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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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紫芋

コバヤシたちが帰るのと入れ替わるように、各種の芋を持った人たちが来た。

大人5人と、7~8歳くらいの子供2人だ。


「こんにつわー」

「いらっしゃいませー」

「芋持ってきますたー」


さつま芋、紫さつま芋、ジャガイモ、紫ジャガイモ、栗。


「何をご希望なのですか?」

「ケーキならなんでも良いよー」


着いてきていた子供たちが言った。


「さつま芋でモンブラン作りましょうか?」

「それが良い!!」「食べたーい!」


「さつま芋モンブラン、何個作れば良いですか?」

「15こ!」


芋は育てたものだけど、栗は子供たちが拾ったものなので、そのまま貰ってくれと言われた。

ユリにしてみれば、市場で買える芋より、市場で売っていない栗の方が価値が高い。

栗の代金をのせて考えれば良いかなと思った。


紫さつま芋を蒸し器にいれてから予定を話した。


「では、紫さつま芋でモンブランを作ります。とりあえず蒸します、あとで裏ごしを手伝ってもらいたいと思います」

「ユリ様、栗加工しますか?」

「何にするのが良いかしらね」

「私が見たことがないものが良いです!」

「ハードルを上げられたわ・・・なら、栗きんとんでも作るわ。栗ご飯と同じように剥いてください」

「ユリ、何か手伝うにゃ?」

「ユメちゃんも手伝ってくれるの? なら、普通のさつま芋の皮をピーラーで厚目に剥いて、1cm位の輪切りにして水を張ったボールにいれてください」


リラの指導のもと、大人は栗を剥いて、子供はおとなしく待っているようだった。


ユリはくちなしを探してきて、ダシ袋にいれ、包丁のはらを当てて重さをかけ実を割った。

ユメが切ったさつま芋と一緒に鍋にいれ、少なめの水で茹でた。


「黄色いにゃ!」

「本当は黄色いラムネ用に用意したんだけどね。くちなしよ。夏前に、外に白い良い匂いの花が咲いていたと思うんだけど、あの花の実なのよ」


ユメはずっと茹でている黄色いさつま芋を見ていた。

途中リラが来て何か話しているようだった。


ユリは、冷凍しておいたシートスポンジをだしてきて解凍し、カスタードクリームを作った。


「あ、リラちゃん、そろそろ芋が蒸し上がるから、裏ごしお願いします」

「はい!」

「リラちゃーん、あなたは指導するだけで良いのよー?」

「はーい」


「ユメちゃんはどうする?裏ごしやってみる?」

「やってみるにゃ!」

「私と交代で裏ごしましょう!」


小さい裏ごし網で、ユメと一緒に黄色い芋を裏ごした。

途中ユリは、ロールケーキを巻いたり、剥き終わった栗を引き取り、砂糖とくちなしを入れた鍋で栗に火を通した。

ユメが大分頑張ってくれたので、黄色い裏ごしさつま芋がたくさんできた。


ユリはそれを鍋にいれ火にかけ、砂糖やみりんや栗の煮汁や水飴をいれて練ってきんとんを作った。

バットに広げて冷ました。


「これにさっき煮ていた栗が入って、栗きんとんの出来上がりよ」

「これ知ってるにゃ!お正月に食べるのにゃ!」

「これと伊達巻は毎年私が作っていたのよ」

「伊達巻も作れるのにゃ!?」

「お魚もはんぺんもないから、ここで作るのは無理かもしれないけどね」


ユリは、出来上がったきんとんをココットに入れ、黄色く煮た栗を埋め込んだ。


「はい。栗きんとんの出来上がりよ」

「リラに見せてくるにゃ!」


「わー!凄ーい!知らないお菓子になった!!」


リラが喜んでいるのが聞こえた。

人数分の栗きんとんを仕上げ、お茶を出し休憩になった。


「私が元居た国のお正月料理のひとつなのよ。あと、作ったのは、ほとんどユメちゃんよ。私はちょこっと仕上げをしただけ」

「これ美味しー!パンに塗って食べたい!」

「え?きんとんを? うーん、パイにでもしてみる?」

「はい!作ってみて良いですか?」

「今日は釜に火をいれていないから、明日作ったら良いわ」

「ありがとうございます!」


引き続き紫さつま芋の裏ごしをしてもらっている間に、できているものを少しもらい、バター、砂糖、牛乳を入れて煮た。


「凄い色にゃ」

「クッキーにも使っているのに、クリームになると迫力があるわよねー」

「そうだにゃー。何か手伝うことはあるにゃ?」

「ユメちゃん、生クリーム泡立てられる?」

「任せるのにゃ!」

「お願いしまーす」


生クリームをユメに頼み、ユリはロールケーキをカットした。

ユメが泡立ててくれた生クリームに、先ほど煮た黄色い栗を刻んで加え、カットしたロールケーキに大きめの丸い口金で絞り出した。

出来上がった紫さつま芋のクリームをモンブラン口金を付けた絞り袋にいれ、生クリームの上に絞り出した。

「ユメちゃん、少し作ってみる?」

「作ってみるにゃ!」


ユメにクリームを任せ、ユリは片付けをした。

途中見に来たリラも作りたがり、ユメから絞り袋をかりて、少し絞っていた。


出来上がった紫さつま芋のモンブランを提供すると、まだ裏ごしは終わっていなかったが、ユリは残りは結構ですよ。と帰そうとした。

ところが、今あるものだけは全部裏ごししてから帰ると言い、全部裏ごししてくれた。


帰りがけに大銀貨を渡し、持ち帰る分の紫さつま芋のモンブランを渡した。

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