植樹
ソウは家に寄る前に馬車を返しに行った。
馬車自体はソウのものらしいけど、馬や客車の管理をしている人がいるらしい。
ピクニックから戻ると、頼んでおいた植物が届いていた。
届けてくれた人達は植樹まで手伝ってくれるようだ。
「西側に大きな木を、東側には小さな花を、南の畑に野菜を植えて、ハーブは鉢で育てたいです」
予想より育ったサイズのレモンと月桂樹は、確かに私一人で植えられるものではなく、専門家がいてくれるのは大変ありがたい。
建物の西側に、ムキムキな男性が穴を掘っていく、南よりがレモンで、北よりに月桂樹だ。
レモンは既に小さな実が生っていた。
これは本来植え替え時じゃないから実は落ちちゃうかもしれないわね。
少しだけ残念。
あっという間に植え付けが終わり、せっかくだからとお茶を勧めるも断られ、手土産にお菓子を無理矢理渡した。
何度も何度もお礼を言われ、あ、現地の方なのね。と思った。
畑に、トマト、胡瓜、パセリを植え、頼んでないけど一緒に届いた茄子とジャガイモと、カボチャを植えた。
「あ、もう植えちゃったか」
「え、ダメだったの?」
ソウは戻ってくるなり、少しがっかりしていた。
どうやら一緒に植えたかったらしい。
「まだ花は植えてないよ?一緒に植えよう?」
「入り口の花壇?」
「一番センスが問われるところだよ!」
ノースポールと矢車菊の他、ネモフィラもあった。
私の好きな花だー。
ソウに配置バランスを考えて貰い、無事に二人で植えた。
ユメが優雅に歩いてくると一声鳴いて、誉めてくれたみたいだった。
「ユメには俺の絶妙な美的センスがわかるのか!」
「ふふふそうみたいだね」
この日の夕飯はもちろん、朝、冷蔵庫に残していった、温め直したお弁当だった。