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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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朝食

20時。

バラの練習が終わってみんなが引き上げた。

戸締まりなど片付けをした。


21時。

ユメの部屋を覗いて、布団の上に寝ているユメに布団をかけた。

お店のノートを読み出した。ノートは、主に感謝の言葉が多かった。一部、販売希望が書いてあった。


22時。

洗濯機を回して、お風呂に入った。


23時。

お風呂を出て洗濯を干し、寝る準備をした。


24時。

一旦眠りについた。

ふと思いだし、水に移すべきか悩んだ。


25時。

ユリはモソモソと起き出し厨房へ行った。

夏板の上にある鍋から袋に入った肉を引き上げ、水の入った大きなボールに移し、もう一度寝た。


6時。

目覚ましを止めたらしい。


7時。

起きるとソウが朝ご飯を作っていた。


「ごめん、寝過ごしたー」

「いや、早く起きた方が作れば良いし。おはよ」

「おはよう」

「さすがにユメは起きてこないな。ははは」

「ユメちゃん、昨日最初からいたものね。相当お疲れだと思うわ」

「そうだな」

「ごめん、ちょっと下見てくるわ」

「パンすぐ焼けるからな」


ユリは厨房へ来て、夜中に袋ごと水に入れた肉を水から出し、しっかり冷やすために冷蔵庫にいれた。

すぐに2階に戻り、ソウの作ってくれた朝ご飯を食べた。

トースト、目玉焼き、ベーコン、サラダだった。


「ごちそうさま、ありがとう」

「どういたしまして」


やっぱり、夜中に起きるのはダメね。眠いわ・・・。ちゃんと23時までには寝るようにしましょ。

普段は22~23時に寝て、6時前には起きている。

それに、月曜日(つきのひ)と、水曜日(みずのひ)は6時からパウンドケーキを作って、それから朝ご飯を食べているのだ。

幸いなことに、パウンドケーキは明日でも間に合いそうだ。

スタンプカードを作ったのは、返却の器を全てパウンドケーキで返すのが大変になってきたからでもある。器を返す人にしたって、3つ単位なのは面倒だろうし、種類も増えたのだ。


外掃除と準備のため、再び階段を下りた。


さすがに今日は並んでいる人がいなくてほっとしたのもつかの間、掃き掃除をしているユリに声をかけてくる人がいた。


「あのー、こちらがランチとお菓子の店アルストロメリアでしょうか?」

「はい!」


珍しく正式な店名を訪ねる人に対し、ユリからの好感度が高い。


「南のレッド領の更に先から参りました。お店は何時からですか?」

「夜通し走って来て、今着いたばかりと言うことですか?」

「はい。前の町への到着が遅くなり、宿に空きがなく、諦めて移動することになりました」

「それは大変でしたね・・・。ランチメニューでよかったら、出しますよ」

「本当ですか!? あの、使用人も一緒でも構いませんか?」

「うちは貴族でも平民でも女性でも子供でも構わないんですが、普段は成人男性しか来ませんね。ふふ」

「ありがとうございます。お言葉に甘えてつれて参ります」

「馬車はこの北側に止めてください。あ、何人前必要ですか?」

「5人前お願いいたします」


ユリが店に帰ると、扉のところにソウがいて驚いた。


「なにか出すの?」

「ソウ、電子レンジでご飯温めて良い?」

「おう!是非使ってくれ!」

「ありがとう」

「俺が案内しておくから用意したら良いよ!」

「うん。お願いします」


ユリは冷凍してあるご飯を5人前温めた。

次に、昨日から作っておいた低温チャーシューをスライスし、丼にご飯とチャーシューをのせ、タレをかけ、真ん中に温泉卵をのせた。

紫蘇の細切りを軽く散らし完成。


料理を持っていくと、成人男性3人、成人女性1人、未成年者1人の5人だった。

仲良くひとつのテーブルに座っている。


同じ盛り付けにしてしまったけど、大丈夫かしら?


「お待たせしましたー。今日のランチ予定のメニュー、チャーシュー丼です。食べられそうなら食後にデザートもあります。こちらお茶です」

「ステーキ?、いや、煮豚か?」

「あ、煮豚です。厨房にいますので、ごゆっくりどうぞ」


男達は、煮豚か。と少しがっかりしていた。

もっと珍しいものが食べられると、期待していたからだ。

見た感じは、角がしっかりしていて固そうだ。

ところが一口食べると、溶けるように柔らかい!

柔らかい茹で玉子も珍しく、とろっとして美味しい。彩りらしい葉も変わった良い香りがする。

これはきっと恐ろしく高級な肉を使用しているに違いない!

女性も子供も夢中で食べた。昨晩はろくに食べていないこともあり、一人前は余裕だった。


ユリがちらっと見ると、食べ終わっているように見えたので、デザートも食べるか聞くと、全員食べると言うので、イチゴムースを5つ出した。


即食べ終わり、5人はとても満足だった。


「ユリ・ハナノ様、お会計をしていただけますか?」


若く見えるユリを、最初は奉公人かと思っていたが、料理を出したことから、ユリ・ハナノなのだろうと理解したらしい。


「はい、7500☆です」


なるほど、あれなら7500☆でも納得の味だった。

と考えた男性は、7500☆を一人分の代金と考えた。


「では、37500☆かな?」


なぜ3万足した?

と、ユリは男性の計算がわからなかった。


「?いえ、全部で7500☆です」


本気で驚いた顔をしたあげく、小金貨(一万☆)を出し、こちらをお納めくださいと言って、帰っていった。


「ユリ、なにか手伝う?」

「ソウ今日は仕事無いの?」

「昨日終わらせたからマーレイも休みだぞ」

「バラ作るのと、仕込み手伝うのと、どっちが良い?」

「バラ作るのって仕事なのか?」

「一人で作るのは大変だから、誰か作れるようになったら出したいデザートがあるの」


ユリの役に立つ方は、明らかに仕込みだな。と、ソウは考えた。


「・・・仕込み手伝おうかな」

「今日は、日本風カレーと、チャーシュー丼です」

「俺、カレー作るよ」

「わかった。ありがとう」


「おはようございます。あれ?・・・ユリ様、誰かご飯食べたんですか?」

「おはよう。何か遠くから夜通し走って来たって人たちが来たから、ランチ出したのよ」

「器片付けちゃいますね」

「あ、ありがとう」


リラは器を下げるだけして、休憩室に入っていった。


カレーの材料を揃え、ソウと一緒にカットしていく。

カレーならソウも作れるのだ。ソウは飯盒炊飯(はんごうすいはん)ができる。

カットした材料が揃ったので、カレーはソウに任せた。


リラが来たので、グラタン皿を洗ってもらい、トレーに重ねておく。

その間にユリはグラタンの材料を揃え計量した。

リラと手分けして加工していく。

ブロッコリーを小分けにし茹でておく、マカロニを茹でておく、沢山のキノコを小分けにし、ハムを切り、玉ねぎをスライスし、ホワイトソースの材料を揃える。

リラに、具をグラタン皿に入れてもらう。

玉ねぎとキノコをいれてホワイトソースを作り、グラタン皿に注ぎ、リラにチーズをのせてもらい、できたトレーから冷凍する。


「ソウ、手伝うことある?」

「え!俺が手伝ってるんだけど?」

「大変なら声かけてね」

「了解」


ユリはシュー生地の用意をはじめ、リラに鉄板を用意してもらい釜の温度をあげる。


「リラちゃん、渋皮状態の栗があるから、渋皮マロン作ってみない?」

「はい!作ります!」


ユリはバターを熱し、小麦粉を加え、シュー生地を作っていく。

丸口金でこんもりと丸く絞りだし、たっぷり霧吹きを吹き掛け、高温の釜で一気に膨らませる。320個程作り、小さいものを50個ほど作ったあと、星口金に変えてシェルを絞る。

(クリームなどの絞り方で、出来上がりが、雨垂れ型になる絞り方)

シェルは50個程。同じく焼く。


更に口金を細い丸に変え、反対向きのS字をたくさん絞る。最後にSの片端に、ちょんと付けくちばしを作る。

少し温度を落として焼く。


リラに呼ばれ、渋皮マロンの途中経過を確認する。良い感じにできていた。


少量のカスタードクリームを作る。

卵黄を良くほぐし、グラニュー糖と小麦粉とコーンスターチを合わせたものを良く混ぜる。

温めた牛乳を加え、しっかり混ぜたら、裏ごしする。

鍋に戻し加熱する。

しっかりとろみがついてほど良い固さになったらバターを混ぜて火を止めラム酒を少量加える。乳臭さが減る。

バットに薄く伸ばし、清潔な濡れ布巾をかけ、あら熱をとる。(あるならラップフィルムでも良い)

冷蔵保存する。


「リラちゃん、それ終わったら葉っぱクッキー40枚くらいと、リラの華と黒猫クッキーお願いします」

「はい」


マーレイがジャガイモなどの搬入に来た。

ちょうど手の空いたリラに一緒にしまってもらった。


ユリは米を研ぎ、その後クッキーを手伝った。

マーレイもこの後も手伝ってくれるらしい。



もうすぐ11:00だ。

ソウのカレーもできたらしい。


◇ーーーーー◇

今日のおすすめランチ

カレーライス        500☆

チャーシュー丼      1000☆


デザートセット    プラス500☆

(冷茶、イチゴムース)


持ち帰り専用

凍結ミニミニグラタン    200☆

(コーン、グリンピース、ハム、マカロニ)

ミニミニグラタンの持ち帰りについて。

夏期の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。

解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。


※器返却スタンプ始めました!

◇ーーーーー◇


注文が、開始早々チャーシュー丼だらけだった。

いつもは新しいものは半分くらいの注文なのに。


まあ、チャーシュー丼は現時点で最大60人前作ることができるので、いくらなんでも売り切れはしないだろうと考えていた。

あ、朝出したから55人前か。


カレーの注文もある。でもほとんど出ない。

3順目にしてやっとカレーの注文が入り始めた。


うーん、この勢いで行くと怪しいかも?

お肉は計算上64~65人前あるのだ。

ユリは13:30頃こっそり温泉卵を10個作った。


そして14:00、チャーシュー丼は55食出て完売、カレーは20食だった。デザートセットは72食。


ユリ達が知らない、会報誌「癒しの店通信」のせいである。


「チャーシュー丼食べてみたかったです」

「有るわよ」

「え? 完売って、玉子が無いって・・・」

「さっき作ったわ。あと、お肉は5人前くらいはあるのよ」


ソウがうなだれているのが目に入ったらしい。


「あ、でも、カレー食べたいです!」

「私もカレーが食べたいなって思っていたのよ。サラダ作りましょう。シーザーサラダ」


ユメもいないし、カレーを食べてもらった方がありがたい。


ユリはマヨネーズにヨーグルトと胡椒をくわえてドレッシングを作り、カリカリベーコンとパルメザンチーズを散らしたレタスのサラダを用意した。


「これに、温泉卵をいれると美味しいのよ」

「なんだか凄いです!」


食べようとしたらユメが起きてきた。


「遅くなったにゃ。今起きたにゃ・・・」

「ユメちゃんご飯食べる?」

「にゃー、そのサラダだけほしいのにゃ」

「今作るわね」


ユリは用意してあった材料を合わせるだけでユメのサラダを用意した。

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