再販
早朝のパウンドケーキも数が落ち着いてきて、作るのが少し楽になった。
ソウと二人で朝ご飯を食べていると、ユメが起きてきた。
「おはようにゃ!」
「おはようユメちゃん、今日も早いわねー」
「おはようユメ。どこかでかけるのか?」
「お店手伝うにゃ!」
「ありがとう。でも、あまり無理しないでね?」
「無理してないにゃ!」
「そう?ならありがたくお願いするわ」
ユメは朝ご飯は要らないと言い、後でパウンドケーキを食べると言っていた。
ユリは厨房に戻り、パウンドケーキを釜から出し、うずらの卵と玉ねぎのクシ切りに串うちを始めた。
「ユリもう仕事してるのにゃ!」
「ユメちゃんはもっと遅くからで良いのよ」
「せっかく起きたから手伝うにゃ!」
「ありがとう」
ユメが手伝いに来て、うずらの玉子を任せ、豚ロース塊をカットした。
タルタルソース用の茹で玉子を作り、玉ねぎを切っているとリラが来た。
「おはようございます。あ!ユメちゃんが居る!」
「リラおはようにゃ」
「リラちゃん、おはよう」
「調整するので入って良いですか?」
「ちゃんと休むのよ?」
「はーい。マヨネーズから行きますか?」
「お願いするわ」
慣れたもので、てきぱきとマヨネーズを作り始めた。
「ユリ、玉子刺したにゃ。ピクルス切るにゃ?」
「ユメちゃん凄いわ!お願いできる?」
「任せるのにゃ!」
ユリは今日使うパイ類を焼きながら、キャベツをたくさん切った。
タルタルソースが出来上がったリラから聞かれた。
「マヨネーズもう1回ですよね?今度は卵何個分ですか?」
「18個で回せる?」
「大丈夫だと思います。ユリ様、タルタルソースは売らなくて良いんですか?」
「え、言われるかしら?」
「確実に言われると思います」
「ドレッシング瓶に入らないけど・・・」
「大きいココットに入れて売れば良いと思います」
「なら、少し作りましょうか。卵24個で回してください」
カレーを仕込み、ユメが手伝いに来たので、野菜を切ってもらった。
ニンジンを細かく千切りし、切ったキャベツと合えて軽く塩をした。
「コーン開けるのにゃ?」
「ありがとう!網で水分切ってください」
ユメが、缶詰コーンの水切りをしてくれた。
塩をした野菜の水気をしっかり切り、ボールに入れた。
コールスロー用のドレッシングを作り、キャベツとニンジンとコーンを合えた。
大きいココット90個に分け、冷蔵庫にしまった。
衣をつける用意を始め、3人で一斉に衣付けをし、終わらせた。
少し時間が余ったので、今日のケーキを提供してお茶にしよう。
「なんか不思議なケーキですね」
「ココットじゃないのにゃ?」
「すくうように切り分けるのが本格的らしいわよ」
「あれ?これ、お酒入ってますか?」
「あ、入っているわね。でも少しよ?」
ユリは切り落とした耳をココットに入れていた。
ココアをかけてから3×5cm位に切り、皿に乗せたものを80個作り、耳を切り落としていれたココットにはコーヒーシロップを追加し、ココアをかけ直し、そのまま魔力を充填した冬箱に入れた。
「どうしてココットの方だけシロップをしたんですか?」
「端はどうしても乾いちゃうからね」
「そのココットの分は、外の人に出すんですよね? お酒のシロップを足して大丈夫なんですか?」
「ラムレーズンのアイスクリームよりも少ないアルコールだから、大丈夫だと思うわ」
「ユリ様、さっき作っていたサラダのドレッシングは教えてもらえますか?」
「あー、はい。マヨネーズ1620g、酢675ml、砂糖270g、塩13g、胡椒15gよ。後で、家庭用の数字で渡すわ」
「ありがとうございます」
「ユリ、どうして今日はドレッシングかけないにゃ?」
「コールスローって、ああ言うものなのよ。最初から合えて提供されるの」
ドアの外に人影が見えた。
「ボーンリーフです!」
「お待ちしてました」
「外から納品させてもらえますか?」
「はい、お願いします」
「見てくるにゃ」
「ユメちゃん、お願いします」
ユメが立ち会ってくれるらしい。内倉庫を外から入れるように開け、納品してもらった。
1050持ってきたらしい。
「あと10分弱しかありませんが、ケーキ食べていきますか?」
「急いで食べます!ありがとうございます!」
リラが、ティラミスを、ユメが冷茶を持ってきてくれた。
ボーンリーフの3人は、急いでティラミスを食べたあと、面白いことを言った。
「このままのこり、今度は自力でランチをいただいていきます!」
「え、それなら、あとからケーキを出しましたのに」
「いえ、提供されても、ケーキを先に食べたと思います」
「そうですか。うふふ。ランチは何にしますか?そろそろオープンです」
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おすすめランチ
カレーライス 500☆(限定45)
カツカレー用トンカツ単品 350☆(限定45)
ミックスフライ定食 1000☆(限定45)
(鮭+タルタルソース、玉葱、鶉の卵、茄子、南瓜)
コールスローサラダ 350☆(限定90)
デザートセット プラス500☆(限定90)
ティラミス(柔らかチーズケーキ)、お茶又は冷茶
パイ
フルーツパイ(持ち帰れます) 300☆(限定90)
クロ猫ッカン(持ち帰れます) 250☆(限定90)
冷茶 200☆
お茶(注文した方のみおかわり自由) 200☆
フルセット(サラダ、ケーキ、パイ1つ、お茶類)
カレー 1500☆
ミックスフライ 2000☆
フルフルセット(サラダ、ケーキ、パイ双方、黒猫クッキー、お茶類)
カレー 2000☆
ミックスフライ 2500☆
スペシャルセット 3500☆
(カレーライス、トンカツ、ミックスフライ、サラダ、ケーキ、パイ双方、黒猫クッキー、リラの華、お茶類)
お持ち帰り専用
凍結グラタン(1人前) 600☆
凍結ミニミニグラタン(1/4人前) 200☆
(ハム、コーン、ブロッコリー、マカロニ)
グラタン&ドリアの持ち帰りについて。
冬季以外の販売は、冬箱か真冬箱をお持ち方に限ります。
解凍し、釜で焼いてからお召し上がりください。
※器返却スタンプ始めました!
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ボーンリーフの3人を含む、12人がミックスフライ、3人がカツカレーで、全員がフルフルセットだった。
全員揚げ物があるので、先にサラダやパイなどを出してもらい、リラにも揚げ物を手伝ってもらった。
加減が難しくない、うずらの卵と、なす、カボチャを、リラに任せ、ユリは、豚カツと、鮭フライと、玉ねぎフライを担当した。
まずは一番時間がかかる玉ねぎフライを油に入れた。
「衣の色だけで出来上がりを確認して大丈夫なものだけ任せたから、やけどだけ注意してね」
「はい!」
ユリは豚カツを先に揚げ、鮭を油に入れてから豚カツをカットし、皿に乗せた。
ユメがカレーライスを作っていてくれたので、豚カツと一緒に持っていってもらった。
鮭と玉ねぎフライが上がる前に、リラが、ウズラ串とカボチャと茄子を油から上げた。
タルタルソースを添え、すべて皿に揃え、全員で、店に運んだ。
「どう?揚げ物できそう?」
「はい!頑張れそうです」
「次はまとめてこないから鮭揚げてみる?」
「はい!」
ユメが店から戻ってきた。
「ユリ、タルタルソースおかわりって言ってるにゃ」
「いつもケーキに使う小さい方のココットに入れて200☆でも良いか聞いてくれる?」
「わかったにゃ」
すぐにユメは戻ってきた。
「5個、作ってにゃ」
「持ち帰りはおやつ時間に、大きいココットで1000☆だからね」
「言っておくにゃ」
ユリはココットにタルタルソースを入れて、ユメに渡した。
「ランチの内に足りなくなりそうですね」
「空き時間に、玉ねぎとピクルス切りましょう」
「はい!玉子は?あ、茹でたの有るんですね」
ユリが玉ねぎとパセリを刻み、リラがピクルスと茹で玉子を刻んだ。
客が入れ替わり、ユメだけでは注文とりが大変なので、リラも店に行った。
そうして順調に売れ、ミックスフライが先に売り切れ、カレーの残り7、豚カツの残り15、サラダの残り15で、ミックスフライで豚カツも食べると言い出す人や、スペシャルセットの客はいなかったようだ。
最後の方で、ティラミスが足りなくなり、ユリが大慌てでカットした。
足りなかったのは、実に1個である。
13:40、全ての注文を出し終わり、残りのティラミスをカットし、端をココットに入れ、朝と同じように作った。
40個できたので、冬箱に入るだけ入れて、残りはあとで足そうと冷蔵庫に入れた。
リラはできているタルタルソースを、重さをはかりながら大きいココットに入れていた。
「リラちゃん、それ終わったらコールスロードレッシングもお願い」
「はい!」
食器を下げながらユメが伝えてきた。
「お客全員帰ったにゃ」
「はーい。片付けします」
ドレッシングはリラに任せ、ユリも食器を下げたり洗ったりして片付けた。
「お昼ご飯ですが、カレー、カツカレー、ミックスフライ、どれ食べたい?」
「ミックスフライが良いです!」
「フライ食べるにゃ!」
「昨日も食べたけど良いの?」
「はい!美味しいので問題ないです!」
「玉子串食べるのにゃ!」
倉庫側からマーレイが来た。
「こんにちは」
「あ、マーレイさん。カレー、カツカレー、ミックスフライ、どれ食べます?」
「ミックスフライか、カツカレーが食べたいです」
「なら、全員ミックスフライにしましょう!」
店側からソウが帰って来た。
「ただいまー」
「お帰り。ソウ、ミックスフライで良い?」
「うん!」
ソウは、ユリが作るものなら何でも良いのである。三つ葉以外ではあるが。