練習
カレーと、シーザーサラダを食べ終わり、みんな休憩に入った。残ったユメが小声で聞いてきた。
「ユリ、カレーはソウが作ったにゃ?」
「そうよ。ソウが作ってくれたのよ」
「あとで食べるにゃ」
「うん。ありがと」
ユメは気をきかせたのか、カレーを後で食べるらしい。
リラちゃんに聞いたのかしら?
ユリは外おやつの用意と、午後の準備をしながら予定を考えていた。
久しぶりにアングレーズソースを作って冷やした。
栗ご飯7合炊き、白ご飯3合をセットした。
あ、そうだ!と、冷蔵庫からカスタードクリームを持ってきて、1/3取り分けた。生クリームを泡立てほんの少しだけ残して混ぜ合わせた。
シュー皮を10個用意し、5個にカスタードクリームを絞り、5個に今作ったクリームを絞った。
冷蔵庫に戻し、シェル型のシュー皮をひとつだけ持ってきた。
上部を切り取り、縦に2つに切り分けた。
入れ物側にカスタードクリームを絞り、その上に生クリームを星口金で高く絞った。
S字に焼いたものを丸み側に差し込み、二つに切り分けた羽の部分を飾った。スワンシューだ。
スワンシューは、食べずに、明日まで置いておく。
「ユリ、それはなんにゃ?」
「スワンシューよ。白鳥の形ね」
「凄いにゃ!白鳥にゃ!」
「凄ーい!鳥だ!」
「あ、リラちゃん、もう時間?」
「いえ、お茶をもらおうと思って」
「明日売るにゃ?」
「そうね。明日売るのに、店内専用にするか、持ち帰り兼用にするか、決めるための実験よ」
「実験?」
「ホワイトチョコレートがあれば、持ち帰りにもできるんだけどね。たぶんダメだと思うわ。明日になればわかるわよ」
「二人とも、おやつ食べられる?」
「はい!」「たべるにゃ!」
「これ、明日のシュークリーム。こっちがカスタードクリームで、こっちが、クレームディプロマート」
「なんか凄い名前ですね」
「外交官のクリーム?」
「あ、ソウも食べる? カスタードクリームと、クレームディプロマート、どっちが良いか決めてもらおうと思って。あ、クレームディプロマートは、カスタードクリームと生クリームを混ぜたものよ」
マーレイも来て、みんなで試食した。
結果、全員クレームディプロマートが良いと言う意見だった。
「ユリ、カスタードクリームと生クリームを混ぜないで両方入れるのは作らないの?」
「作るわよ。スワンシューでね」
話しているうちに15:00になった。
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おすすめおやつ
フルーツパフェ(店内専用) 1500☆(限定14)
イチゴムース(持ち帰り兼用) 500☆(限定323)
持ち帰りおやつは10分以内に冬箱へ入れてください。
冷茶 200☆
お茶(注文した方のみおかわり自由)200☆
常温おやつ
パウンドケーキ 150☆
リラの華 200☆
黒猫クッキー 時価
(ユメちゃんから直接購入してください)
軽食
ホットサンド(ハム、たまご) 500☆
栗ご飯 300☆
おにぎり(新生姜の佃煮) 200☆
持ち帰り専用
黒蜜(現在売り切れ) 800☆
容器持参(150ml・180g) 500☆
凍結ミニミニグラタン 200☆(2個まで)
(コーン、グリンピース、ハム、マカロニ)
グラタンの持ち帰りについて。
夏期の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。
解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。
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「あ!しまった、アイス作ってないわ」
「俺作るよ何アイス?」
「イチゴとバニラ」
「手伝うにゃ!」
「ソウとユメちゃんお願いします。バニラは1回、イチゴは小さいアイス箱で2回です。出来たら大デッシャーで14個にしてもらえると助かります」
「リラちゃんは注文聞いたあと、フルーツ切ってもらえる?」
「はい!」
「マーレイさん、器だしてきて洗ってもらえます?」
「かしこまりました」
ユリはリラと注文を聞きに店に顔を出した。
ご飯ものとできているものは、さっさと出し、問題はフルーツパフェだけになった。
注文を受けるときに少し時間がかかると伝えたので、大丈夫だろう。
2個のオレンジを使って飾り切り。リンゴも2個を使って大きいうさぎりんご。缶詰めパイン半分、黄桃、キウイフルーツ、冷凍ブルーベリーをつかう。
容器に、イチゴシロップを入れ、アイスを2種類入れ、生クリームを絞り、フルーツとクッキーを飾る。
おやつタイム一巡目の注文を全てだし、少し落ち着いた。
「リラちゃん、クッキーお願いします」
「はい!」
「ソウ、餡子作るのと、クッキー作るのと、パイ生地作るのならどれが良い?」
「一番失敗が少なそうなのは?」
「餡子、クッキー、パイ生地の順かな」
「あんこ作るよ」
「じゃあこれ」
ユリは、水に浸けてあるさらし餡をソウに渡した。
「あんこって、小豆からじゃないんだね」
「粒餡なら小豆からでも良いけど、こし餡はさらし餡からの方が楽かな」
「たまに跳ねるから火傷に気を付けてね」
「わかった」
「マーレイさん、クッキーの補助お願いします」
「かしこまりました」
お店はユメがみていてくれるらしい。
ユリは、パイ生地の計量始めた。
まずはバターを切って1cm厚の正方形に固め、一旦冷蔵庫に戻す。
台に小麦粉を振るい、中央を開け、水分を入れ、カードを使いだんだんに混ぜていく。
ひとかたまりになったら濡れ布巾を被せ休ませる。
最初に作ったバターを出してきて、麺棒などで叩き、少し柔らかくする。
30分位休ませた生地に十字に切り目をいれ開くように伸し、正方形にする。
生地に対し、バターを斜めにおき、耳の分を被せバターをきれいに被う。しっかりくっつくように留める。
体重をかけるように麺棒で伸す。
四つ折にする。90度向きを変え伸ばし、三つ折にする。冷蔵庫で休ませる。
1~2時間後にもう一度、四つ折りと三つ折りをするとパイ生地が完成。
休ませている間にクッキーを焼き、手の空いた人にはバラの練習をしてもらった。
マーレイとリラは実践で使えそうだ。
「リラちゃん、ユメちゃんと代わってもらって良い?」
「はい!」
フルーツパフェは2順目で売り切れたので、面倒な注文もない。
「ユリ、呼んだにゃ?」
「ユメちゃん、バラ練習しない?」
「今、練習して良いにゃ?」
「はい、お願いします」
ソウも練習に加わった。
昨日よりもだいぶましになってきた。
みんなにバラを練習してもらい、閉店する頃には、時間はかかるものの、なんとか全員作れるようになった。
ソウとユメが練習している間に、ユリはパイ生地を伸し、マーレイを補助にマロンパイを作った。
これで今日の予定が全て終わり、お疲れ様!と、チャーシュー丼を振る舞った。
※王国語は、英語ではありません。
ユリの言葉として、シュークリームと言っています。
(仏)シュー・ア・ラ・クレーム
(英)クリームパフ
フランス語の「シュー」はキャベツのことで、「エクレア」は稲妻らしいです
また、英語圏で、「シュークリーム」と言うと、靴用クリームだと思われるそうです。




