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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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202/689

見学

「おはようございます!」

「おはようございます!!」

「え!?」


ユリが厨房で用意をしていると、リラが来た。

なんとイリスもいる。


「おはよう。えーと、まだ8:30だけど?」

「お母さんが早く行きたいって、掃除も片付けも早くから起きて終わらせたみたいで、ごはん食べ終わったら連れてこられました」

「イリスさんって方向音痴?」

「違います」

「なら、なぜリラちゃんと一緒に、というか、リラちゃんの出勤時間としても早すぎるわ」

「絶対に邪魔しませんので、見学させてください!」


「来てしまったものはしょうがないわね。適当に見学してください」

「ありがとうございます!」「ありがとうございます!」


「あ、リラちゃん、イリスさんにノート1冊渡して、好きに使ってもらってちょうだい」

「はい!」


ユリが準備等している間、リラはイリスに、各所を回り説明をしていた。

ユリが今日のメニューを書き、イーゼルにのせると早速リラに質問しているようだった。


あれ?これって、新人研修?リラちゃんに割り増し料金出した方が良いかしら?

ユリは少し悩みながら、とりあえず、シートスポンジで作ったショートケーキをカットするのだった。

前回のティラミスで、足りなくて慌てて切ったことを踏まえ、とりあえず全てカットし、切った面が乾かないように、オーブンシートを細く切って巻いた。

ココットに切った耳をいれ、少しフルーツを足した。

缶詰の桃と、キウイフルーツだ。

冬箱を充填し、32個詰め込み、入らなかった分は冷蔵庫に入れた。


「リラちゃん、イリスさん、仕事の前にお茶しましょう」

「はい!」

「え!」

「今切ったケーキ食べませんか?」

「はい!食べたいです!!」


「お母さん、温かいお茶がよかったら自分で入れてね」

「あ!これ、うちにもあったお湯を作る魔法の道具!」


魔法の道具・・・。確かに魔法の道具ね。ふふふ。


「いえいえ、昨日いただいた冷たいお茶が良いです!不思議な味で美味しかったです」

「あの冷たいお茶は、麦茶です。ちなみに熱いお茶は、ほうじ茶です。メニューに紅茶もありますが、特に言われなければ、そのヤカンのほうじ茶を出します」


「実家にもなかった不思議道具が家に有って、昨日は驚きました。お湯があんなに簡単に作れるなんて、凄いですね」

「イリスさんも使えますよ?」

「えっ!リラだけじゃないんですか?」

「私は詳しくはないですが、イリスさんの病気は、簡単に言えば、魔力が詰まっていたらしいです。なので、魔力があるはずですよ。えーと、たしか菖蒲の外国語がイリスだったはず」

「私の名前も、リラの名前も、息子の名前も、先祖代々の名付けからつけたんです。なら、お父様や息子も魔力があるのでしょうか?」

「レギュムさん?調べておきます。息子さんの名前はなんというのですか?」

「グランです」

「グランはドングリなので魔力があると思います。外国語はソウの方が詳しいので、レギュムさんの名前は聞いておきますね」

「お父さん以外みんな魔力持ちだった!」


リラが驚いて声をあげていた。


ショートケーキは色味が残念だが、味は好評で、「本当はイチゴを使うのよ」とユリが言うと、リラが「イチゴなら赤が映えますね!」と、納得していた。


「おはようにゃ。何でイリスが居るにゃ!」

「ユメちゃん、おはようございます。見学です」

「ユメちゃん、おはようございます。お母さんついてきちゃいました」

「おはよう。ユメちゃん、ケーキ食べる?」

「ユリ、ありがとにゃ」


ユメは複雑そうな顔をしたあと、ユリが差し出したケーキを受け取った。


「リラちゃん、シーザーサラダドレッシング240人前お願いします。9:30からで大丈夫よ」

「はい!」

「あと、イリスさんに、エプロンの生地選んでもらって」

「はい!」


「何すれば良いにゃ?」

「ユメちゃん、もう始めるの?」

「起きてるから仕事するのにゃ」

「ユメちゃんって、ワーカーホリック?」

「仕事中毒にゃ? ユリよりは仕事してないにゃ!」


「ワーカーホリックって、仕事中毒って意味なんですか?」

「まあ、そうね」

Sの日(おひさまのひ)にイクラを食べに来た人が、『ハナノさんって、ワーカーホリック?』って言っていたんですけど、意味がわからなくて」

「そうにゃ、仕事中毒は、ユリのほうにゃ」

「私は常日頃休みたいと思ってるけど、仕事が多すぎて終わらないから、責任をもって仕事しているだけよー」

「多すぎる仕事に困ったとき、仕事を減らさず、仕事をする人を増やす辺りが、(れっき)としたワーカーホリックにゃ!」

「ガーン・・・」


「ユリは、私やリラにしっかり休めといつも言うけど、本当に休んでほしかったら、まずユリがしっかり休むべきにゃ!」


「だから、休めるように給仕の人を雇いたいって・・・今ですら、食べに来た人全員には提供できていないのに、仕事を減らすのは無理があると言うか・・・」

「ユリの理想は何人で仕事するのにゃ?」

「厨房で3人、店に2~3人」

「もしその人数が揃ったらどうなるにゃ?」

「もう少し早く開店して・・・あ!」

「ワーカーホリックは、ユリにゃ」

「うー・・・」


「ユリ様って、素晴らしい経営者なんですね。使用人より働く主人なんて、滅多にいませんし、こんなにも素晴らしい職場は他にありませんね」


「こんにちはー・・・イリス!何でこんな時間から居るんだ?」

「あ、お父さん。お母さん早く来たいって、ついてきちゃったの」

「イリス、ユリ・ハナノ様にご迷惑をお掛けしないでくれ」

「はい。ごめんなさい」

「あ、マーレイさん、イリスさんは迷惑かけたりしていませんよ。あと、今言うのもなんですけど、フルネームだとめんどくさいと思うので、ハナノで結構ですよ」

「かしこまりました。それではハナノ様、今日の仕入れの確認お願い致します」


マーレイが持ってきたものを確認し、急遽必要になったものや、週明けの変更などを伝えると、マーレイが言い出した。


「ハナノ様、もし可能でしたら、何かお手伝いはございませんでしょうか?」

「はい。でしたら、適当に厨房で補助などお願いします」


イリスの事が心配らしく、マーレイが仕事を申し出た。


「ユリ、何したら良いにゃ?」

「クロ猫ッカンと黒猫クッキー作れる?」

「無理だったら言うにゃ」

「お願いしまーす」


ユリはパイ類を焼きながら、折りパイの仕上げを折っていた。

マーレイはとりあえず、ユメの補助をしてくれるらしい。

リラの方を見ると、ミキサーを覗き込んだイリスをリラが注意していた。


「お母さん、じっとしてて」

「はい。これも魔力で動くの?」

「これはユリ様が、デンキって言ってたけど、デンキが何かはわかんない」

「今作っているのはなあに?」

「これはとりあえずマヨネーズ16倍だよ」

「ユリ様がおっしゃっていた、シーザーサラダドレッシングというのはいつ作るの?」

「今作ってるよ?」

「え?・・・これはマヨネーズよね?」

「そうだよ」


その後リラが笑いながらドレッシングの説明をしていた。


「マヨネーズ、凄いのね!」

「違うよ、ユリ様が凄いの。他のドレッシングもマヨネーズ使うよ」


パイ類が焼き上がったユリは、さつま芋を大量に釜に入れていた。

栗の渋皮煮が無くなったので、スイートポテトを復活させるためだ。


「さて、朝の準備は終わったので、ランチの仕込みをしますか。リラちゃん、ドレッシング終わったらサラダ用の野菜お願いします」

「はい!」

「ユメちゃん、どこまで終わった?」

「クロッカンと、黒猫クッキーが途中にゃ」

「黒猫クッキー終わらせたら、こちら手伝ってください」

「わかったにゃ」


終わったクロ猫ッカンを、マーレイが冷蔵庫にしまっていた。天板に乗った黒猫クッキーをどうしたら良いかわからないらしく、悩んでいた。


「マーレイさん、黒猫クッキーもそのまま冷蔵庫にお願いします」


ユリは鳥モモ肉を細かく切り、ミックスベジタブルと一緒に炒めた。

ユメが黒猫クッキーを終わったと来たので、鳥モモ肉23枚を細かく切ってもらい、マーレイには玉ねぎ23個を薄切りにしてもらった。

ユリはミックスベジタブルにケチャップを入れ、水分を飛ばすように炒めた。


「ユメちゃん、おわん6個に、卵3個ずつ割り入れてください。

リラちゃん、手が空いたらリラの華おねがいします。

マーレイさん、トマト缶12缶開けてもらえますか?」


ユリはユメとマーレイに切ってもらった材料と、トマト缶を使って、バターチキンカレーを仕込んだ。


「マーレイさんは、これを食べて少し休憩してください」


ユリはマーレイにショートケーキを渡した。

場所を覚えたのか、イリスが冷茶を持ってきた。


「他のケーキもあるから今食べちゃった方が良いわよ」

「はい。ありがとうございます」


「ユメちゃんも少し休憩してね」


ユリは炊き上がったごはんの1/3に先ほど作ったミックスベジタブルの1/4を混ぜた。

次の米をもうひとつの炊飯器にセットし、炊飯を開始した。


「ランチ、始まるわよ! リラちゃん、ユメちゃん、イリスさんの補助をしてね」

「はい!」「任せるのにゃ!」

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