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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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差湯

「ソウ、トロピカルさんにいつ行ったら良いかしら?」

「今行ってくるか。忘れないうちに」

「お願いします」

「どこに飛ぶにゃ?」

「あー、説明し難いから一緒に転移して覚えたら良いよ」

「わかったにゃ」


そのままソウは転移して、どこかの小屋の中だった。外は馬を預けるそばだった。


「にゃるほどにゃー。小屋から出てくれば誰も驚かないのにゃ」

「それでも転移前サーチはしてくれな」

「転移前サーチにゃ?」

「転移先が無人かどうかサーチするだろ?」

「にゃー。気配察知にゃ。わかったにゃ」


ユリは話についていけなかったので、おとなしく聞いていた。

そして、お店の方向も良くわからないので、黙って待っていた。


「ユリごめん、行こうか」

「うん」

「そういえば、ユメ、金曜日(きんのひ)の夜、どこ行ってたんだ?」

「リラの家に居たにゃ」

「えー!リラちゃんの家に泊まったの?」

「泊まったにゃ。夏板すすめたにゃ」

「そうなのねー」


トロピカルに到着すると、すぐに店員がとんできた。


「これは、ユリ・ハナノ様!ようこそお越しくださいました。今お茶をご用意いたしますので、どうぞ中へお入りください」


店員として会ったことはない相手だが、見かけたことがある気がした。


すぐに店主が来て、ニコニコ顔だった。


「ユリ・ハナノ様!お陰さまで、夏板がバカ売れです!部品の在庫もすっからかんになり、今フル回転で作っています!」

「あ、それはよかったです。そんな中、申し訳ないんですが、夏板を1台追加で欲しいのですけど、納品はそんなに急ぎませんので、頼めます?」

「お待ちいただけるのでしたら、確実にお届けに上がります」

「よかったー。それで、おいくらですか?」

「通常販売価格3万☆なので、2万☆で!」

「今払いましょうか?」

「品物と引き換えでお願いします。変更点はなくて大丈夫ですか?」

「私が使う訳じゃないんです。うちの従業員が、魔力を増やす練習と、光熱費の節約と、湯浴みの差し湯に使いたいそうです」

「なんと!それは面白い!任せてください。40度くらいから設定できるようにしましょう! 湯浴みの、そうか、なるほど、これは・・・うんうん、よし!すぐ作って納品しますので、お店にお届けで良いですか?」

「はい。お願いします」


「ご来店ありがとうございました」


「リラの夏板も無料かもな」

「なんかそんな勢いだったわね」

「良かったのにゃ。全自動給湯器が作られそうだにゃ」


「あ!おふろ!あの、お風呂って、どうやって入るの?」

「少なめにためて差し湯して使うにゃ」

「洗うのは?」

「湯の中で髪も体も洗うにゃ」

「そこまでは理解できるけど、どこで流すの?」

「流さないにゃ。そのまま拭いて上がるのにゃ」

「髪の毛にリンスしたりトリートメントしたのはどうするの?」

「私の時代になかったものは知らないにゃ。出てから髪の毛は侍女が手入れするにゃ」

「え・・・」

「貴族以外だと夏は水浴みにゃ、冬はご飯の時沸かした湯で体を拭くだけにゃ。リラが言ってたにゃ。だから、夏板すすめたにゃ」


「俺は、夏は先に体を洗ってから、湯をためて入るぞ。冬は湯の中で洗って、かけ湯して出てたな」

「うーん、生活習慣の変更は難しいわぁ。別の湯に入って、温まって、シャワーバシバシ使って、洗って、流したい」


後日、恥を忍んでローズマリーに聞くと、湯に入ったまま浴槽に寝そべるように髪の毛を外に出し、侍女が洗って、浴槽の外で流してくれるので、髪のケアの油では湯は汚れないと言われた。

美容院方式らしい。

体は毎日洗うから、そもそもお湯が汚れる程にはならないとのこと。石鹸のようなものではなく、薬草湯のようなお湯で洗うからお肌も荒れないそうだ。

試してみればよかったかもしれない。



「さあ、帰ってイクラ丼を食べましょうか」

「楽しみだなぁ」

「漬かりが浅いから少しお醤油足すと良いかもしれないわね」

「ユリ、鮭のお刺身はないにゃ?」

「鮭はね、養殖物しか刺身にしないのよ。アニサキスという寄生虫が怖いからね。どうしても食べたい場合、24時間以上冷凍すると食べられるらしいわ」

「なくて良いにゃ」

「そこの影から飛ぶか、人通り無いし」


ソウはユリとユメの手を繋ぎ部屋まで転移した。



帰ってイクラを少し食べてみたが、やはり漬かりが浅く、ソウは残して明日朝食べると言っていた。

ユメも明日起きたら食べると言うので、ユリも食べすにイクラは諦めた。酢飯にしてしまわなくてよかった。


適当なおかずを作り、夕飯にした。


夕飯後、ユリはジャガイモを蒸かしながら、ウズラの串刺し60、マッシュルームの串刺し40、玉ねぎの櫛切り1/8の串止め40を作った。


次に、裏ごしした栗にグラニュー糖と生クリームを入れて火にかけ練り上げ、マロンクリームを作った。

裏ごしが終わった時点で量った時に、9キロ以上あったので、明日の仕込みは300個の予定で作る。栗は廃棄率が高いので、正味9キロ以上あるなら、茹でる前は13キロ以上あったのだろう。

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