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問屋

早く寝たからか、大分早く目が覚めた。

朝ご飯でも作ろうかしら。


キッチンに行くと手紙が置いてあった。


◇ーーーーー◇

ユリへ

早く起きても朝ご飯は作らないように。

モーニングを食べに行く予定です。

p.s.

小腹がすいたり作りたいものがあるときは、

家に有るどの材料を使ってもokです。

◇ーーーーー◇


あはは、見越されている。

ならばおやつを作りましょう。

家捜ししてやるぅー。ふふふ。


勝手に戸棚を明け、何があるか材料を探した。

笑っちゃうくらいなにもなくて、無理にでもなんか作ってやるーと、かえってユリを燃えさせた。

(※ユリは冷蔵庫を開け忘れているのである。)


重曹、クエン酸、粉糖、コーンスターチ。

見事に白い粉ばかり。

と言うか、これ頼んだけど受け取っていない材料だわ。


んー。この材料で作れるものは・・・あれね!

あとは道具類ね。


カトラリー置き場や、調理器具置き場を探して、深めの計量スプーンを見つけた。


「さすがに同じ大きさはないか・・・」


まあ、真ん丸にならないけど、半球にはなる

からね。

あと、ボールとバットと、あ!良いものがあった!

ポーションタイプのかき氷シロップを発見した。イチゴ味とメロン味がある!


「うふふふふふ」


さあ作りましょう。


コーンスターチを混ぜた粉糖とクエン酸とかき氷シロップを入れてよく混ぜてから重曹を加えて、又混ぜて、型や、丸みの深い計量スプーンに、ギュギュっと詰めて、バットの上に、コン、と叩いて出し、乾燥させるだけ。


取り出す音が響いたのか、みんな起きてきた。


「おはようユリ、何やってるの?」

「ユリ、なんか面白いことしてるー」


「うふふ、お菓子を作ってるのよ」

「え、お菓子作る材料なんて有った?」

「重曹、クエン酸、粉糖、コーンスターチ、かき氷シロップが有ったわ」

「それだけで何かできるの?」

「ラムネよ」

「え、ラムネって家で作れるの!?」

「乾燥に時間がかかるけど、作るのは簡単よ」


「一緒に手伝うー」

「あー、計量スプーン新しいの出そう」

「え!あるの? 同じ大きさがあれば真ん丸ラムネが作れるわ!」

「それって、買うと高いやつ・・・凄いな、ユリは」

「ユリが凄いのはいつもー」


結局、大きさの違うラムネを3人で量産した。


ラムネは只今乾燥中である。



今日もソウの運転で出かける。

モーニングはシティーホテルで、フルーツたっぷりの特別期間だったようで、シャインマスカットのデザートがとてもたくさんあり、豪華だった。


ユメが楽しそうにたくさん食べていた。

懲りないなぁ。

今回は、苦しくなる手前でやめたらしく、もうひとつ食べてくれば良かったかな?と言っていた。


帰りはみんなで話しながら、今日の予定の問屋へ向かった。


「ラムネって、かき氷シロップを入れて作るものなの?」

「あれは、色と香りのためで、無くても作れます」

「そうなの?」

「昔のかき氷シロップは、色だけで臭いや味はついていなかったらしいけど、今のかき氷シロップは匂いや味がわかるわね」

「そうなの?」

「そうらしいわよ」

「かき氷シロップを入れない場合はどうするの?」

「レモン果汁だったり、少しの水分ね。そうそう、ハーブを入れて作ると、大人向けになるわよ」


「ハーブ?」

「ミントエキスとか、ジンジャーパウダーとか、シナモンパウダーとか」

「え? それって、ミントタブレットとかジンジャータブレット?」

「市販品よりかなり柔らか目だけどね」

「売ってるみたいに硬くするにはどうするの?」

「機械で圧縮かけるのよ。あとは、低温で軽く焼くと硬くなるけど、少し違うわね」


「ユリ、いつ食べられるー?」

「半日から一日くらい乾かすと出来上がりよ」

「持って帰るー?」

「そうなるかもしれないわね」

「リラに分けても良いー?」

「ソウ、向こうに無い材料のお菓子は不味いわよね?」

「リラだけなら良いぞ、今さらだし」

「リラだけにするー」


「あ、そうだ!カエンちゃんに差し上げようと思っていたパウンドケーキがあるんだけど、ソウ、持っていく? それともみんなで食べちゃう?」

「食べるーー!!」

「ユリ悪いけど、それ食べよう。で、カエンには又作ってもらえるか?」

「かまわないわよ。何かあるの?」

「魔力不足ー」

「え? あ、黒猫クッキー有るわよ」

「ユメのご利益は、ユメには効かんだろ?」


「あー、確かに」

「ユリの方がご利益有るー」

「お菓子が魔力回復に良いのって、ご利益だったの!?」

「きっとそうー!」

「えー?」


「そろそろつくぞ」


食品問屋に到着し、ユリは写真つき会員証を提示して同伴者2名と申告し、中へ入った。

二度と使わないかもしれなかった会員証だが、財布に入ったままだったのである。

あちらでは財布(札入れ)自体を使わないので、中を改めていなかったのだ。


「あまり離れないでね。買いたいものがあったら勝手に持ってこないで教えてね」

「わかったー」

「ユリ、何買うの?」

「1号缶のうずらの卵とトマト缶かな」

「急がないならうちに置いていって。あとで向こうに運ぶから」

「ソウ、ありがとう!」


「うわー!なんかでっかい!!」

「ユメ、もう少し静かに」


ユメは見たことがない大きなパッケージを発見して喜んでいた。


「はーい・・・わー、いっぱい入ってるー」

「ユメちゃん欲しいもの有った?」

「おーりん!」

「あー、あの王林は12月にならないと売ってないわ」

「えー!」


「何かお菓子買って良いから選ぶと良いわよ」

「お菓子はユリが作った方が良いー」

「あら、ありがとう」


「ユリ、ラムネ以外も何か駄菓子作れる?」

「駄菓子? ・・・きな粉棒とか?」

「え!きな粉棒も作れるの!?」

「きな粉棒は、きな粉と水飴と砂糖と、爪楊枝ね」

「作ってくれる?」

「かまわないわよ。あ、こっちにいるうちの方が簡単よ」

「なんで?」

「電子レンジがあるから、形作るのに時間がかかっても温められるし」

「やっぱり持ち込むか・・・」


「あとは、スモモとか桜大根は普通に漬け物だし、駄菓子って何がある?」

「ヨーグルって、不思議なクリームのお菓子は?」

「作ったことはないけど、ホイップしたショートニングに、砂糖と酸味料を入れれば近い味になるわよ」

「あれ油だったのか!」


「麩菓子も聞く?」

「お麩に黒糖絡めるの?」

「強力粉をしっかりこねて休ませてから水で良く洗って強力粉を足して細く伸ばして霧吹きして焼くと焼き麩ができて、それに黒糖のアイシングを塗って乾燥させるとできるわ」

「え、お麩から作るの!?」

「焼く前の状態を茹でると生麩よ」

「もう思い付かないや」


一人で先を行っていたユメが戻ってきた。


「ユリー、凄いの有ったー!」

「何か欲しいの有ったの?」

「大きいミカンと小さいミカン!」

「1号缶と、小型2号缶ね。容量30倍以上ね」

「この大きいのと小さいの買うー!」

「缶詰は、4号缶の方が安いものもあったりするのよね。流通量の差かしらね。ユメちゃん、大きいのはわかるけど、小さいのはどうするの?」

「大きいのはお店でゼリーにするー。小さいのはおやつー」

「ほしかったら買っても良いけど、ものすごく少ないわよ?おやつなら8号缶の方が良いわよ? あ、買うのは4号缶からは12缶単位よ」

「だから箱に入ってるのー?」

「箱入りで置いてあるものは、バラでは売っていないのよ」


「あとは何買うのー?」

「紙袋よ」


次々に店を回り色々買い集める。


「ここは何買うのー?」

「ここはワンコインショップよ。どれでも同じ値段なのよ」

「来たことはないけど知ってるー」

「ユリは何買うのー?」

「グラタン皿、あちらの食器屋さんで揃えた方が良いかしら?持ち帰り用にワンコインショップのを使おうと思ったんだけど・・・」

「あちらで値段交渉してからにすれば?」

「その方が良いかもしれないわね」


結局食器は買わずに調理器具を少し買った。


「ここは何買うのー?」

「ここは製菓材料店。葛粉とか紫芋粉とかココアとか、ケーキの型とか焼き型とか売ってるのよ。トヨ型とかケーキの箱とか買おうかと思って」

「新しいお菓子ー!」

「トヨ型ってなんだっけ?」

「半円の、かまぼこみたいな形、雨どいの形」

「あー、何に使うの?」

「ムースを作ろうと思って。寒くなればケーキも良いかなぁって」

「なら、シフォンケーキ食べたい!」

「え、あ、うん、冷凍に卵白いっぱい有るからそのうち作るわね」


トヨ型やクッキー型や、ブラックココア等を購入し、最後にスーパーに寄った。


結局、きな粉と水飴とジンジャーパウダーを予定外に買うことになった。


ユリが作らないものと言うことで、皿うどんを食べた。

ユメがはじめてだったらしく、驚いていた。

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