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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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百合

「ユリ様、残っている普通のさつま芋と、じゃがいもはどうしますか?」

「外倉庫のカボチャがある場所に一緒に置いておいてください」

「はーい」

「ユリ、裏ごしたのはどうするにゃ?」

「明日加工するわ。ボールのままラップして冷蔵庫にいれれば良いかしらね」


「ユリ様、しまいました!あとは何かありますか?」

「リラちゃん、ありがたいけどね? 休まなくて良いの?」

「裏ごしも栗剥きも見本しかやってないですし、疲れていません!」

「マーレイさんは迎えに来るの? 一人で帰るの?」

「たぶん迎えに来ると思います」

「なら、ご飯食べていくと良いわ。帰ってから作るのも大変でしょう」

「ありがとうございます!」


「イクラ作るけど、見る?」

「はい!」

「手伝うにゃ!」


ユリはイクラ用にお湯を沸かし、塩をいれ、筋子をほぐした。

ユメが細々と手伝ってくれた。


「うわー!すごい!塊がイクラになった!」


しかし、ユリが水を替える度に白くなっていくイクラを見てリラが、あれ?あれ?と焦っていた。


午前中に作っておいたタレを持ってきて、しっかり水を切ったイクラをなかにいれた。

さっとまぜると鮮やかな色に変わり、美味しそうになった。


「又綺麗になったー!」

「これを1日以上漬けると、食べたのと同じイクラになるわ。明日出来上がってから分けるわね」

「ありがとうございます!お父さんに食べさせたいです」

「にゃ!」

「え? マーレイさん、食べられそう?」

「ユリ様に貰ったと言えば食べると思います!」

「いや、そんな強制は止めて! 本人が食べたいなら良いけど、無理にすすめたらダメよ?」

「はーい」


ユリはご飯を炊いて、3人で鮭のホイル焼きを用意した。

アルミホイルを5枚用意して、ユリが3人前作り、リラとユメには好きに作らせた。

好きな野菜を上に入れてねと言ったら、リラはパプリカを入れていたが、ユメはうっかり手を出しかけてから避けていた。


「オーブンで焼けば良いのだけれど、今日は火をいれていないので、フライパンで焼きます」

「いつ焼くにゃ?」

「そんなに時間かからないから、みんなが来てからにしようと思います」

「わかったにゃ」

「他に何か作りましょうか」

「ユリ様!ずっと前に、家まで来て「お弁当の残り」と言っていたおかずの、卵を焼いたみたいな料理、あれ教えてください!」


初めてのお出掛けで、湖に行った時である。


「厚焼き玉子かしら?」

「卵だけに見えるけど、柔らかくて、じゅわっと美味しい汁がこぼれる味でした!」

「だし巻き玉子ね。今さらだけど、あれにも魚のダシが入っているわ」

「鮭ですか?」

「海の魚で、(カツオ)という魚を加工したものよ」


ユメが持ってきてくれた。


「ユリ、鰹節と昆布持ってきたにゃ」

「ユメちゃん、ありがとう!」

「鰹を加工して乾かして削ったものよ」

「木のくずみたいですね」

「こっちは昆布、海草よ」

「カイソウ?」

「海で育つ草ね」


ユリは昆布と鰹節でダシをとり、リラにだし巻き玉子を教えた。


「リラ、迎えに来たよ。帰ろうか」


マーレイがリラを迎えに来た。

リラはだし巻き玉子を作っていて振り向けない。

ユリは水を少し張ったフライパンに蓋をして火をつけながら答えた。


「あ、マーレイさん、用意したので、ご飯食べて行って下さい」

「ありがとうございます。リラは何をしているのでしょうか?」

「だし巻き玉子と言う玉子焼きを練習しています」

「おとうさん!もう少しで出来るから!」


「ただいま。あれ?リラ、玉子焼き?」


ソウも帰って来た。


「おかえりなさい!だし巻き玉子を教えてほしいって頼まれたのよ」

「だし巻きなんて、いつ食べたの?」

「まえーに、湖に行ったとき、お弁当作りすぎて、ほら、」

「あーあれか!」


お弁当作りすぎて、と言った辺りで、ソウとマーレイは理解したらしい。

当時、「作りすぎちゃったの、良かったら食べてください」と半ば押し付けてきたのだ。


「あの玉子焼き、とても美味しかったです」

「ユリのだし巻き玉子美味しいからな」


「練習のために、明日から売り出してみる?」

「今日のこれじゃ、まだ売れないですよね? 失敗したのをどうしたら良いですか?」


少し焦げて、巻きに焦げ色が入っていた。


「しばらくは、無料で配ったら良いわ。材料費はあまりかからないからね。練習有るのみよ!」


ホイル焼きと、リラが作っただし巻き玉子と、ご飯と、ユリがささっと作った味噌汁で食事にした。


「スープに入っているの、豆腐だ!」

「これは、味噌汁と言うのよ。中の具は、その時有るものをいれるわ」


リラは、味噌汁に入れてみたいものの候補をあげ、ユメと話していた。

ちらっと聞こえたけれど、イクラはダメだわ。


帰るときに、昨日渡し損ねた、預かってきた報奨を渡した。

こんなに貰えないと断るので、将来のために貯めておきなさい。と言うと、回り全員が頷き、やっと納得したようだった。


お店が静になり、2階に引き上げた。



コンコンコン


「ソウ、居る?」

「居るよーどうぞー」


ドアを開けて中へ入ると、ソウは何かの書類をまとめていた。

見たら不味い気がしてそばによらずに話しかけた。


「お願いがあるんだけど、ユメちゃんが正装を着るときに、お祝いで、百合のルレーブを用意してもらいたいんだけど、時期的にギリギリだから、なかったらカサブランカでも良いわ」

「大丈夫だと思うよ。どんな感じが良い?」

「籠花でも、花束でも用意できる形で良いわ」

「用意しておくよ」

「おねがいしまーす」


「あと、今まではなんとかなってたけど、最近は閉店時間には結構暗くなるのよ。お店の明かりって、どうしたら良い?」

「あー、ちょっとユメに聞いておくよ」

「ユメちゃんに聞くの?」

「魔力でつく明かりがあるみたいだから」

「へぇー。便利なものがあるのね」


それが便利なのは、魔力が有り余っている者だけである。

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