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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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急転

今日のランチは特に問題なく終わった。

質問してくる客もいなければ、持ち帰りを希望する客もいなかった。

イーゼルに乗せる看板に、詳しく書くのは重要なんだわ。とユリは思っていた。

実のところ、客の方が慣れてきただけである。


みんなのお昼は麻婆豆腐で、ユメとリラの分を先に作った。

これは辛味を控えた特製版だ。

ソウとマーレイも帰ってきたので、普通の辛さのものも作った。


「こっちが、リラちゃんとユメちゃんの分ね。こっちが辛い方ね」

「ありがとにゃ!」

「ありがとうございます!」


「お!俺辛いの足そう」

「ラー油あるわよ」

「ユリ様、それはなんですか?」

「簡単に言うと、ごま油に唐辛子を漬け込んだものね」

「か、辛そうですね」

「辛いわね。さあ、食べましょう」


ソウは少し食べてからラー油を足していた。

本当は、花椒(ホアジャオ)とかあると良いのかもしれないけど、手に入らないしね。


「豆腐って面白い食べ物ですね。甘くないプリンみたい」

豆乳花(トールーファ)という、豆乳を固めて、甘くして食べるデザートもあるわよ」

「やっぱり、大豆は凄いですね!」

「そうね。食べ終わったなら、九龍球を食べてみると良いわよ」


ユリは外おやつ用に、バットのフルーツ寒天をカットして、ココットに入れて45個作った。

寒天が四角いと、みつ豆のようである。

冬箱には32個しか入らないので、途中で足しに行こう。


しっかり昼休みを休み、おやつタイムが始まった。


◇ーーーーー◇

おすすめおやつ


九龍球(クーロンキュウ)(フルーツ寒天)      900☆


冷茶              200☆

お茶(注文した方のみおかわり自由) 200☆


常温おやつ

パウンドケーキ         150☆

クロ猫ッカン          250☆

ブルーベリーパイ        300☆

マロンパイ           350☆

リラの華            200☆

黒猫クッキー          時価

(ユメちゃんから直接購入してください)


軽食

ホットサンド(ハム、たまご)    500☆

ポットパイ(パイ皮付きシチュー) 500☆(限定30)

ごま風味サラダ         350☆

栗ご飯             300☆

おにぎり(新生姜の佃煮)      200☆

おにぎり(大葉味噌(おおばみそ))        200☆


持ち帰り専用

九龍球(1人前)         1500☆

   (2人前)         2500☆

(九龍球、瓶入りシロップ、紙袋)

九龍球を持ち帰る場合、10分以内に冬箱に入れて、揺らさず持ち帰ってください。

黒蜜              800☆

黒蜜・容器持参(150ml・180g)   500☆

凍結グラタン(1人前)       600☆

凍結ミニミニグラタン(1/4人前)  200☆

(ハム、コーン、ブロッコリー、マカロニ)

グラタン&ドリアの持ち帰りについて。

冬季以外の販売は、冬箱か真冬箱をお持ち方に限ります。

解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。


※器返却スタンプ始めました!

◇ーーーーー◇


九龍球は持ち帰りが高いのもあって、食べていく人ばかりだったが、ユリの一言でガラッとその目が変わった。


「付属のシロップの他、発泡酒、スパークリングワイン等を注いで食べても素敵ですよね」

「持ち帰り2つください!」

「私も買って帰る!」

「私は4つだ!」


今日はあまり売れないと思っていたので、いつもよりかなり少なめに作っている。

あまり早く売り切れるのも少し困る。


持ち帰り客に対応し、最初の注文が落ち着いたので、ユリは厨房にこもることにした。


まずはパイを折り、次に、シートのココアスポンジを焼いた。

月曜日分のパイを半仕上げし、クロッカンの下地まで作った。

月曜日のパイはフルーツパイで、パイナップル、アプリコット、ブルーベリーが少しずつ乗っている。


「ユリ様、お酒はないかって聞かれました」

「私が対応します」


リラに言われてお店を見に行った。


「どのようなお酒をご要望なのでしょうか?」

「九龍球に注ぎたいんだが」

「残念ながら発泡酒やスパークリングワインはご用意がございません。お持ち帰りになって、お家でお楽しみください」

「あいわかった。持ち帰り3人前用意してくれ」

「お酒を注がれるならシロップは2人前でも大丈夫そうですね。3500☆です」

「安くなるのか?」

「価格の主な原因は、シロップの容器代です」

「えー!」「なんだってー!」「そうなのか!」


会話していた相手より回りからの反応がすごかった。


「ユリ・ハナノ様! シロップが要らない場合はいくらなのですか?」

「九龍球の容器代で100☆上乗せの、1000☆ですね。まあ、冬箱を持参しない限り、紙袋代が100☆かかりますが」


結局、その場の全員が、お持ち帰り購入になった。


ユリは厨房にもどり、コーヒーシロップを作った。ボトルコーヒーに、カルーア(コーヒーリキュール)と、糖分を足した。

マスカルポーネを使い、緩いチーズムースを作り、ココアシートスポンジにたっぷりコーヒーシロップをハケ塗りして4層にした。

ココアシートスポンジを丸型で抜き、大きいココットでも作る。これは持ち帰り用だ。

明日上にココアを振るう。


ユメとリラに交代で来てもらい、クッキーやクロ猫ッカンを作ってもらう。

その間ユリが店をみる。


その前に、外おやつの追加に行ってこよう。

魔力を込めていない真冬箱に入れて持っていった。

残りが2つしかなく、ギリギリだった!

スプーンを洗ったものに変え、残りそうなパウンドケーキも、持ってきた。


「ユリ・ハナノ様、いつもありがとうございます」

「あ、聞いてみたかったんですが、冬、寒くなったら、どこで待っているんですか?お店の外に焚き火をするのと、この倉庫内に椅子を置くのと、どちらが良いですか?」

「焚き火はありがたいですが、火を見る人がいないのは少々恐ろしいことかと。この倉庫内に椅子をおいていただけるのは、大変ありがたいです」

「では、椅子を置きましょう!」

「どうもありがとうございます!」「ありがとうございます!」


ユリは厨房にもどり、メモに、椅子を注文する。と書いた。


リラに厨房で作業してもらい、ユリはお店を見に行った。


「ユリ・ハナノ様、今日のケーキは華やかですね」

「見た目は良いですよね。作るのは大変なんですけどね。ふふふ」


「ユリ・ハナノ様、聞いてもいいですか?」

「何でしょうか?」

「栗を持ってきたらケーキにしてもらったと聞きました。芋はどうですか?何かケーキになりますか?」

「さつま芋ならスイートポテト、大学芋、芋けんぴ、芋羊羹、きんつば、きんとん、蒸しパン、炊き込みご飯、ジャガイモなら芋餅、ポテトチップス、ポテトサラダ、肉じゃが、コロッケ、まあ、色々なものになりますし、モンブラン風や、プリンなども作れますよ。紫芋ならその色をいかして更に色々作ることができます」

「持ってきて良いですか?」

「でしたら、日曜日(おひさまのひ)の昼頃にお願いします」


厨房に戻ると、先程の工程を繰り返しながらリラに今の話をした。


日曜日(おひさまのひ)に、芋持参で来るらしいわ」

Sの日(おひさまのひ)、見に来ますね!」

「リラちゃん、明日のパープル邸も来るでしょ?休み、なくなるわよ?」

「ユリ様よりは働いていませんよ?」

「あ、明日のパープル邸で、ドレッシングちゃんと作れているか、確認してもらえるとありがたいんだけど」

「はい!完璧なのでお任せください!」

「全部手動だけど、マヨネーズ作れそう?」

「家で1度作りました!」

「リラちゃん、あなた本当に偉いわよね」

「卵は汚れをきれいに洗って乾かしてから、濃いお酒でもう一度洗って、それから使うんですよね」

「その通りよ。生で使うからね。よろしくね」

「はい!」


ユリは話しながら、ココアシートスポンジにたっぷりコーヒーシロップをハケ塗りし、マスカルポーネでチーズムースを作り、4層にし、2台目を作り上げた。


クッキーが終わったリラが、ユメと交代してクロ猫ッカンを作りに来た。


「ユリは何を作ってるにゃ?」

「ティラミスよ」

「てぃらみすにゃ?・・・あ!ティラミスにゃ!」

「あら、知っているの?」

「上にココアがかかっているにゃ?」

「そうよ。食べたことあるの?」

「流行ってたにゃ」


え?ティラミスが流行ってた時代なの?

たしか今から 年も前・・・。


「ユメちゃん、ワンコインショップって、いくらだった?」

「100円にゃ、違うのにゃ?」

「消費税は?」

「しょうひぜい?って、なんにゃ?」

「ワンコインショップはね、その始まりこそ100円だったけど、消費税で、103円、105円、108円、110円って上がっていって、そのうち商品自体の値上げもあって、1000円+税で8コインって、チケット制のような専用コインを使うようになって、更に7コイン、6コインって減っていって、現代では1000円で4コインなのよ」

「100円均一じゃないのにゃ!!」

「名前は、ワンコインショップだからね」


ユメはショックを受けた顔をしていたが、ユリはユメが生きていたらしい時代を理解した。


クロ猫ッカンが作り終わり、ユリも3回目、大きいココットのティラミスが作り終わり、今日の仕事が一段落した。冷凍庫がパンパンだ。


九龍球もいい具合に売り切れ、変に残ったものもなくユリは予定通りでスッキリしていた。

店の客も帰り、さあ、ご飯を食べましょうとユリが言おうとしたら、ユメが店の真ん中で突然立ち止まった。


「にゃ!!」


◇◇◇◇◇


(リラ、ソウ視点)


「にゃ!」と言った後、少し黙ってしまったユメがユリのところまで走っていった。


「ユリ、頼みがあるにゃ!人を助けてほしいのにゃ!」


ユメが突然言い出した。


「私にできることなら手伝うけど?」

「ユリにしかできないのにゃ!」

「何をすれば良いの?」

「その前に、リラ、一人で待っていられるにゃ?ソウが来たらソウに連れて来てもらうと良いにゃ」

「はい・・・」

「ユリ、2階から行くのにゃ!」


ユメは、ユリを連れて慌てた感じて行っていまい、リラは取り残された。

特に説明もなく、とても慌てていたユメに理由も聞けず、何をすれば良いかわからなかったリラは、取り敢えず片付けをすることにした。


少ししてソウとマーレイが来て、ユリがいないことを聞かれた。


「ユメちゃんが慌てた感じてユリ様を連れてお2階に行ってしまいました。どなたかを助けると話していました。ホシミ様に連れて来てもらうように言われました」

「そうか。マーレイ言って良いか?」

「はい。私から説明します」

「お父さん?」


ソウが、人のいない場所をサーチし、店の回りは動くもの(歩いている人)が多く、少しだけ離れた場所に決めた。


「取り敢えず移動しよう。直接屋敷のそばにいくぞ!二人ともつかまれ!」


マーレイとリラは、ソウの腕に捕まり転移した。

リラは初めてだったが、転移酔いもなくしっかりしていた。


「リラ、今まで隠していたが、イリスが病気でここに居るんだ」

「え!?お母さん病気なの!?・・・まさかユメちゃんが慌てていたのって」


店の前には、到着を待っていたのか番頭がいた。


「ホシミ様!マーレイも、もしかしてこの子は、」

「ユリ、いや、ユメが来ていると思うんだが?」

「はい、黒猫様が先ほどお見えになり、お嬢様を見てくださっていらっしゃいます。小柄な女性をお連れでした」

「案内してくれ!」

「かしこまりました」

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