表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

191/688

治療


◇◇◇◇◇


(いつもの視点)


「ユリ、頼みがあるにゃ!人を助けてほしいのにゃ!」


ユメが突然黙ったと思ったら、今度は突然言い出した。


「私にできることなら手伝うけど?」

「ユリにしかできないのにゃ!」

「何をすれば良いの?」


ユリの問いに答えることなく、ユメはリラに言い聞かせていた。


「その前に、リラ、一人で待っていられるにゃ?ソウが来たらソウに連れて来てもらうと良いにゃ」

「はい・・・」

「ユリ、2階から行くのにゃ!」


階段を上がりながら、なぜ2階?とユリが不思議に思っていると、先に階段を上がったユメは変身してルレーブになった。

ユメちゃん!服!とユリは慌てたが、ルレーブは薄い下着のようなワンピースを着ていた。パープル邸で借りたものに似ている。


「ユリには癒しの力があるの。不治の病も治せるわ。元の国の病気で、血栓ってわかる?」

「血管が詰まって脳や心臓だと一大事になる病気ね」

「そのイメージで、魔力放出器官に詰まった固まりを取り除いてほしいの」

「イメージすれば良いの?」

「その通り。移動するわ!」


ソウの部屋に入り、ルレーブはユリを連れて転移した。

転移先でルレーブの姿からユメに戻り、一瞬黙った後、部屋の戸を開け廊下に出た。


廊下にいた男性に見つかったが、急いで頭を下げられた。


「先日は大変失礼いたしました。どうかお嬢様をお助けください!」

「やるだけやってみるのにゃ。ソウが来るから外で待っててほしいにゃ」

「かしこまりました!」


ユメちゃんはここに来たことがあるのね・・・。

やり取りを見てユリは考えていた。


ユメは隣の部屋をノックもなく開け、ずかずかと入っていった。

ユリも急いで後を付いていき、中にいた人物を見て驚いた。

リラに似ている。

意識がないのか呼吸は荒いのに目を瞑ったままだった。


「ユメ様!その方が?」


中にいた男性の問いかけに、ユメは答えなかった。


「もしかしてリラちゃんのお母さん?」

「そうにゃ。ユリ頼むにゃ」

「頑張ってみます」


ユリは寝ている女性の額を触り、頬を触り、首を触り、右腕を触り、首をかしげた。何となく黒っぽく見えた場所を触ってみたのだ。

もう一度手を出して、今度は白っぽく見える左腕を触り、そのまま心臓の辺りを触ると、女性は淡く輝き、その光が飛び散った。

呼吸が静かになり、表情が穏やかになった。


「ユリ、大丈夫にゃ?」

「何となく、まだちゃんと治っていないと思うの。失礼してもう少し触るわね」


コンコンコン


「ホシミ様をお連れいたしました」

「お入りください」


部屋の中に居る男性が答えた。


すると、ソウだけではなく、マーレイもリラもいた。


「お母さん!!」

「リラの、声が、聞こえる、気が、するわ」


寝ている女性は体力がないためか、蚊のなくような小さな声で、途切れ途切れに話した。


「目が覚めたのにゃ」

「ユメちゃん、本当に、助けに、来て、くださったのね。ありがとう、ございます」

「助けたのはユリにゃ」

「ユリ様、助けて、くださって、ありがとう、ございます。私は、イリスと、申します」

「えーと、イリスさん、痛い所とか調子が悪い所を教えてください。新前なので、まだよくわからないのです」


イリスは少し微笑むと、頑張って話し出した。


「一番、痛かった、胸に、杭を、刺される、ような、重みが、なくなって、あとは、この辺が、少し、痛みが、残って、いるように、思います」


イリスの手が布団の上から示した場所は腹部だったので、ユメが男性を全員部屋から追い出した。

布団をどけ、薄い服の上から手を当てて探ると、腎臓だか、肝臓だか左の脇腹の辺りで、淡く輝き、その光が飛び散った。


「ユリ、大丈夫にゃ?一度休むのにゃ」

「え、あ、うん」

「リラ、母と話すと良いにゃ。何かあったら呼ぶのにゃ」

「はい、ありがとうございます」


リラを残し、ユメとユリは退出した。



外に待っていた女性に応接室に案内され、ユリとユメが入ると、ソウとマーレイと先程部屋にいた男性がいた。


「ユリ・ハナノ様、わたくしイリスの父で、この店の主人をしておりますレギュムと申します。娘をお助けくださり本当にありがとうございます。どんなことでもいたしますので、どうかお申し付けください」

「え?」


ユリはいまいち状況が読めずにおろおろしていた。

それを見たソウが補足してくれた。


「ユリに、お金のお礼は要らないと言ったらこうなった」

「成る程・・・」


ユリは何かないかと考えた。


「私はランチとおやつの店、アルストロメリアの店主、ユリ・ハナノです。お礼を何かしたいと言うなら、お店が忙しすぎて大変なので、信頼できる人を紹介してください。あ、マーレイさんに選定してもらいます」

「あの、マーレイはそれほどまでに信頼がおけるのですか?」

「マーレイさんもリラちゃんも、申し訳ないくらいによく働いてくれます。そして、二人ともかなり優秀です。私は、もぉの凄く助かっています」


考え込んでしまったこの店の店主レギュムに、ソウが追い討ちをかけた。


「確かにマーレイは優秀だ。マーレイの直接の雇い主は俺になるが、俺のもとの国でもここまで優秀な部下はいなかった」


目の前で誉められまくってしまったマーレイは目を白黒させていたが、レギュムは考えが決まったのか、こちらを見た。


「ユリ・ハナノ様、イリスは元気になりますか?」

「えーと、ユメちゃん?」

「体力さえつけば元気になるにゃ」

「ユリ・ハナノ様、人は何人必要ですか?」

「女性を2人が希望ですが、1人でも良いです」

「仕事内容を伺ってもよろしいですか?」

「配膳です。配膳の人がいれば、私とリラちゃんが作る方に集中できます」

「他に条件などはございますか?」

「リラちゃんのレベルが高いので、他の方がどの程度かわからないのですが、計算ができないと厳しいかもしれません」


「元気になったイリスが良いかもしれません。娘なら計算も得意で、マーレイの選定にも敵うでしょう」

「リラを呼んでくるにゃ」


ユメは部屋を出ていった。


「マーレイさんはそれで良い?」

「はい!!」

「なら、1週間後に又様子を見に来て、移動しても大丈夫そうなら連れてくれば良いか」

「ソウ、お願いします」


ユメがリラをつれてきたので、帰ることになった。

来たときと同じ部屋に入り、ユメは変身できないので一人で、ソウが3人を連れて先に転移した。

戻ってきたのは、お店の南側だった。


急いでハンバーグを食べて解散した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ