を張ったバッドに並べ冷やす。
野菜を切って、サラダを用意する。
あまり冷えすぎていると面倒があるらしいのでジュース10リットルを冷蔵庫から出しておく。
とても無駄な作業に思える。が、しかたない。
炊飯器のスイッチをいれる。
冷えたプリンを小皿に出す。
もう一度プリンの行程繰り返し。
30個ずつ作ったので60個になる。
ホワイトソースをつくる。
2度目のプリンを冷ます。
プリン用のフルーツを用意する。
煮込んだ野菜が柔らかくなったので、鶏肉の方にホワイトソース、豚肉の方にカレールーを入れる。持ち込んだルーだ。
ご飯が炊き上がる。
もうひとつの炊飯器のスイッチをいれる。
そろそろ11:00、ドアの鍵を開けておく。
カランカランカラン
ドアベルが鳴る。
「今日のって、どっちのメニューでもセットになるの?」
「はい。お好きな方をセットにできます」
「シチュー2つと、カレー2つで、4つともセットで」
「はい。シチュー2つ、カレー2つ、セット4つですね。少々お待ち下さい」
今日はさっと出せる。
サラダ、ジュースをトレーにのせ、プリンにフルーツをのせ、シチュー&パンとカレーライスを盛り付ける。
「お待たせしました」
「うまそー」
カランカランカラン
ドアベルが鳴る。
お客さんが来、あれ?ソウ?
お仕事中なのかな?
「いらっしゃいませ」
「シチューとカレー1つずつ、両方セットで」
「シチューとカレー1つずつ、セット2つですね。少々お待ち下さい」
居ないと思ったら仕事だったのね。
わざわざ食べに来てくれるなんて、嬉しいな。
ソウはオレンジジュースはあまり好きじゃないからリンゴジュースに変えておこうかな。
「お待たせしました」
「ここがホシミさんお奨めの、癒しの店ですね。あれ?ホシミさんのとジュース違いますね?」
「料理が違うからだろ?」
「周りの方とも違いますよ。ふふふ」
「いいから、はやく食え」
「はいはい、さっさと食べますよ。あの方がハナノ様ですかね」
「・・・」
「あ、カレーライス美味しいですね。懐かしい味だ」
次の客が来ないのでホールにいたらうっかり色々聞こえてしまった。
同僚だろうか?
そのあとは客が来て話は聞こえなかったけど、食べ終わったその人はソウになにか言うと先に出ていった。
「ユリ、ごめんな。緊急呼び出しで連絡する間もなかった」
「ソウが無事なら良いよ」
「明日も帰れないかもしれないけど、なるべく早く終わらせてくるから」
「うん、わかった。気を付けてね」
ソウが出ていくと入れ替わるように昨日の若鮎だだっ子の人が来た。
「ランチ食べに来ました」
「ありがとうございます。お菓子もできてますよ20個です」
「おお!ランチ食べたら一緒に支払います。シチューセットで」
「シチューセットですね。少々お待ち下さい」
食べ終わったその人は11000☆差し出してきた。
4000☆請求するつもりだったのに、まさかの10000☆だ。
「おやつ時間の価格は席を使ってお茶代込で500☆なので、20個で10000☆は貰いすぎなのですが」
「いえいえ、私の為にわざわざ作ってくださったのですからそのままお納めください。むしろ独り占めで安いくらいです」
「そうですか。ではありがとうございます」
さすがの貴族様だったよ。
だだっ子だなんて思ってごめんなさい。
「又来ます」
「ありがとうございます」
6000☆請求したら怒られるかも何て考えていたのに、まさかの10000☆になった。
外おやつでも豪華にするかな。
今日の外おやつの予定はプリンだ。
まだランチ終わらないけどね。
そろそろプリン作るかな。
お店の今日のおすすめおやつはクレープシュゼットの予定。
14:00になり、残ったのはカレーライスだけだった。
先にセットがなくなり、プリンだけで良いからと、プラス200☆で10個とも出してしまった。
カレーライスを食べながら冷やしたプリンの温度を確かめ水を変える。
私の分はともかく、ユメの分に1こ取っておこう。




