重陽
今日は重陽の節句なので菊酒をと思ったが、ソウも自分もほぼ飲まないので、思っただけで終了した。
うん。来年頑張ろう。
食用菊の酢の物が食べたい。
さすがに手に入らなそう。
んー。イベントは諦めた!
冷蔵庫に冷水がなかったので、炭酸水で紫蘇ジュースを割って飲みながら部屋で考え事をしていた。
リラちゃんの給料、
基本給20万☆÷23×19=165217
残業1500☆34時間=51000☆、
賞与10万☆(リラの華)
合計316217☆で良いかしら。
マーレイさんは、仕入れ代金と一緒に週払いしているから問題ないわね。
大金貨3、小金貨1、大銀貨6、小銀貨2、大銅貨1、小銅貨7
20枚のコインって、結構な量ね。
他に支払いは、ローズマリーさんに頼んでる衣装って、いくらくらいかかるのかしら?
元の国でドレス頼むと、20万~100万位らしいのよね。私のはともかく、ユメちゃんのはきっと高いわよね?
ソウが礼装作った時、いくらしたか聞いてみようかしら。
あとは、月末にココットの引き取りと、グラタン皿はいつできるかしらね。
あ!黒蜜容器も頼んでくればよかった!
あー、すっかり忘れていたわ。
そういえば、ソウはラムネ売りたいのかしら?
ガラス容器があると華やかなんだけど、 ガラス瓶は高いのかしら?
手元にある、お菓子が入っていた空のガラス容器を見ながら考えていた。
コンコンコン
「ユリー居るにゃ?」
「はい、どうぞー」
ユメが来た。
「ラムネ乾いたにゃ?」
「あ、そうね。もう大丈夫だと思うわ」
「きな粉棒もリラに渡して良いにゃ?」
「構わないけど、まだ残っているの?」
「少しだけあるにゃ!」
「それも作りましょうか?」
「電子レンジないにゃ?」
「鍋とボールで作れるわよ。あ、でも爪楊枝はないけど良いかしら?」
「爪楊枝は食べないにゃ!」
「そうね。ふふふ」
早速、キッチンで作ることになった。
手鍋に水飴を入れ弱火で温め、ボールには黒糖を混ぜたきな粉を用意する。
温めて柔らかくなった水飴をきな粉に加えたらやけどに注意しながら良く混ぜる。
触ることができる温度になったら平らな所に出し、平たく伸ばし、適当な大きさにカットする。
少し薄めに伸ばし、ねじって仕上げると、「きな粉ねじり」になる。
「ユリー、きな粉と黒糖混ぜたにゃ!」
「ありがとう。水飴もすぐ温まるわ」
水飴がいい感じに柔らかくなったので火を止めた。
「混ぜるわよー」
「どうぞなのにゃ!」
きな粉に水飴を混ぜ、こぼさないように混ぜる。
間違っても水飴に触らないように気を付ける。粘度が高い熱いものは、火傷が重症化しやすい。
なんとか触ることができる温度になったので、平らに伸し、ユメの注文通りにカットした。
一口で食べられる、キャラメルサイズをたくさん作った。
食べるときにきな粉をこぼさない為の工夫らしい。
「これ良いわね。ソウに少し残して良い?」
「大丈夫にゃ! ユリ、何か入れ物あるにゃ?」
「リラちゃんに渡す用?」
「そうなのにゃ!」
「おしゃれな容器と、実質的な容器、どっちが良い?」
「両方欲しいにゃ。リラにおしゃれな容器にゃ、もうひとつは自分で使うにゃ」
「ガラス瓶と、タッパーを渡すわね」
ユリは部屋に有った、以前お菓子の入っていたガラス容器を持ってきた。
キッチンに有ったタッパーも一緒に渡した。
「これ、箸を使って、そっと入れると良いわよ」
「わかったにゃ! ありがとにゃ!」
ユメは、ガラス容器に綺麗に見えるようにラムネを詰めて、残りをタッパーに入れていた。
きな粉棒(ダイス?)も容器が必要かな?と思い、容器を探すのだった。
「あ、ユメちゃん。きな粉の方は密閉容器が良いから、リラちゃんに渡す分もタッパーが良いわよ」
「わかったにゃ!」
「そろそろお昼だけど、なにか食べる?」
「お腹空いたにゃ!」
「あ、いたいた!」
ソウが大きな箱を抱えて戻ってきた。
朝ご飯の後、出掛けると言って今まで居なかったのだ。
「おかえりなさい。なにか買ってきたの?」
「ただいま。電子レンジ買ってきた!」
「え!?」「使えるにゃ?」
ソウは、箱を開けながら答えた。
「炊飯器やオーブントースターと同時でなければ大丈夫だろう」
「何に使うの?」
「え?」
ユリは元々あまり電子レンジを使わないので、なくても困っていなかったのだ。
むしろソウが使いたかった。
先日の、ご飯を温めるために転移したのが、とても面倒だったのだ。
「ユリ、要らなかった?」
「あ、あれば便利よね。どうもありがとう」
「うん・・・」
「きな粉棒が作りやすくなるにゃ!」
「そうだよな! ユメ、早速作るか?」
「さっき作ったにゃ」
ユリは必死で考えた。
電子レンジを使うもの、使わないと作れないもの・・・。
「無限ピーマ、いや何でもないわ」
ピーマンはユメちゃんが食べないんだった。
ユリには、電子レンジがないと困るものが思い浮かばなかった。
「ユリ、焼おにぎり作ってよ!電子レンジでいつでも食べられるから」
「え、あ、はい」
ユリが居ないときにここで食事をする機会はあるのだろうか?
ユリとユメは思ったが、あえて言わなかった。