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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
3章

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帰郷

早く目が覚めた。

昨晩はなかなか寝付けなかったので少し寝不足ぎみだ。


洗濯物を集め、洗濯機をまわした。

リビングと自分の部屋を掃除し、終わった洗濯物を干した。


朝食は、昨日の残りのパンと卵を焼こう。

冷蔵庫に生物(なまもの)を残さないようにしないとね。

んー、牛乳が結構あるわね。なら、フレンチトーストにしようかしら・・・。


卵を溶き、温めた牛乳を加え、少し砂糖を足してからパンを漬け込んだ。


「おはようにゃ!」

「おはよう。ソウより早かったわね」

「ソウ起きてないにゃ?」

「こっちには来てないわよ。ユメちゃん朝ご飯食べる?」

「朝ご飯食べるにゃ!」

「フレンチトーストだけど、甘いのと、しょっぱいのどっちが良い?」

「甘いのが良いにゃ!」


「おはよう・・・ユメ早いな」

「おはようにゃ!」

「おはようソウ。フレンチトーストどっちにする?」

「甘い方・・・ふあー」


ソウはまだ眠そうに大きなあくびをした。


ユリはフレンチトーストをバターたっぷりで焼き、ソウとユメの分には粉砂糖をふりかけ、メープルシロップを添えてだした。

自分の分は、ケチャップとハムとレタスを添えて食べた。


「甘いパン美味しいにゃ!」

「メープルシロップ、罪な味だよなぁ」


そういいながらもかなり大量にかけている。


「ユメ、メープルシロップはどうやって作るか知ってるか?」

「メープルシロップは、サトウカエデの樹液を煮詰めたものにゃ!」

「ユメ、よく知ってるな」

「ユリに教えてもらったにゃ!」

「あら、よく覚えていたわね。偉いわ」


たっぷりかけたメープルシロップを、ソウは残らずパンに吸わせるようにして食べていた。


「いつ出発するにゃ?」

「少し片付けたいから、30分は後かしら」

「俺もそのくらいが良いな」

「わかったにゃ。お部屋に居るにゃ」

「はーい」


ユメが部屋に戻り、ソウが洗い物をしてくれるというので、ユリは残っていた片付けをした。




着替えが終わり、出かける用意ができた。

ユメとソウに声をかけ、ソウの部屋に集合した。


「予定を聞いてくれ。まずは、この国の転移ポイントに行く。そこから境界を越える。あちらについたら俺の家に転移する」

「3回転移するということ?」

「ちょっと違うが、その理解で大丈夫だ」


「ソウ、ゲートと同時に転移を展開すれば1度で行けるはずにゃ」

「ゲート?」

「ソウの言う境界にゃ。あれは多重結界にゃ。ソウが使っているのは、ゲートにゃ」

「そうなのか!? ユメは、そのゲートも使えるのか?」

「ゲートは使えないにゃ。転移だけにゃ」


「入ってくるときはそれでも来ることができるけど、こちらから行くときは、カエンの時、できなかった。一人の時は一度で行き来できる」

「カエン重たいにゃ?」

「え?」

「ソウの体重より重たいときは、ゲートも多く魔力を使うにゃ」

「あー!成る程!転移の時と同じなのか!」


「一応カエンのために言っておくが、カエンは俺より軽いよ。帰りたくないカエンが家具をつかんでたから・・・転移ポイントで、落ちた」


落ちたんだ・・・。

当時何も言わなかったから、何事もなく帰ったのだと思ってたわ。


「なら、一人ずつなら一気に行けるのか」

「そういうことにゃ」

「向こうに行くならユリから行くか」

「わ、わかったわ」

「靴持ってきて捕まって」

「すでに持っているわ」

「いくよ」


クラっとして目を開けたら元の国のソウの部屋だった。


「ユメをつれてくるから部屋の外に居てくれ」

「わかったわ」

「行ってくる」


ソウがいってしまうと、ユリは急いで部屋を出た。

廊下に居るのもなんだと思い、キッチンに行くと、なんとカエンがいた。


「ユリお姉さま。その節は大変ご迷惑をお掛け致しました」

「こ、こんにちは、カエンちゃん。今日はどうしたの?」

「ユメちゃんに用がありまして」

「ユメちゃんに会ったことありましたっけ?」


「にゃーーーー!!!!」

「え?ユメちゃん?」

「ユメ、しっかりしろ! 」


ユリとカエンは階段をかけ上がり、ソウの部屋に来た。

扉を開けると、暴れる黒猫を抱いたソウがいた。


「ユメちゃんどうしたの?」

「突然叫んだと思ったら黒猫になってそのままなんだ」


ユメは怯えたようにずっと鳴いている。


「お兄様、少し私にお任せくださいませ」

「カエン?」


カエンはユメを抱き上げ、小声で何か告げるとユメがおとなしくなった。


「先読みで見ました。お任せください」

「ユメ、カエンに任せて良いのか?」


黒猫のユメは首を縦に振った。


「ユメちゃん、どこか痛いの?」


黒猫のユメは首を横に振った。


「少しお話しするだけでございます。お兄様もユリお姉さまもご安心ください。お買い物にいかれて大丈夫でございますよ」


「でも・・・」


「少しお話しした後、もしかすると一緒に出かけるかもしれませんが、必ず本日中に戻って参ります」

「わかった。カエン、ユメをよろしくな」

「カエンちゃん、ユメちゃんをよろしくお願いします」

「はい。任されました」


ユメをカエンに任せ、ホシミご夫妻の家に転移した。

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