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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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139/688

不足

予想通りと言うか、オープン前から並んでいた。

現在8:00前である。


ソウに手伝ってもらって、並んでいる人の分だけ先に販売した。

昨日作っておいて本当によかった。

とりあえずの列をさばき終わると9:00近かったが、一旦下がり朝食を食べることにした。


今のだけで132個売れたのだ。

今日一日で、いったいいくつ売れるのだろう。


朝食を食べ終わり下に降りるとリラが店に来ていて、並んでいなかったことにむしろ驚いていたが、9:00前に先に売ったと説明すると更に驚いていた。


今日は、ラムレーズンパニックを予想して万全の体制になっている。

クッキー類はお休み、葉っぱクッキーは昨日のうちに焼いておいた。


製造分は、オレンジシャーベット1回、ワインシャーベット15回、ただし、ココットが届かないと作れないのだ。

多少の返品ココットがあるが、とても足りない。

ランチ分は皿盛りでも良いのだが、冷凍庫の場所を取るので、できればココットで作りたい。


10:00頃マーレイが、仕入れの品と青柚子を持ってきた。摘果したものなので無料で良いそうで、箱を持った感じでは、5キロ以上ありそうだ。

一応、柚子胡椒の作り方の説明はしたらしいが、唐辛子を刻むと言ったら嫌忌(けんき)されたそうだ。

価値が無い人には無いものなのねぇ。


ランチの用意をし、11:00より前に外に出てみると、やはり並んでいた。

リラに、並んだ客にアイスクリームを売ってもらい、売れた数を聞くと、予約分を除いて34個売れたと言っていた。道理でランチが始まっても戻ってこられなかったわけだ。


さすがにランチが始まったら店内でアイスクリームを売ってくれと言い出す人は減った。が、ゼロではない。

リラが店を見てくれて本当に助かる。


12:00頃にはユメも起きてきて、リラと一緒に店を手伝ってくれた。

結局、3時間あるランチタイム中に60個近く持ち帰りのラムレーズンアイスクリームは売れたらしい。

数えたら残り、102個と色付きカップのラムレーズンアイスクリーム数個だった。


14:00になり、戻ってきたソウやマーレイも加わってみんなでランチを食べていると、ボーンリーフ商会が納品に来た。

品物を受け取り、代金を即金で払おうとしたら、値段交渉になった。ユリとしては、85☆でも良かったのだが、せっかく安くしてくれるというのでおとなしく話を聞いていた。


毎月500~600の納品ならば、止められない限り先に作っておくので、一月(ひとつき)前に止められるまでは翌月もその数の納品をするという約束で、1つ辺り72☆になった。大変ありがたい。86400☆支払った。

従業員を2人連れた3人で来て、まだ食べていないというランチをデザート付きで提供した。


美味しいととても喜んでいた。

ただ、店の食器を見て、見たことがない形状だと驚いていた。さすが見るところが違う。

重ねることを念頭に置いた業務用の割れにくい強くて薄い食器である。


帰りがけ思い出したように、ミニワインボトルの取って無しは300☆、特に形状にこだわりがないなら機能は同じで150☆でも作ることができると言っていた。次回いくつか見本を持ってくるそうだ。


昼休みが終わったら、急いで270個洗ってくださいとリラに頼んでおいた。


15:00前に外を見ると、予想通り並んでいた。

真冬箱にアイスクリームを入れ外に持ち出し、ユリとソウで対応し、足りなくなる前にマーレイに冬箱を使って冷凍庫から運んでもらい、84個販売した。


15:00を過ぎてしまい急いで戻ると、ユメがお店を回していてくれた。


「ユメちゃんありがと!」

「クッキーがよく売れるにゃ!」


ユメが黒猫クッキーを売るついでに店を見てくれたらしい。

とてもありがたい。


「オレンジシャーベット1回、ワインシャーベット15回、余力があれば、スパークリングワインも作ります」

「余力、有ると良いな・・・」

「ユリ様、オレンジシャーベットは、小さいアイス箱で作ってはダメですか?」

「成る程、そうすれば1時間で4回分になるな」

「ごめんなさい。イタリアンメレンゲが、タイミングが間に合いません」


「イタリアンメレンゲ1.33倍で作って、1/4だけ小さいアイス箱に加えるのはどうだ?」

「それならなんとかなりそうです」

「ならそうしよう計算上12回分の時間でできあがる」


お店を完全にユメに任せ、シャーベットの作成に取りかかった。


16:00頃にユメが報告に来た。


「ユリー、ラムレーズンの店売り無くなったにゃ、色付きココット出して良いにゃ?」

「店売りにならOKよ!持ち帰り分どのくらい残ってる?」

「あと15個くらいにゃ」

「店売り優先で、持ち帰り分は完売で良いわ」

「わかったにゃ」


タイミングを見てリラが店に手伝いに行っていた。


17:00過ぎには全て売り切れたらしく、ユメが報告に来た。


「ユリー、どうしても食べたいって言ってるにゃ」

「最後の日、来月の1日金曜日(きんのひ)に、救済措置を設けるからその日のおやつに来てくださいって言ってくれる?」

「言ってくるにゃ」


すぐ戻ってきたユメは伝言をユリに話しに来た。


「絶対来るって言ってたにゃ」

「ユメちゃん ありがとう。17:30になったら、閉店で良いわ。売るものもないし」

「閉店の板どこにゃ?」

「休憩室に有ると思うわ」



19:15頃、最後のイタリアンメレンゲを作ったユリは、シャーベットをまかせて食事を作りにいった。19:30過ぎにワインシャーベットが全て出来上がり、スパークリングワインシャーベットは明日メレンゲ無しで作ることにした。


「さあ、たべましょう!」

「ユリ様、明日は何を作るんですか?」

「明日作るのは、基本的には黒糖アイスクリームです。ちょっと変わり種を提供します」

「楽しみにゃ!」

「楽しみです!」

「明日は朝から手伝えるよ!」

「私も朝からお手伝いできます」

「皆さん、よろしくお願いします!」


「そういえば、柚子胡椒を作るのは見ますか?前回と違って、(から)くはならないです」


全員が考え込んでいた。


「手伝うよ」


ソウが言うと、ユメとリラも手伝うと言い出した。

マーレイはリラに合わせるらしい。


「2通り有ります。皮をすりおろす方法と、剥いて刻む方法です。やりたい方で良いです」


ユメとリラはすりおろすらしく、おろし器の準備を始めた。

ソウは剥いて刻むつもりらしい。

マーレイは手伝いや準備をすると言っていた。


「あまりたくさん白いところが入ると出来上がりが苦くなるので気を付けてくださいね」


ユリは冷凍してあった青唐辛子を作業台にだした。少し解凍しないと切り難い。


青柚子は、量ってみると5kg以上あった。

ただ、使うのは皮なので、総重量の1/6~1/10程度にしかならない。

青唐辛子と柚子は同量で、塩分は20%の予定だ。


ユリはうっかり伝えるのを忘れていた。

ステンレスか、セラミック以外はダメだと。


「うわー!手が錆びた!」


ソウが声をあげた。

切れ味が良いからと、片刃の和包丁を使っていたらしい。


「錆がついた皮や手は良く洗ってください。そのまま作ると、色の悪いものができあがります」


皮を削っていたユメとリラはできあがったものをユリに持ってきた。重さをはかり、保存している青唐辛子の量と合わせ、足りない塩を足した。

大きなすりばちとすりこぎで、刻んで塩をしてある青唐辛子と削った柚子の皮と少々の果汁を合わせ、すり混ぜた。


鮮やかな緑色の、なめらかな柚子胡椒ができあがった。


ソウは剥いた柚子の皮を細かく刻み、ユリが作っておいた刻んだ青唐辛子と少々の柚子果汁を混ぜ、足りない塩を加えた。


粗刻みタイプの柚子胡椒ができあがった。


「1~2週間冷蔵庫で寝かせて出来上がりです。冷凍すれば1年持ちます」

「どうやって使うにゃ?」

「餃子や、鶏肉に合わせると とても美味しくいただけます。思ったほど辛くないです。今度賄いに何かだします」


あまり辛くないなら食べてみたいと、ユメもリラも言っていた。

出来上がるのが楽しみだ。



皆がいなくなったあと、ユリは一人で作業していた。

1cm角程度の氷ができる製氷皿に小さく切ったフルーツをいれ、イチゴなら赤いイチゴシロップ、小粒のブルーベリーに紫色のブルーベリーシロップ、キウイフルーツには緑色のキウイシロップ、オレンジ色には杏と杏シロップ、黄色にはパインと缶詰のシロップをいれて小さく甘い氷を作った。もうひとつ、白桃をいれてバタフライピーシロップで青い氷を作った。

あまり甘くするとしっかり凍らないので、ほどほどの甘さだ。1枚で96粒できるが、6枚使って作った。


いつもなら洗って冷蔵する器を、洗ったあと冷凍した。ギリギリ入ると思っていたのに、先程作った氷の分が邪魔になって冷凍庫に入りきらない。

288個、全部入らないと困るのよね・・・。


あ!そうだ!と思い出したのが、真冬箱だった。

これに32個入るんだった!

ユリは真冬箱を持ってきて入りきらなかったココットをいくつか入れるとフル充填した。


さて、寝ましょう!

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