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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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球型

ユリは生姜焼きを取り敢えず3人前作った。

リラにサラダを用意してもらい、ユメが冷茶とポテロンを持ってきた。


食べはじめた頃にソウとマーレイが来た。ユリが作りに行こうとすると、ソウに止められたため、先に生姜焼きだけを食べた。


「ユリ、急いで食べないで。ちゃんとゆっくり食べて」


自分の分を食べ終わり、2人前の生姜焼きを作ると、リラがサラダを、ユメが冷茶とポテロンを出してくれていた。

ユリは二人にお礼を言って、アップルパイを2つ持ってきてソウとマーレイに出した。


ソウとマーレイが生姜焼きを食べている横で、リラとユメの3人で、ポテロンを食べた。


「美味しいにゃー。何個でも食べられる味にゃー。ユリは天才にゃー」


ユメがものすごく喜んで食べていた。

ユメちゃんのために、少し残しておこうかしら。

ポテロンを少し残そうと考え、その場合何人分かしら?と悩むのだった。


外おやつとお茶類も出し終わり、ユリもしっかり昼休みを休んだ。


◇ーーーーー◇

おすすめおやつ

 

ポテロン(かぼちゃのケーキ)   1000☆


冷茶              200☆

お茶(注文した方のみおかわり自由) 200☆


常温おやつ

パウンドケーキ         150☆

クロ猫ッカン          250☆

アップルパイ          300☆

マロンパイ           350☆

リラの華            200☆

黒猫クッキー          時価

(ユメちゃんから直接購入してください)


軽食

ホットサンド(ハム、たまご)    500☆

ポットパイ(パイ皮付きシチュー) 500☆(限定30)

チキンとアボカドのサラダ    300☆(限定14)

栗ご飯             300☆

おにぎり(新生姜の佃煮)      200☆

おにぎり(大葉味噌(おおばみそ))        200☆


持ち帰り専用

豪華な箱入りポテロン1個    1300☆

箱入りポテロン2個セット    2200☆

箱入りポテロン4個セット    4200☆

ポテロンを持ち帰る場合、10分以内に冬箱に入れてください。

黒蜜              800☆

黒蜜・容器持参(150ml・180g)   500☆

凍結グラタン(1人前)       600☆

凍結ミニミニグラタン(1/4人前)  200☆

(ハム、コーン、ブロッコリー、マカロニ)

グラタン&ドリアの持ち帰りについて。

冬季以外の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。

解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。


※器返却スタンプ始めました!

◇ーーーーー◇


おやつタイムがはじまって、最初に来たのは、ランチの時に30個予約していった人だった。

4個入り7箱、2個入り1箱を渡すと、申し訳なさそうに言われた。


「2つは、1つ用の箱にそれぞれ入れていただけないでしょうか?」

「構いませんが、箱代が高いですけどよろしいですか?」

「勿論です!」


以外と高価な1つ入り用の箱は人気があるようだった。人に差し上げるのに都合が良いらしい。


ユリ的には、1つしか買わない人が使うもので、1つ用の箱をいくつも欲しがるのは少し不思議だった。


厨房に戻り、明日のお菓子の準備をはじめた。

カスタードクリームを作り、パイの3×4を折り、次のパイのバターを用意して計量したものを混ぜているとリラが来た。


「ユリ様これはなんですか?」

「丸い氷を作る製氷皿なんだけどね。これでゼリーのようなものを作ります」

「ゼリーの()()()もの?ですか?」

「まずは、果物をカットします。この中に入る大きさ、このくらいに切ってください。約200カットです」

「はい!」

「種類は、キウイフルーツ、パイナップル、黄桃、洋梨、ブルーベリー、みかん(牛乳)、白桃(青)、リンゴ(赤)、葡萄(紫)です。葡萄とみかんとブルーベリーはそのままで。ふふふ」


リラにカットを任せ、ユリは店を見ていた。


「ユリ・ハナノ様!昨日より早い時間ですが、サラダのタレ、いやドレッシングでしたかな。は、できていますでしょうか?」

「はい。できていますよ。昨日のシーザーサラダドレッシングと、今日のコブサラダドレッシングです。大体、一瓶は6人前くらいです」

「ありがたい!どのくらい買えますか?」

「シーザーサラダドレッシングが3本、コブサラダドレッシングが5本有ります」

「それぞれ2本ずつの、計4本よろしいですか?」

「はい。どうもありがとうございます。再注文される場合、最低製造量があって受けられないこともありますので、早めにご注文ください」

「了解した。ありがとう!」


「ユリ・ハナノ様、今のはなんですか?」

「サラダのドレッシングです。昨日頼まれたんです」

「それはまだありますか?」

「昨日のサラダに使ったシーザーサラダドレッシングが1つ、今日のサラダに使ったコブサラダドレッシングが3つ有りますね。作る兼ね合いで1本ずつは作れないもので」

「それは今売っていただけるのですか?」

「この4つなら構いませんが、値段は先程の方の言い値だったもので、少しお高くなっています」

「構いません!是非、売ってください!」

「はい。どちらですか?」

「できれば両方を」

「私も欲しい」

「あ、私もください!」

「こちらにも!」

「私も!」

「誠に申し訳ございません。既に足りないのですが・・・」


一番身分が高そうな人が場をしきりだした。


「でしたら、先に声をかけた方が優先で、そのあとは勝負で決めましょう」


勝負と聞いてユリは慌てた。


「わわわ、勝負って何するんですか!? 平和的に決めましょう! 今希望する方は何人いらっしゃいますか?・・・あ、全員ですか。では、アミダで!」


ユリが言わなくても、せいぜいコイントスの勝負だが、アミダなら何人いても一度に(かた)()くと、後々流行ることになるのであった。


ユリに先に話しかけた人も、遠慮して1つしか選ばなかった。

残りをアミダで決め、器が揃い次第、販売すると約束することになった。


客が入れ替わり、先程の騒動など知らないはずなのに、ドレッシングの販売はいつからですか?と何人にも聞かれた。


「ボーンリーフさんにお願いして作ってもらってからなので、いつになるか分かりません!」


しつこい客に思わず言い返すと、席をたってこちらに来る客がいた。

仲裁しようとしてくれるのかしら?


「ユリ・ハナノ様、私、ご挨拶はしておりませんが、ボーンリーフ商会の者です」

「え!」

会頭(かいとう)(≒社長)でなくても宜しければ、今ご注文お受けいたしましょうか?」

「そちらがそれで困らないなら、見本でもらった瓶の一番口が大きなタイプを1000、もしくは1200、出来次第50個位でも良いのでお願いします。蓋は、提案のあったタイプでお願いします」

「承りました。納品時期につきましては、会頭が説明に伺うと思います」

「ありがとう!助かったわ!いつお店にいけば良いか困っていたのよ。あ、これよかったら食べてね」


ユリはパウンドケーキを2切れほど渡した。

田舎のおばあちゃんのようである。


少し疲れて厨房に戻ると、リラはほぼカットが終わるところだった。

一度に33粒出来上がる球型製氷皿6枚で198粒、製氷皿は20枚有るので、一度に3種類を作ることが出来る。

まずは色をつけたりしない種類を作る。

缶詰めシロップに砂糖を足して寒天液を作り、人肌程度に冷ましたら、フルーツを入れた型に流し入れる。


「ゼラチンのゼリーと違って、冷まさないのですね」

「寒天はね、30度位から固まっちゃうから冷ますと固まっちゃうのよ」

「ゼラチンとはそんなにも違うのですね!」

「継ぎ足しも、ゼラチンと違って失敗するとくっつかないのよ」


ユリは実践しながらリラに説明した。


「この製氷皿のこの辺までいれて、蓋をゆっくり閉めます。ほんの少し溢れるくらいが正解です」

「うわー、加減が難しそうですね」

「まあ、固まってから取り除けば良いのよ」


ユメが顔を出した。


「何作ってるにゃ?」

「九龍球よ。フルーツを入れた丸い寒天ね」

「作りたいにゃ!」

「んー、リラちゃん、フルーツって多めに有る?」

「はい。避けてあります」

「なら、二人とも1枚ずつ好きに作って良いわよ」

「やったにゃ!」

「わー!ありがとうございます!」


リラは果物の種類を1粒にたくさん入れていたが、ユメは、黄桃をスライスして、クッキーの小さな星形で抜いていた。


二人が作っている間、ユリはリンゴをカットして皮と一緒に煮込み、白桃をバタフライピーで濃いめに出した青い液で煮た。


「すみませーん!」

「はーい!」


店から呼ばれてリラが急いで行った。


ユリは寒天液を再度温め、ユメが用意した製氷皿に注いだ。フルーツが小さいので少し漂ってしまい、ユメが慌てていた。


「竹串で戻すと良いわよ」

「わかったにゃ!」


戻ってきたリラはポテロンを詰めていた。


「リラ、代わるにゃ。何個にゃ?」

「8個、代済みです」


ユメがポテロンを箱に詰めて、店に持っていった。


「リラちゃん、寒天液を温めてあるから注いで蓋を閉めてね」

「はい!」

「30度以下になれば固まってくるから、そうしたら冷蔵庫に入れてね」

「はい!」


ユリはシロップを作った。

九龍球は、シロップに浮かべて提供するのだ。

あら熱がとれてから空いている冷茶用のピッチャーにいれて冷蔵した。


いつもの感じてブルーベリーのパイを作った。

ブルーベリーは冷凍物だが、焼いてしまうので支障がない。

パイ生地も3×4を折り、冷蔵した。


煮たリンゴ、色をつけた白桃、ブルーベリーで九龍球を作った。

先に作ったものは、種類ごとに分けて、シロップと一緒にボールに入って冷蔵庫に入れてある。


ユメを呼んできてクロ猫ッカンを作ってもらい、リラにはクッキーを作ってもらった。

二人は自分達が作った九龍球を出してみて、とても喜んでいた。


珍しくソウが早く帰ってきた。


「ユリ、手伝い要る?」

「手伝いじゃないけど、ソウも九龍球作る?」

「何それ?」


ユメが自分が作った九龍球を見せた。


「揃えると願いが叶いそうだな・・・」

「にゃははーなのにゃ」


ユメの真意は他の誰もわからなかったが、ソウには通じたらしく、ユメは喜んでいた。


「ホシミ様!私のも見てください!」

「おー!リラのは色とりどりできれいだな」


「これ、簡単なの?」

「難しくはないと思うわよ? 今日はマーレイさんは一緒じゃないの?」

「もうすぐ来ると思うよ

「33球作りたいならみんなと同じ容器で、半分くらいがよければ14球ならこっちの型ね」

「俺14で!」


ソウに説明し終わった頃、マーレイも来た。

ユリが説明するより良いかと思い、リラに任せた。


店に顔を出すと、いつも通り、質問攻めにあった。


「ユリ・ハナノ様、このポテロンとは素晴らしいですね。この名前はどう言った意味なのですか?」

「ありがとうございます。外国語のかぼちゃです」


「ユリ・ハナノ様、サラダのタレには種類があるのですか?」

「サラダにかけるタレは、ドレッシングといいます。種類はたくさん有りますが、私が好んで使うのは数種類です」


「ご店主、今日のアップルパイは、注文が出来るのかね?」

「数によりますが、おいくつくらいですか?」

「10か12位だな」

「2日前までにご注文いただければ、材料が揃う季節なら作れると思います」

「なるほど、材料が揃わないこともあるのだな」


「ユリ・ハナノ様、リクエストノートが有ると伺ったのですが、どれでしょうか?」

「えーと・・・あ、今あちらの方が書かれているノートがそれですね」


厨房に戻り、ソウとマーレイが作っている九龍球に寒天液をそっと流し入れた。

横で見ていたソウが思い付いたことを話していた。


「それ真ん丸が出来るなら、少し色のゼリーを流して」

「うん」

「その真ん中に粒状の菓子かチョコでもおいて」

「うん?」

「固めたあと残りの部分にミルクゼリーを流し込めば、目玉が出来るな」

「・・・それ気持ち悪くない?」

「ハロウィーンに良いかと思って」

「ハロウィーン、無いんじゃなかったの?」

「流行らすか?」

「・・・。私は黒猫とかぼちゃだけで良いかな」


かぼちゃに顔が描きたいと言ったり、目玉ゼリーを作ろうとしたり、ソウはハロウィーンやりたいのかしら?


閉店時間になり、みんなでココナツカレーを食べた。ソウは辛味調味料を足していた。


「ユリ!お客に、カレーが辛くないって言われたにゃ」

「あー、辛味調味料を出すの忘れてたわ」


ソウとマーレイが作った九龍球を取りだし、リラに手伝ってもらい、残りのみかんと牛乳、葡萄とブドウジュース、洋梨の九龍球をつくった。

余った寒天液は、残っているフルーツと一緒にバットと、星形とハート型がある製氷皿(ラムネに使った製氷皿)で固めた。少し多めに作ったので、明日の外おやつに使おうと思う。

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