蝶豆
食事をする部屋に案内され、すすめられた席に座ると、ラベンダーとマーガレットもやってきた。
ユリを見つけると、何か話しかけたそうにしていたが、食事が運ばれてきたので、諦めたようだった。
ハンバーグと聞いていたが、かなり小さめに丸めたハンバーグと、トマトソースの煮込みで、これじゃない感が凄かった。
「これは、ミートボール?」
「そうだ!ミートボールだ!」
「でも美味しいにゃ」
「まあ、そうだな」
「色々頑張っているのねぇ」
恐らく煮込みハンバーグの変形なのだろう。
食事が終わるとラベンダーが質問してきた。
「ユリ様、以前教えていただいた青い花ですが、バタフライピーでは探せなく、特徴と見た目を説明しましたところ、『アンチャン』と言う花が、同じものではないかと言われました。これも違う呼び方なのでしょうか?」
「アンチャン?・・・あ!あの花をお茶で飲む現地の呼び方です! 恐らく同じ植物のことです」
「そうなのですね!今咲いていますのよ」
微笑んだラベンダーの目線の先に鉢植えの青い花が見えた。
行灯仕立てのようで、支柱や輪に巻き付けてあるらしい。
どうやら庭にも植わっているようだ。
「お菓子の色粉として使うときは、花を乾燥させて粉末にするか、酒に漬けるか、濃いめにお湯で出すかして使ってください。花の姿のままだと、なかなか色が出ませんので、お茶の場合は、砕くかハサミで刻んでください」
「お茶にすると美味しいのですか?」
「普通は、レモングラスと一緒にハーブティーにするようです。単品だとあまり味はしません」
「ユリ様は好きなお茶ですか?」
「青い色がきれいなので好きです。レモンなどを加えると色が変わって面白いですよ」
「どのくらい使えばよろしいのですか?」
「ティーカップ1杯分なら花1つ分で、しっかり青いお茶になります。レモングラスはティースプーン軽く1杯くらいです。あれば、ステビアをほんの欠片加えると飲みやすいです。3杯分のポットでも、ステビア1枚の半分で多いくらいです」
「ステビアがわかりませんが、代わりのものはございますか?」
「無ければ砂糖で大丈夫です」
「今度試してみます。ありがとうございます」
今度はローズマリーが聞いてきた。
「ユリ様、アルストロメリア会でお茶をするときに使われてはいかがですの?」
「普通のお茶も用意してでなら構わないですよ。見た目から拒否反応を示すかたもいらっしゃる色なので」
「用意するものはなんですの?」
「普通のお茶の他、ティーポット、ティーカップ、好みで、砂糖とミルクとレモンでしょうか?」
「楽しみにしております」
そういえば、麦茶など、日本のお茶系のものは出てきたことがあるが、フレーバーティーは見かけたことがない。せいぜいミルクティーだ。ハーブティーとフレーバーティーを持ってこようかしら。
「そうだ!ローズマリーさん、今度のアルストロメリア会って、ミルフィーユでしたよね? 前日の夜から伺ってパイ生地を仕込みたいのですが、皆さん何時までなら活動可能ですか?」
「前日とは、Gの日の夕刻と言う意味ですの?」
「はい。お店終わってからなので、早くても19:00頃からです」
「21:00でも22:00でも、希望者のみとすれば特に問題ないかと思いますわ。当然全員参加するとは思いますが・・・」
「ユリ、あんまり遅いと参加できないにゃ・・・」
「21:00迄はかからない予定よ」
「それなら参加するにゃ!」
「ではその方向でよろしくお願いします」
「はい。お待ちしております」
今日は招待ではないので、帰りに市場を見て帰ることができると思い、ボーンリーフ商会が何処にあるのか聞いたところ、なんと、魔動力機器コニファーのすぐ目の前らしい。
工房は郊外にあるが、見本をおいた店舗はすぐそばだった。
ローズマリーに良くお礼を言って屋敷を後にした。
帰りにソウに市場によってもらい、ボーンリーフ商会に顔を出すと、驚かれた。
お店で使っているグラタンの皿がわかるか聞くと、わかると言うので、あれを無地で作ったらいくらになるか聞いてみた。
納品数によるが、100以上なら200☆以下にはなると言う回答だった。
初月に300、毎月100位の予定で、150☆位が理想ではあるけど、値下げしろと言う意味ではないと説明した。
すると、100個というのは、総数であって、毎月注文があるなら150☆で恐らく可能だろうと言われた。
ならばと、300個注文して、出来上がり次第納品となった。
ついでに、受け皿の木の皿を何処に注文すれば良いか聞くと、注文は受け付けるけど、ああいう感じの木の受け皿は恐らくどこの家にもあるから、一緒に販売するつもりなら売れないと思うと言われた。
なので、100個だけ注文した。こちらは確定140☆らしい。
14000☆先払いし、一緒に納品してくれるよう頼んだ。
ちなみに、ユメは疲れたらしく、馬車の中で寝ると言って降りても来なかった。
ユリが降りる前に黒猫になって、寝ていた。
ユリも疲れたので、早く帰ろうと思った。




