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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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天蓋

天蓋のつきのベッドで目が覚めた。

マッサージのおかげかぐっすり眠れ、体も軽かった。


体を起こし、どうしたら良いかとボーっとしていると、天蓋の外から声をかけられた。


「ユリ様、お目覚めでしょうか?」

「はい、起きました」

「失礼いたします。こちらをどうぞ」


天蓋の向こうから蒸しタオルを渡された。いや、蒸しガーゼ?

とりあえず、顔を拭くものらしい。

よく見ると夏箱から出している。おしぼりの保温ケースを思い出した。


さっぱりして着替えてベッドから出ると、そのままメイクルームにつれていかれた。

化粧はしないと断ると、髪の毛だけまとめさせて欲しいと言われ了承した。


髪がきれいだと誉められたあと、普段の編み込みは誰がやっているのか聞かれ、自分でやっていると言うと、ものすごく驚かれた。

あまり信じていないようなので、後ろ髪の編み込みをやって見せると、更に驚かれた。

平民でも、髪の編み込みは他人にやってもらうものらしい。


適当にやって見せた髪をほどき、丁寧にきれいに編み込んでくれた。


小さい頃から両親が忙しく、少し不器用な母に頼まず幼稚園の頃から自分でヘアセットはやっていたので、編み込みで驚かれるとはユリは思っていなかった。


食事を部屋でとるか、みんなでとるか聞かれ、みんなでとりたいと言うと、朝食会場につれてこられた。

ランチをごちそうになる時とは違う部屋だった。


全員ではなかったが、何人かがいた。朝食は、バラバラにとるものらしい。

ソウも呼ばれてきた。


「ユリ早いね」

「今何時?」

「6:30位かな」

「いつもくらいに起きたみたい」


玉子台(エッグスタンド)に乗った半熟玉子、スライスされたハード系のパン、焼いた厚切りハム、付け合わせ、スープ、ミルク、果物がだされた。

人によっては、スープだけだったり、ジュースだけだったり、果物だけだったり。


フルセット食べている人もいて、皆パンは、スープかミルクに浸けて食べていた。


パープル夫妻と姉妹は居ないので、ここは、ゲストのみなのかもしれない。

ちなみに、王妃(ハイドランジア)も居なかった。


いつものように、アルストロメリア会の開始は9:00位で、それまで自由にしていて良いらしい。


「やることなくて暇だからお屋敷の調理場に顔を出しても良いですか?」

「はい。ご案内いたします」

「ありがとう!」

「俺は侯爵のところに居るよ」

「はーい」


ソウはパープル侯爵のところに行くらしい。

朝から担当してくれているメイドについていった。


「おはようございます!」

「これは!ユリ・ハナノ様!」

「スープ美味しかったです!」

「ありがとうございます!スープ気合いいれました!」


「少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「はい。私でわかることなら」

「栗ご飯と言うのは、ユリ・ハナノ様のお店の料理ですか?」

「はい。うちで出しています」

「そちらはご教授願えますか?」

「教えるのはかまいませんが、栗と米と日本酒あります?」

「ニホンシュではなく、ヒノモト酒ですが、栗と米はあります」


ヒノモトシトロンが、柚子だったので、たぶんヒノモト酒は、日本酒と同じようなものだと思う。

渡された物の香りを嗅ぐと、やはり日本酒のようだ。


「栗を剥いて、普通の水加減のご飯を炊く要領で、少し入れる酒の分、水を減らし、塩を加えて、栗は大きいものは少し切って、栗を米の上に乗せたままご飯を炊けば良いだけですよ」

「そんなに簡単なのか!?」

「栗を剥くのが面倒なだけです。米2~3合に、剥く前の栗にして500g位入れると美味しいですが、もう少し栗が少なくても大丈夫です」


「おい、栗剥き頑張れ!」

「はい」「はい」「はい」

「あ、そのままより、熱湯を用意して、そこに栗をいれて、3~5分くらい煮てから剥くと簡単ですよ」


言われるままに、熱湯に栗をいれ5分くらい煮てから取り出し剥き始めた。


「うわー!外側柔らかい!・・・しかも楽!」

「包丁、貸しても良いのがあれば少し手伝いますよ」


どう少なめに見積もっても、そこにある栗は20kg以上あるように見えた。

総出で剥かないと終わらない。


「小刀と牛刀が有るが、どちらが良い?」

「選べるなら小刀が良いです」


ユリは、栗のお尻側を切り落とし、鬼皮を剥き、煮たおかげで柔らかくなっている表面の実ごと渋皮を剥いた。

ユリの作業の早さに、一同は火がついたのか、競うようにやり方を真似て栗を剥いていった。


9:00少し前に呼びにこられ、ユリは洗っていない小刀をすみませんとそのまま返し、アルストロメリア会に行くことになった。


割烹着忘れた!と思ったら、ベッドの上に出しておいたのを持ってきてくれたらしい。


「ユリ様、不思議なお衣装ですわね」


「あ」


いつもはなるべく丈の長いワンピースを着てくるのだけど、着替えで持って来た服は、タンクトップ、ショート丈のブラウス、膝上丈のチェックの巻きスカート、色付きタイツだった。


「元の国では普通の服装なんですが、すっかり忘れてました」

「殿方のお衣装のようですが、お可愛らしいです」

「あー、元の国の他国では、こんな感じの男性の服がありますね。ちょっと着替えてきます」


最初に鞄に詰めて持って来たロングスカートに着替えた。

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