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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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揚物

「今日は何を作るんですか?」

「アイスクリームは、チョコ3回、ブルーベリー

2回、あと、オレンジゼリー100個ね」

「えーと、ココット210個くらい洗っておきます!」

「お願いします」


ユリはリラに答えたあと、ランチの用意の続きを再開した。

今日はミックスフライの予定だ。

串カツ、ウズラの玉子串、茄子、南瓜、それぞれのフライ。


少し細目の串にウズラの茹で玉子4個を刺し50本、玉ねぎと豚肩ロースで串カツを作り100本、小茄子25個を半分に切って切り目を入れて50カット、南瓜の薄切りを50カット。


すでにカットと串刺しは終わっているので、あとは衣をつける。

器を洗い終わったリラが衣付けを手伝いに来た。


「この小さいのは卵ですか!?」

「あれ、ウズラってわからない?」

「はい。うずら分かりません」

「この缶に茹でた玉子が入っているのよ」


ユリがウズラの玉子の空き缶(1号缶)を見せると更に驚いていた。


「ミカンみたいに缶に入ってる!?」

「え」

「皮が剥いてあるミカンも驚きましたが、茹でてある玉子も驚きました」

「あ、なるほど・・・」


普通の人は1号缶なんて見る機会はあまりない。その上、缶詰がない(瓶詰めは高価だが有る)国でフルーツ缶だけでも珍しいものなのに、茹で玉子の缶詰は衝撃的すぎたようだ。


「この缶に小さい茹で玉子がいっぱい入っているんですか?」

「そうね」

「何個入っていたんですか?」

「何個・・・冷蔵庫にある残りと、ここに200個ね」


リラは冷蔵庫を覗きに行って数えたらしい。


「42個有りました!」

「なら、242個入っていたのでしょうね」

「どんな味ですか?」

(にわとり)の玉子よりも、黄身が多い感じかしら?」

「お昼ごはん楽しみです!」


これは売り切れて食べられなかったら落ち込みそうだわね。


「お店売り、限定45にしておきましょうね」

「ありがとうございます!」


話ながらもどんどん衣をつけていき、予定よりも大分早く出来上がった。

5人前ずつに分け、トレーにのせ冷蔵庫にいれた。


次に、ホワイトソースとミートソースを作り、ミートドリアを30個作った。

材料的には、あと12~13人前作れそうである。


「アングレーズソース3回作りますか?」

「あ、お願い!」

「はい!」


リラが材料を量っているとユメが起きてきた。


「おはようにゃ!」

「おはようユメちゃん」

「ユメちゃんおはようございます」


ユメはユリの手元を覗いてから聞いてきた。


「何作ってるにゃ?」

「まだランチの用意だけよ」


ユリはキャベツの千切りをしながらユメに答えた。


「手伝うのあるにゃ?」

「ココット型にミカンを3粒入れたものを100個用意してもらえるかしら?」

「まかせるのにゃ!」


ユメはミカンの缶詰を取りに行った。


マーレイが来て、肉や野菜を置いていった。


缶詰を持ってきたユメは、缶切りで開けられずにユリに頼もうとしたところ、ちょうどマーレイが来たので、開けて貰ったらしい。


「ユリ、98個できたにゃ。あと2個はどうしたら良いにゃ?」

「ありがとう!あと2個は空のままで良いわ」


そろそろランチの時間になるわね。


「ユメちゃん、ランチのお手伝いお願いします」

「わかったにゃ!」


ユリは5人前ずつに分けてあるフライを冷蔵庫から出してきて用意した。

揚げ油を温め、ドリアも焼くだけになっている。


◇ーーーーー◇

おすすめランチ


ミックスフライ定食    1000☆(限定45)

ミートドリア        500☆(限定40)


アイスクリームセット プラス500☆

(雪餅、冷茶)


おしらせ

お店は来月2日~11日迄お休みします。

◇ーーーーー◇


「いらっしゃいませ!」


ランチタイムが始まり、客席が埋まる。

第一陣は、ミックスフライ5、ミートドリア10、セット13だった。


ユリはミートドリアを釜にいれ、フライを揚げる。

ユメがトレーとカトラリーを用意し、アングレーズソースを一旦中断したリラが千切りキャベツを皿に盛り、コップ13個に冷茶を注いだ。


「リラちゃん、菜箸だと重いからトングで盛り付けて」

「はい!」

「ユメちゃん、熱いから間違ってさわらないようにね」

「わかったにゃ!」

「料理が熱いので、アイスクリームはあとから出します」

「はい!」「はいにゃ!」


ユリは釜から出したドリアをトレーにのせていく。


「ユリ、ドリアは持っていって良いにゃ?」

「はいお願いします」


セットではないドリアをユメが先に1つ持っていった。

追いかけるようにリラがもう1つのセットではないドリアを持っていく。

ユリが出来上がったミックスフライのセットにごはんを盛り付けたものと、小型ピッチャーに入ったソースを運びリラに渡し、リラが配膳していく。


すべてのランチが配膳されてから、ユメがコップが出ているセットの客にアイスクリームを配っていった。


リラはアングレーズソースを再開させ、ユリはお店を見て回った。


「ご店主!これはなんですか?」

「えーと?あ、それは、中身はウズラの卵です」

「うずら?」

「私が元居た国での食用卵の一種です」

「なんだか不思議な美味しさですね」

「私が個人的に好きでメニューに加えました」

「ほう!」


ミックスフライは好評で、ドリアを選んだ人たちが少し羨ましそうに見ていた。


「ユリ・ハナノ様、このアイスクリームはどうなっているんですか!?」

「柔らかい餅でくるんでいます」

「不思議な美味しさですね!これは購入できるのですか?」

「真冬箱をお持ちであれば可能です」

「では、午後に又」

「売り切れないようお早めにお越しください」

「了解した」


食べ終わる人で、人が入れ替わりだした。

食器を下げ、次のフライの用意をし、新しく来た人のオーダーをとると、ミックスフライ8、ミートドリア2、セット10だった。

作っている間に全員入れ替わり、オーダーは、ミックスフライ4、ミートドリア1、セット5で、2順目は全員セットだ。


料理を作り終わり、ユメとリラがだしてくれるので、ユリは下げて水につけてあったドリアの容器を洗ってドリアを作った。

10個作り、あと3個位作れそうである。


店に顔を出すと、やはりミックスフライが好評で、串カツの玉ねぎだけ食べたいと言われた。

なんとも同意しかない意見だったが、次回の参考にいたしますと言って注文自体は断った。


「ちょっと聞いても良いですか?」

「はい。なんでしょうか?」


食べ終わっている客に呼び止められた。


「おすすめと書いてあるということは、おすすめではないランチもあるんですか?」

「はい。今日だと、バターチキンカレー、キーマカレー、親子丼、カツ丼ができますが、おすすめの日なら500☆でしたカレーが、特別注文扱いなので1000☆になります。親子丼とカツ丼は1500☆です」

「なるほど・・・」

「基本的に手が足りないのです。ただし、おすすめが売り切れたあとでならランチ価格で提供することもあります」


少し考えたあと客はポツリとこぼした。


「以前食べた焼きサンドが食べたかったんだよ」


焼きサンドかぁ。食パンがないから作れないわね・・・


「パンの買い置きをしていないので、ご予約いただければおやつ時間ならお作りいたしますよ」

「え!本当!?」

「はい。以前出したことのある中身でよろしいですか?」

「うん、うん! ハムと玉子が入ってたあれが食べたい!」

「とりあえず、今日明日は無理なので、お休み明けならお作りいたします」

「ありがとう!お休み明けにかならずくるよ!おやつ時間だね?」

「はい、おねがいします。ありがとうございます」


以前出したことのあるメニューで、出さなくなったもの、それらを望む声があることに気がつかなかった。

そうね、店にノートでもおいてみようかしら。


下げて洗った容器にドリアを作ると、3人前作ってもソース類が少し残っていた。

処分するのも勿体なく思い、ココット2つにミニミニドリアを作った。


ランチタイムを終えると、残ったのは残したミックスフライ5人前、ミートドリア8人前だった。

セットは75人前出ている。


ちょっと前にソウとマーレイも来て、みんなでお昼ごはんを食べることになった。


「リラちゃんはミックスフライね」

「はい!」

「みんなはどうします?」

「リラと同じにするにゃ!」

「俺もミックスフライで」

「同じものをお願いします」

「全員ミックスフライね」


ユリが揚げ物をしている間、ソウとマーレイは残っている食器を下げ洗っていた。

リラとユメはお昼ごはんの用意を手伝っている。


いつものように、4人席に椅子を1つ足して、みんなで同じテーブルに座った。


いただきますの挨拶のあと、リラが何もかけずにウズラの玉子串にかぶりついた。

ソウやマーレイは串カツを手に、ソースをかけようとしていたので、少し遅れた。


「美味しぃ!」

「良かったわね」


ユリがリラを見てニコニコしていた。


「リラがミックスフライを食べたかったのって、ウズラ串なのか?」

「そうらしいわよ」

「美味しいにゃ! 食べたことのある味にゃ!」

「ユメもか!」

「久しぶりに食べたけど、美味しいわねぇ」


ソウとマーレイは、串カツを一旦おき、ウズラの玉子串を食べることにした。


「玉子なのですね!とても美味しいです!」


マーレイが少し驚いていた。

見た目から、肉団子的なものだと思っていたらしい。


「いや、美味しいけど、俺は串カツの方が良いな・・・」


ソウが小声でぼやいていた。


料理を食べ終わり、アイスクリームを食べたソウは、まんまあれだなと言って喜んでいた。

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