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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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宝箱

ユリは早めに来て白玉粉を計量していた。

白玉粉はすぐには溶けないので、先に水につけておかなければ使えない。


15:00の開店前に全員戻ってきたが、ユリは、外おやつに冷茶とクッキーを出しに行っていた。


「珍しくユリが最後だね!」

「え、うん、そうだね」


ソウに最後だと言われたが、特に否定しなかった。


「ユメちゃん、外に黒蜜と黒猫クッキーが欲しい人がいるんだけど、あとで対応してもらえるかしら?」

「わかったにゃ!」


おやつ開始と共に、人がなだれ込んできた。


◇ーーーーー◇

おすすめおやつ


アイスクリームフルーツ宝箱 500☆

(全部で6種類!何が出るかはお楽しみ!)


ほうじ茶セット    プラス200☆

(ほうじ茶のおかわりは無料です)

◇ーーーーー◇


「アイスクリーム8つください。あと、セットは4つ」

「え?8つですか?」

「1人2つずつ食べます」

「はい、少々お待ちください」


追加ではなく最初から2つ食べる宣言とは、ちゃんと違う種類を持っていかなければ。


ランダムに出していたが、ユリは中身を把握していた。

ソウがわざわざ分けておいてくれたからだ。


そして他のテーブルも、最初から1人辺り2~3個注文してきた。

さすがに1人で6種類頼む人はいなかったが、テーブルで全種類網羅するグループばかりだった。


店が少し落ち着いた頃、ユリは厨房に戻り、ゆるい求肥(ぎゅうひ)を作り始めた。


ソウとマーレイには、できたバニラアイスクリームを中デッシャーですくってトレーに並べ冷凍しておいて欲しいと言ってある。


「ユリ様、アングレーズソース終わりました」

「ちょっと待って、すぐできるから」


ゆるい求肥生地を片栗粉を振るったトレーに流すように伸ばし、少しだけ冷やしてから切り分けた。


「リラちゃん、アイスクリームの丸い方を下にして、求肥生地で包んでからココットに入れてください」

「はい!」

「あ、俺もやってみたい!」


アイス箱をマーレイに任せソウが包みにきた。

追加注文を受けて戻ってきたユメも作りたがったので、ユリが代わり客にアイスクリームを持って行った。

少し包むと気が済んだのか、ユメは黒猫クッキーを売りに戻った。

戻るときに、外で黒蜜と黒猫クッキーを売ってきたにゃ!と言っていた。


ユリはどんどんゆるい求肥を作り、みんな、どんどん包むのがうまくなっていった。


「ユリー、確実に6種類売ってくれって言ってるにゃ」

「私が対応するわ」


3人連れの客が合計6個希望だったので、確実に6種類なのだが、恐らく6種類だと思いますと言って販売した。


この後も、持ち帰り合計6個希望のグループが多かった。

売れ行きは順調で、特にもめる人も出なくほっとした。


「ユリー、黒蜜 冷蔵庫の中だけにゃ?」

「そうです」

「あと15個くらいにゃ」

「え!追加作ります。ユメちゃんありがとう」


ユリが大鍋に黒糖をいれていると、マーレイとリラが容器を洗って湯通しして用意してくれた。


「マーレイさん、リラちゃん、ありがとう。助かるわ!」

「ユリ様、黒蜜の容器、次の分で足りなくなるみたいです」

「あら、ボーンリーフさんに連絡しないといけないけど、連絡先が分からないわ。次の分が売り切れたらしばらく欠品ね」


今から作る上に次の分の話なので、現時点で450個以上はある。今までに使ったのが約860個で、充分残っているのだ。

次回のココットの納品日で間に合うだろう。


手早く黒蜜を作り、あら熱がとれたところで容器に詰めた。すぐに1つ漏れだして、最終的には3つほど不良品があった。


ほどなく冷蔵庫の保存分は売り切れ、まだ冷えていない黒蜜まで売ることになった。


お店のアイスクリームも、持ち帰りも好調で、17:00前にすべて売り切れてしまった。

ユリの予想よりも売り切れが早かった。


予約者の分は無事に販売できたので、もう良いかと思ったが、並んでも食べたい人たちがまだいるらしい。

少し多めに作ったフルーツ氷は残っているので、1回分だけ作ることにした。25個もあればなんとかなるだろう。


フルーツ氷をココットに入れ、先に冷凍した。


「なんで入れ物を冷凍するにゃ?」

「氷が溶けちゃうとアイスクリームに色が移っちゃうからね」

「にゃるほどにゃー」


黒糖アイスクリームを1回作って貰い、一度も冷凍庫で凍らせていない柔らかいアイスクリームのまま提供した。

15席しかない店内で、25個が売り切れた。

さすがに残ると思ったのに。


出来立てアイスクリームの美味しさを知らなかった人たちを覚醒させてしまったらしい。

さすがに提供時に17:30を過ぎていたので、更なる追加製造は要求されなかった。


店内に残る客から、明日も楽しみにしてる。と言われ、ユリは笑顔でお礼を言った。


お店を閉店させても、明日のアイスクリームがまだ作り終わらなかった。途中追加分を作ったためだ。

アイスクリーム本体は作り終わっている。量としてはいつもの半分だからだ。要は、求肥で包み終わっていないのだ。


とりあえず食事して、食べてから作ろうと言うことになり、食べたいものがあるか聞いてみた。


「何か食べたいものありますか?」

「美味しいのが良いにゃ!」

「なんでも良いです!」

「ユリ・ハナノ様が作られるものはなんでも美味しいです」

「ユリが作りやすいもので!」


「んー、じゃあ、スパゲッティーミートソースで!」

「良いねぇ!」

「手伝います!」「手伝うにゃ!」

「何かお手伝いできることはありますか?」


「玉ねぎとニンジンとキノコのみじん切り、挽き肉作り、トマト缶を開ける、お湯を沸かす、お茶、サラダ、お皿の用意、かな?」


「みじん切りします!」


リラが用意をしだした。


「挽き肉作るよ。どれ使って良い?」


ソウがミートミンサーをセットしだした。


「何したら良いにゃ?」

「キノコ切ってもらえるかしら?」

「わかったにゃ!」


ユメはマッシュルームを持ってきてゆっくり切り始めた。


マーレイはリラと一緒に野菜をみじん切りしていた。


ユリはお湯を沸かし、サラダを作って冷蔵庫に入れ、皿を用意して、スパゲッティーの乾麺を持って来た。


一番大きなフライパンに、切った野菜や挽き肉を入れ炒めだした。

リラとユメは横で釘付けで見いっていた。


ソウとマーレイは、トマト缶を開け、ミートミンサーを片付けていた。


挽き肉が解れるくらい炒めたらトマト缶を空け、コンソメを加え、たまに底からかき混ぜながら煮込んだ。


「リラちゃん、焦げないように、たまに混ぜてくれる?」

「はい!」


ユリは沸かした湯にオリーブ油と塩を入れ、スパゲッティーをパラパラと入れた。


横にいるリラがこちらをじっと見ながらも、手元の鍋を混ぜていた。


ユリはたまにかき混ぜながらスパゲッティーを茹で、ざるにあげた。


少しオリーブ油をからめ皿に分けた。


リラが混ぜていたミートソースの火を止め、味を確認してからお玉ですくって皿に分けた。


5人前のスパゲッティーミートソースができあがった。


「好みで、粉チーズをかけてください。あ、辛いのが好きな人は、辛味調味料もあります」


ユリとリラがテーブルに運び、ユメが冷茶を入れてくれた。

ソウとマーレイが冷蔵庫からサラダを持って来た。


いただきますの挨拶をして、みんなで一斉に食べだした。


「美味しー!」「美味しいにゃ!」

「やっぱりうまいな!」

「美味しいです!」

「良かった」


ソウは半分食べてから辛味調味料を足していた。

マーレイにも薦め、マーレイもソウにならって辛味調味料を足して食べてみていた。


ユメとリラは、粉チーズを少しかけて食べてみて、かけないところを食べてみて、ユメはもう一度かけたが、リラはかけなくて良いやと残りはそのまま食べていた。


ユリは何も足さずに食べた。



食事も終わり、残りのアイスクリームも求肥で包み、今日の予定が終了した。

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