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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
1章

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懇願

カランカランカラン ドアベルが鳴る。


「あのー、すみません」


14:10頃、お昼ご飯を食べていると見かけない女性が訪ねてきた。

今まで一度も見かけなかった高貴そうな女性だ。

髪を高く結い上げ、質素なデザインながらも高級そうな生地の服、歩き回るのには向かなそうな華奢な靴。


「今休憩時間なんですが、何かご用ですか?」

「大変失礼だとは思いますが、そのまま召し上がりながらお話だけ聞いていただけませんか?」

「あなたがよければ私は構いませんよ?」

「お願いします」


私はサンドイッチをモグモグしながら話を聞いた。


どうやらお菓子の作り方を教えてほしいというものだった。

この彼女は代表で来たが、希望者は数人いるらしい。

各人が、夫や父親に話を通してほしいと頼んでみたが、どうも上手くいかないので直接頼みに来たという事を情熱的に話していた。


ゆっくりしていると鉢合わせしそうなので。と、言って いそいそと帰っていった。

返事を聞きに、又来るそうだ。

そういえば、名前も聞かなかった。


15:00

喫茶の営業が始まった。

この中の誰かの奥さんかお嬢さんかなのだろう。


あ、外のお菓子出してない!


急いで厨房側から外に出てお茶とお菓子を補給すると、今到着したらしい常連さんと目があってしまった。


苦笑するようなしぐさをしたが、そのまま何も言わずに店に入っていった。


誰かが咎められたりしないならまあ良いか。


急いで店に戻り、何もなかったと言わんばかりに「いらっしゃいませー!」と声をだした。


珍しくカウンターにユメが丸まって寝ているようだった。

私がいない間、店番をしてくれたのだろう。


特に何か聞かれることなく順調に店の閉店時間になり、ホットサンドを持ち帰る客が最後だった。


夕飯時にソウに相談してみた。


「今日ね、たぶん貴族の女性が来て、お菓子作りを教えてほしいって」

「教えるの?」

「教えるのはまあ、構わないけど、実質無理だよね」

「うん、器具的にね」

「企業秘密なので、って断ったら良いかなぁ?」

「まあ、ここが使えないってだけで、石窯使いこなしてるんだから教えに行く分には可能なんじゃないの?」

「あー、今のところお土産お菓子は石窯で作るもののみだったかな?」



「あ、そうだ、ドライフルーツってここで調達できるの?」

「できると思うぞ、マーレイに聞くか?」

「困った時のマーレイさん頼み。ふふふ」


「ココア、白玉粉、きな粉、水飴、グラニュー糖、上白糖、黒糖、みりんは?」

「きな粉、って何でできてるんだ?」

「きな粉は炒り大豆の粉末だよ。昔は臼で挽いたんだって」

「へえ。きな粉は作れそうだな。他は調べてくる」

「お願いします」

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