絶賛
異世界に来たからにはマヨネーズを作らなければ。
なんて。すでに誰かが出していると思うのよね。
残念ながら自作マヨネーズは誰も出していない。転移組全員が現物は持ち込んだが、ありふれた調味料を自作するという発想がないため、作り方を詳しく知らないのである。
その点ユリは、大量の缶詰やカレールーやソースやケチャップは持ち込んだのに、マヨネーズは家内用の数本しか持ってこなかった。
少し捻って、ポテトサラダにしましょう。久しぶりに食べたいし。
じゃがいもを半割りにして蒸し器で蒸かして、ついでに皮を剥いたニンジンもいれて、卵を茹でて、マカロニを茹でて、じゃがいもの皮を剥いて熱いうちにポテトマッシャーでしっかり潰して、塩コショウして、1度芋を冷やして、ハムを切って、きゅうりを切って塩揉みして水気を切って、茹で玉子を荒く刻んで、ニンジンを切って、全てをマヨネーズで和えたら出来上がりだ。
かなりめんどくさい。
早朝、パウンドケーキを作った後、朝ご飯の前に蒸し器にセットし、ジャガイモとニンジンを蒸かしたおいた。
熱々のじゃがいもを取り出し皮を剥いて潰しているとリラがきた。
「おはようございます」
「おはようー」
「何作ってるんですか?」
「ポテトサラダよ」
「ポテトサラダ?」
「じゃがいものサラダよ」
サラダと言えば、トマトか青菜のイメージのため、リラにはじゃがいもがサラダになるというのがわからない。
「何をすれば良いですか?」
「時間になってから、マカロニを茹でて、そのお湯でいいから次に卵を茹でてくれる?」
「はい!」
あれ?文字が読めるから説明しなくても茹で時間わかるのかしら?
ユリは潰し終わったじゃがいもに塩コショウして、あら熱をとって蓋をして冷蔵庫にいれた。
次はマヨネーズだ。
ボールに卵の黄身を5つ入れ、良く混ぜてから塩を混ぜ、酢を大さじ5杯入れる。しっかり混ぜ白っぽくなってきたら油を少しずつ加えていく。機械にかかる量になったらミキサーのボールに入れ、高速回転させながら油を少しずつ加えていく。たまに止め、ゴムベラで下からすくって混ぜる。油が全部混ざったら出来上がり。
油は酢の約10倍入る。卵黄1つ(約20g)に対し、酢7.5mlと油75ml ~ 酢25mlと油250mlくらいまで出来るらしい。
ユリは、卵黄1に対し、酢15mlと油150mlで作った。
時間になったのかリラがエプロンを付けて現れた。
早速マカロニをゆでている。
「リラちゃん、茹でるものの後、きゅうりとハムとニンジンを切ってもらえる?」
「はい!」
「ハムはこのくらい、ニンジンはこのくらい、きゅうりは薄切りね」
ユリは、ニンジンを5mm幅程度のイチョウ切りにし、スライスハムを1.5~2cm角くらいに切って見せた。
ユリはカスタードクリームを作り、バットに広げあら熱をとってから冷蔵した。
ポテトサラダに戻り、茹で玉子の殻を剥き、白身を大きめに切り、黄身は適当に潰した。
リラが切ったきゅうりを塩揉みし、水気をしっかり切る。
さて、これで揃ったわね?
「これを混ぜます」
「はい!」
「マカロニを持ってきてもらえる?」
潰したじゃがいもにマヨネーズを混ぜる。かなり沢山入る。作り方を見るとカロリーの高さにおののく。だからといって、マヨネーズを控えると美味しくない。
ハム、ニンジン、玉子、キュウリ、マカロニを加え、ふんわりしっかり混ぜるとできあがり。
「味見してみる?」
「はい!!」
「小皿持ってらっしゃい」
「はい!」
ユリはたっぷりよそってくれて、リラはあまりの多さに少し驚いた。
リラが一口食べる。
「ん?何これ!!!」
あまりの美味しさに、多くて驚いたはずが気がついたら何もなかった。
「ユリ様 凄いです!ものすごく美味しいです!!」
「それは良かったわね ふふふ」
「いい匂いがするにゃ」
「あら、ユメちゃんおはよう」
「ユメちゃん、おはようございます」
「おはようにゃ。何作ってるにゃ?」
「ポテトサラダよ。味見どうぞ」
ユリはリラに渡したよりは少し少ないくらいをユメに渡した。
「味見、多いにゃ」
もらったユメはやはり驚いていた。
ところが食べ出すと一気に食べ終わり、もう少し欲しいと言っていた。
「ランチの時に出すから楽しみにしていてね」
「はーい!」
「わかったにゃ」
「リラちゃん、ポテトサラダを中デッシャーでココットに80個お願い。疲れたら代わるから言うのよ?出来たらプチトマトを1つずつのせてね」
「はい!」
「一緒にやるのにゃー!」
中デッシャーは2つ有るのでユメも手伝ってくれるらしい。
夏のアイスクリームで使い込んで、握りがだいぶ柔らかくなったようだ。
ポテトサラダこそ、そもそも本来持ち込んだ理由の使い方なのだ。
「残ったら私たちの分は多めで5つ作ってね」
「はい!」
「やったにゃ!!」
ユリは玉ねぎを刻み、途中でリラも加わって更に刻み、2/3の玉ねぎを鍋で炒めた。
玉ねぎをたくさん刻んだため、リラがボロボロと泣いていた。
「換気して顔洗うと良いわよ」
「ふぁい」
涙声だった。
早く言ってあげれば良かった・・・。
冷えた玉ねぎと、挽き肉と、パン粉と卵と牛乳を加えて混ぜハンバーグ種にして、50個に分けて丸めて形を作り冷蔵した。
ハンバーグ種を分けるのはすっかりユメの仕事になったらしく、頼まずともやってくれた。
トマト缶と、避けておいた刻み玉ねぎと刻みセロリと調味料でトマトソースを作り、パセリを刻んだ。
リラに頼み、炊けたご飯にケチャップを合え、グラタン皿にいれてもらう。
少し緩く直したカレーをかけ、ユメがチーズをのせてくれた。
生クリームを作り、冷やしておいたカスタードクリームをまぜ、クレームディプロマートを作った。
リラにも頼み、細い口金を付けた絞り袋で、シュー皮に中身をいれていく。
あまりにリラが不安げなので、外おやつ用を任せた。
少し時間があまり、リラとユメにはクッキーを作ってもらった。
11:00になり、ランチが始まる。
◇ーーーーー◇
今日のおすすめランチ
カレードリア 500☆(限定40)
イタリアンハンバーグ 1000☆(限定45)
(チーズとトマトソース付き)
セット プラス500☆
(冷茶、ポテトサラダ、シュークリーム)
持ち帰り専用
凍結グラタン(1人前) (袋100☆) 600☆
(キノコ、ブロッコリー、ハム、マカロニ)
夏期の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。
解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。
※器返却スタンプ始めました!
◇ーーーーー◇
一気に席が埋まり、ユリは調理に集中した。
いつものように店をリラとユメに任せ、ドリアが焼けたと声をかけると、リラとユメが取りに来た。
ハンバーグも焼き上がり、チーズとトマトソースはリラがのせてくれた。
一段落し店に顔を出すと、ポテトサラダとシュークリームに質問が集中した。
「ユリ・ハナノ様! これ、これはなんですか!あまりに美味しすぎて・・・これは注文できないのですか?」
「えーと?」
声をかけてきた客は、ポテトサラダを指していた。
「少し残っているので、300☆で追加持ってきますよ」
「是非!!」
「あ、私もください!」
「こちらにも!」
「同じく!」
「すみません、ポテトサラダ追加が欲しい方は手を挙げてください」
1、2、3・・・15、全員だった。
リラが気を利かせて持ってきてくれた。
「ハナノ様、このパンのようなお菓子はおやつ時間には販売がありますか?」
「はい。これと、もうひとつ見た目が派手なのを販売します」
「楽しみにしてます!」
「はい。おまちしてます」
厨房へ戻り、追加に使ったポテトサラダの分をデッシャーでココットに入れた。
もう一度15個分は厳しそうなので、追加販売は完売ということにしましょう。
客が入れ替わり、早速ポテトサラダの追加を聞かれたが、完売だと断った。
ものすごく残念がられ、再販を希望され、来週にでも出しますと約束した。
これ以外は順調にランチは終了した。
ランチが終わる頃にソウとマーレイも来たので、みんな揃ってお昼ご飯を食べることができた。
ソウとマーレイもポテトサラダを絶賛していた。




