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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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再開

「おはようにゃ!」

「ユメちゃん早いわねー!」


ソウと朝ご飯を食べていると、ユメが起きてきた。まだ7時過ぎだ。


「ユメおはよう」

「ユメちゃんも朝ご飯食べる?」

「食べるにゃ!出せるもので良いにゃ」

「ご飯、塩鮭、味噌汁、目玉焼き、納豆で大丈夫?」

「それ食べるにゃ」


ユメの分の朝ご飯をだし、なぜ早起きなのか尋ねた。


「まだ早いけど、どこかでかけるの?」

「お店手伝うにゃ!」

「それは、ありがとう。無理しないでね」


ソウが食卓にいてくれると言うので、ユリは外の掃き掃除に行った。

なぜか並んでいる人がいる。現在7:35、なに待ちだろう?


聞いて回ると、お店再開のランチ待ちらしい。

朝ご飯のような時間から、ランチ待ち?みんな暇なの?

若干居た、ミニミニグラタンの購入希望者のみ、販売をした。

あまり列が減っていない。


どうにもならないので放置することにした。

ユリがわかっていないだけで、Fの日(かえんのひ)(火曜日)は、ほとんどの人がお休みなのだ。


2階に戻り、又外に並んでいる人がいると話すと、二人とも驚いていた。

販売ものではなく、お店の開店待ちにこんなに早くから並ばれるとは思わなかった。



ユリは厨房に行き、ショートニングで練習用のクリームを作った。

バラ用の口金を絞り袋につけ、ひっくり返したプリンカップにバラを絞る。


「うん、上出来!」


リラが来たら練習させる予定だ。


「ユリもう仕事するにゃ?」

「ユメちゃん、まだ準備よ」

「なにやってるにゃ」

「はい、これ、クリームのバラよ」

「凄いにゃ! 食べられるにゃ?」

「あー、これは練習用だから、害はないけど、美味しくもないわ」

「練習にゃ?」

「リラちゃんに覚えてもらおうと思ってね」

「一緒に覚えるにゃ!」

「そう? じゃあ、見ててね」


ユリはひょいひょいと簡単にバラを作って見せた。

ユメも真似してやってみたが、全く花にならない。


「難しすぎるにゃ!」

「私も、バラに見えるようになるまで かなりかかったわ」

「がんばるにゃ!」

「疲れない程度にほどほどにね」

「がんばるにゃ」


ユリは今日の準備をはじめた。

グラタン皿を購入したので、一気に作ることができる。いつもは30個の器を洗いながら2~3回に分けて作っていたので、作業性が悪かった。

足りない分の皿を洗った。


ハンバーグ用の挽き肉を作り、ミートミンサーを洗った。


スタンプカードを作り、お客様ノートを用意した。

スタンプカードは器返却カードで、ココットで1スタンプ、大きいココットで2スタンプ、グラタン皿で3スタンプの予定で、10スタンプで500☆、20スタンプで1000☆、30スタンプで1500☆の商品と引き換えられるようにした。

お客様ノートは、「希望や意見を書いてもらうためのものです、注文は直接してください」と書き添えた。


9時少し前にリラが来た。

厨房に居るユメを見て驚いていた。しかも何か作業しているのだ。


「ユメちゃんは何をしているんですか?」

「バラの練習よ。リラちゃんも、空き時間に練習

してね」

「はい・・・あ、外に沢山並んでいて、ミニミニグラタンの希望者もいました。9時から入ってもよければ売ってきますが?」


どうやらもっと早く来たが、並んでいる人に聞きながら来たため、店まで時間がかかったらしい。

ユリが聞き直すのは二度手間なので任せることにした。


「なら、お願いするわ」

「はい」


リラは外に行くことなく、袋にグラタンを詰めだした。やはり数も把握しているらしい。

なんか凄い数の袋を下げて重そうにしているのを見たユメが、袋を少し持つと言い出し、二人で外に持っていった。


その間ユリはランチに使うサルサソースを作っていた。


カットトマトの缶詰、玉ねぎみじん切り、ピーマンみじん切り、セロリみじん切り、黒胡椒、レモン果汁、辛味調味料、これらをよく混ぜれば出来上がり。

辛味調味料をいれる前に少しだけ取り分けておいた。ユメとリラの分だ。


辛味調味料は、2週間くらい前に作ったあれだ。


少しすると、何枚かの空の袋と共に戻ってきた。

冬箱や真冬箱を持参して並んでいた人も居たようだ。


「リラちゃん、レタスの細切りをお願いします」

「はい!」


ユリは、チリパウダー、ガーリックパウダー、オレガノ、パプリカパウダー、オニオンパウダー、ジンジャーパウダー、クミンパウダー、ホワイトペッパー、塩、これらを合わせたミックススパイスを作り、挽き肉に混ぜハンバーグを作った。


ユメが手伝ってくれると言うので、ハンバーグを量って丸めて貰った。それをユリが形作り、リラがレタスを切り終わってからはリラとユメに任せた。


マカロニとブロッコリーを茹でてから、玉ねぎを薄切りにし、チキンと炒め、グラタン用のホワイトソースを作る。

ハンバーグが終わった2人に、グラタン皿を並べてもらい、マカロニと小分けのブロッコリー入れておいてもらう。ホワイトソースを入れたものからチーズをのせてもらい、グラタンの用意も終わった。52個できた。


全ての用意が終わり、時間が余った。

ユメが手伝った分だいぶ早くランチの準備が整った。


「リラちゃん、休憩しておく?」

「朝、ユメちゃんが作っていたクリームのバラ?が練習したいです!」

「そうね、教えるわ」


ユリは、リラにバラの絞り方を教えた。

さすがにリラでもすぐにはできなかったが、昔、ユリが覚えた時間よりも早く上達するのだった。


「あ!ランチ前に、ミニミニグラタン売った方が良いですよね?」

「それもそうね」

「見てくるにゃー」


リラとユメが外を見に行った。

ユリは練習用クリームを片付け、ミニミニグラタンをいくつか袋詰めした。


少しして、リラだけ戻ってきた。

聞くと、ユメは黒猫クッキーを売り歩いているらしい。


リラの報告で足りない分を袋詰めにし、2人で持っていった。

この時点で、ミニミニグラタンは、100個以上売れたのだった。


3人で戻り、外のイーゼルにおすすめメニューの看板をのせた。


◇ーーーーー◇

今日のおすすめランチ

チキンとマカロニのグラタン 500☆

メキシカンハンバーグ   1000☆

(レタスとチーズとサルサソース(少し辛いトマトソース)がけ)


デザートセット    プラス500☆

(冷茶、ババロア)


持ち帰り専用

凍結ミニミニグラタン    200☆

(コーン、グリンピース、ハム、マカロニ)

ミニミニグラタンの持ち帰りについて。

夏期の販売は、冬箱か真冬箱をお持ちの方に限ります。

解凍し釜で焼いてからお召し上がりください。

◇ーーーーー◇


いよいよランチ開始だ。15分ほど早く開店した。

すでに並んでいる人が15人以上居る時点で、早く開けても16人目の人は2順目だ。4人ほどが2順目になった。


最初の注文は、グラタン9、ハンバーグ6だった。全員セットだ。

グラタンを釜にいれ、ハンバーグを焼きだした。

リラとユメはトレーやセットを用意し、ハンバーグの注文があった席に、耳掻きのような細長い小さなスプーンを挿した辛味調味料を持っていき、使い方を説明して回った。


「これは辛味を足す調味料です。ものすごく辛いので、少しだけ足すと美味しいらしいです。私には辛くて少しでも食べられません。お好みでどうぞ」


「辛味調味料にゃ。ものすごく辛いにゃ。少しだけ足すと美味しいらしいにゃ。でも辛過ぎるのにゃ。辛いの好きな人だけ足すのにゃ」


「出来ましたー! お願いしまーす!」


ユリが厨房から呼んでいたのでリラとユメは料理を取りに戻った。

グラタンを先にだした。

ハンバーグには、レタスをのせ、溶ける細切りチーズをのせ、サルサソースをかけた。

次々にハンバーグをだし、全テーブル料理が揃った。


「すみませーん!」

「はーい」


客から呼ばれた。

ユリが見に行くと、「辛味調味料は、グラタンに使ってはダメなのか?」と言う質問だった。


それが美味しい人は使っても構いませんと答えた。


1順目はしばらくは暇になるので、リラとユメは外を見に行き、ミニミニグラタンを売ってきた。


いつもより早く全席2順目に交代した。

グラタンが7、ハンバーグが8の注文だった。

やはり全員セットだ。作っている間にリラとユメが辛味調味料の説明にいってくれた。

少し時間がずれての注文だったので、ハンバーグは2つのフライパンで作った。


本日分は、50、50で100食分用意してある。

足りないと言うことはないと思うが、双方食べる人たちは又来るのだろうか?


2順目の半分が帰り、3順目が始まった。

ユメには帰り際にミニミニグラタンの持ち帰りを頼む人に対応してもらい、ユリが作り始めると、リラが注文をとって回った。


やはりダブル注文の人たちが来たらしいが、ランチ終了時点で、グラタン完売(52)、ハンバーグ45、セット86売れたようだ。


久しぶりの繁忙にみんな疲れたのだった。

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