全組
朝一番、少量のニンジンとジャガイモを大量に蒸かした。
朝ご飯を食べたあと、蒸し器の中身をカットしたカボチャに入れ換え、ジャガイモを潰し、塩コショウしてから冷蔵した。
リラが来る頃にはユリはパイを焼く用意をしていた。
「おはようございます! ユリ様、マヨネーズ作りたいです!」
「あ、作る? 今から入る?」
「はい!」
まずは、ポテトサラダの中身の用意をしてもらう。
「茹で玉子とマカロニを用意をして、ニンジンとキュウリとハムを切って、キュウリを塩揉みして、全て用意しましょう」
「はい!」
2度目なので特に質問もなく、リラは用意をしていった。
その間ユリは、パイの一部を焼き、グラタンソースを仕込み、作業台にグラタン皿を並べて蒸したカボチャを入れていた。
グラタンソースは、玉ねぎと鶏肉が入っている。
ユリがホワイトソースをグラタン皿に入れると、リラがチーズをのせるのを手伝ってくれた。
途中、マーレイが来て、納品の品物をおいていった。ユリが手を離せなかったので、冷蔵庫に入れますと言って、全部しまっていってくれた。
「中身の準備終わりました。茹で玉子は冷やしているのでまだ切っていません」
「はい。では、卵黄、酢、サラダ油、塩を用意してください。ボール、ホイッパー、ゴムベラ、機械のボール、ホイッパーもね」
「はい!!」
リラはニコニコしながら材料を持ってきた。
「ボールに卵黄を入れ、ホイッパーで良く混ぜます。リラちゃんがおうちで作るなら卵黄1個で作ってね」
「はい!」
「そこに塩を入れ良く混ぜてから、酢を入れて良く混ぜます」
「はい!」
「少しずつ油を入れて混ぜていきます。おうちで作るなら、このまま混ぜながら油を少しずつ足していきますが、量が多いので、ここで機械にかけます」
「はい」
ボールをゴムベラで払い、機械のボールに中身を移した。
「このまま油を少しずつ足しながら全部混ざれば出来上がりです。途中で底の方から混ぜてください」
「はい!」
「人力で作ると、かなり手が疲れるから覚悟して作ってね。ふふふ」
「家でも作ってみます!」
「道具類はあるの?」
「お父さんが買ってくれました!」
「そう。良かったわね」
「全部混ぜて出来上がりだから混ぜてみる?」
「良いんですか?」
「見ていないのは、ジャガイモを蒸かして、潰して、塩コショウして冷やしたところだけだから、これで全工程作れるようになるわよ」
「はい!やってみます!」
ユリは、説明しながら用意していた残りのパイを焼き、キーマカレーを仕込み、ランチの用意が完了した。
「早く入った分休憩する?」
「あ、はい。ノート書いてきます!」
出来上がったポテトサラダを、大デッシャーでココットに盛り付けた。
刷りきらないので、大デッシャーで1.5杯分相当だろうか。
「おはようにゃー! あれ?リラいないにゃ?」
「おはよう。リラちゃんは、早く入って時間調整休憩中よ」
「エプロン取りに行かない方が良いにゃ?」
「ノート書くって言っていたから寝ていないと思うわよ。あ、あと、クロ猫ッカン焼いちゃって良い?」
「クロ猫ッカンにゃ?その名前にするのにゃ?」
「え?違うの?猫乗せていたからてっきり。アルストロメリア会でも、猫をのせたら素敵と話したら、お嬢様たちから『クロ猫ッカン』って言われたわ」
「標準思考だったのにゃー・・・」
焼いて良いとユメから言われたので、ユリは、100個とも焼いた。
「ユリ、クロッカン焼けたのにゃ?」
「焼けましたよー」
「にゃ!猫がろくろ首みたいにゃ!」
「生地が厚すぎたのねー。外おやつに回して良い?」
「伸びたのは回して、きれいなのだけ売ってにゃ」
リラが戻ってきてランチタイムが始まった。
◇ーーーーー◇
おすすめランチ
キーマカレー 500☆(限定45)
パンプキングラタン 500☆(限定45)
単品 ポテトサラダ 300☆(限定90)
デザートセット プラス1000☆(限定90)
(モンブラン、お茶又は冷茶)
パイ
アプリコットパイ(持ち帰れます) 300☆(限定30)
クロ猫ッカン(持ち帰れます) 250☆(限定60)
冷茶 200☆
お茶(注文した方のみおかわり自由) 200☆
フルセット 2000☆
食事1品、ポテトサラダ、モンブラン、何れかパイ、お茶(冷茶可)
持ち帰り専用 (袋100☆)
凍結グラタン(1人前) 600☆
凍結ミニミニグラタン(1/4人前) 200☆
(ハム、コーン、ブロッコリー、マカロニ)
グラタン&ドリアの持ち帰りについて。
冬季以外の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。
解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。
※器返却スタンプ始めました!
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15人全員フルセットの注文だった。
「キーマカレー6、パンプキングラタン9、フルセット15、パイはアプリコット15です」
「出せるものから出してください」
「ポテトサラダ、アプリコットパイ、お茶と冷茶、先にだします」
「キーマカレーできましたー」
「はいー!」
「持っていくにゃー 」
「グラタン焼けましたー」
「はいー!」
「ユリ、モンブラン出して良いにゃ?」
「モンブランお願いしますー。姫フォークつけてください」
全テーブルだし終わり、一旦暇になる。
みんなで店に見に行った。
「今日は珍しく美人三姉妹揃い踏みですね!」
「そういえば、私は忙しくて最近あまりお店に来ないですね」
「お元気そうで何よりです」
「どうもありがとうございます」
顔を出すと、元気なことを喜ばれた。
体調を崩した夏以来、来ていなかった人もいるのかもしれないなとユリは思った。
毎日のように食べに来る人はそんなに多くないのだ。
ユリは認識してはいないが、非公式会報誌を発行しているメンバーは、必ず誰か来てはいるのである
ユリすら記録をとっていない、過去に販売されたイーゼルに書かれた商品一覧の控えがあったりする。
一巡目の客が帰り始め、モンブランの持ち帰りはできないのかと聞かれた。
現時点で、持ち帰り容器がないので、おやつの時間なら何とかすると言って、諦めてもらった。
「注文しなかったけど、クロ猫ッカンって、なんですか?」
「ユメちゃんが作った、クロッカンです」
「成る程!黒猫様のクロッカン。単品販売はできますか?」
「あまり数がないので1つでよければ可能です」
「では、1つお願いします」
持ってきて渡すと、包みを開いてものすごく喜んでいた。
「これは素敵ですね!まさにクロ猫ッカンだ!」
それが呼び水になったらしく、残っていた帰る客がみんな欲しがった。
お釣りが面倒なのか、黒猫様信仰なのか、クロ猫ッカンの支払いをユメに渡す人が多かった。
客が帰ってからユメに聞いてみると、みんな大銀貨だったそうだ。
「ユメちゃん、恐らく足りなくなります。今から作ってください」
「にゃ!?」
「使って良いパイ生地は出しておきますねー。ふふふ」
ユリは楽しそうに笑うと、リラに説明に行った。
「リラちゃん、悪いけど少しの間一人で配膳頑張ってください」
「お任せください!ユメちゃんの分まで頑張ります!」
リラも楽しそうに笑い、ユメを応援していた。
二巡目も、全員フルセットでクロ猫ッカン追加だった。
ユリは、クロッカン自体は手伝い、猫の型抜きと卵塗りはユメに任せた。
100個作ったユメは、責任は果たしたとばかり店に戻っていった。
ユリは焼きながら、新たにパイ生地の仕込みの準備をはじめた。
ここでアプリコットパイは売り切れたので、以後クロ猫ッカンになるが、すでに25個も出ている。
計算上、あと45~50個は出るのである。
三巡目に、グラタンと他の物も食べる人たちが来た。
フルセットにグラタンをつけるらしい。
いくらか聞かれたので、2500☆だと答えておいた。今回は5人で来たらしい。
フルセットを注文したほとんどの人は、パイは持ち帰りだったが、5人組はパイまで完食したらしく、持ち帰り用にクロ猫ッカンの追加を希望された。
2750☆です。リラの会計請求に、3000☆払っていったらしい。
この店の食事代が、一人で2750☆にもなる人がいるとは思いませんでした。とリラが言っていた。
確かに。
その後、割りと平和にランチは終了した。
キーマカレーと、パンプキングラタンは、なんと売り切れたらしい。
ポテトサラダは85食でて5食あまり、モンブランは、合計81個出たそうだ。
そして、クロ猫ッカンは、131個でて、のこり29個のため、もう一度作ることになった。(40個は外おやつ用に避けた)
「遅くなったけど、大丈夫だよね?」
「ソウ、ありがとう!」
ソウがケーキの箱を買ってきてくれた。
1個入り用の箱、手持ち付きの豪華で高価な箱50。
2個入り用の箱、手持ちのない普通の箱と袋1000。
4個入り用の箱、手持ちのない普通の箱と袋1000。
それと帯状の厚紙100枚。
厚紙はなにかと思えば、3個入りを希望したときに筒状に丸めて空間を確保するものらしい。
気が利いてるなぁと思ったら、ケーキ屋さんでは良く見かけると言われ、己の女子力の低さを軽く嘆いた。切り込みが入っていて、差し込めば良いらしい。
少ししてマーレイも来た。
今日は、ソウと違う仕事だったらしい。
あ、ソウは向こうに箱を買いに行ったんだから違って当然だわ。
昼は全員グラタンにしてもらった。
「ポテトサラダとモンブラン、食べますか?あと、夕飯時にもポテトサラダ食べますか?要らないなら軽食で売ってしまいます 」
全員が食べると言うので、ランチの残りのみ販売することにした。
食べ終わるとユリは栗ご飯の用意をし、冷蔵庫の納品された野菜を見て衝撃を受けたが、外おやつにクロ猫ッカンをだし、お茶と冷茶をセットして、今日こそ休むぞと息巻いていた。