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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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大葉

日曜日だ!

やっとのんびりできる!と、思ったんだけど。


早朝から魔動力機器コニファーの二人が納品に来た。まだ8:00過ぎだ。

ローズマリーの注文120台の納品が終わり、こちらの注文30台を納品に来たらしい。


「いやー、お待たせしました!一昨日やっとあちらさんの納品が終わりました!まあ、こちらの納品後、追加で又100台なんですけどね」


どうやら、2台目が欲しい人や新しい加入者の分らしい。

一般販売は更に遠退いたようだ。


「それでですね、本当に全てのアイスクリームの作り方を教えていただけるのでしょうか?」

「構いませんよ。一般販売が遅れるならアルストロメリア会の優位性も失われない事ですし、ちょうど良いかもしれませんね」

「何を用意すればよろしいですか?」

「材料は、卵黄、砂糖、牛乳、生クリーム、香料、材料以外でなら、火力、鍋、スパテラ、濃し網、ゴムベラ、ボール、氷水です」

「あのコクの正体は卵黄なんですねぇ」

「うちは商売の物があって厨房に人を入れられないので、場所を提供してください」


悩んだ素振りの後、場所はどうにかすると言ってコニファーの3人は帰っていった。



小型アイス箱が30台・・・木箱に入っている。

結構な圧迫感だ。

とりあえず全て箱から出し、洗って、使えるようにした。

内倉庫にしまい、大きな布をかけた。


2階から降りてきたソウと二人でラムレーズンアイスクリームを作ることにした。

やがて起きてきたユメも手伝い、10回作り、223個できた。

少し器が足りなくて、色付き容器をいくつか使った。

こんなことならココットの納品を今日にすればよかったとユリは後悔した。


「(ブランチには)遅くなったけど、なにか食べましょう」

「なにか作るにゃ!」

「ユメが作るのか!?」「ユメちゃんが作るの!?」

「ソウ、四角いパン買ってきてにゃ。ユリ、ケチャップと溶けるチーズ使って良いにゃ?」

「お、おう。食パンか?、6枚切りで良いか?」

「それで良いにゃ」

「ケチャップでも、溶けるチーズでも、ベーコンでもソーセージでも上の冷蔵庫の物は何でも使って良いわよ。あ、チーズは冷凍庫に入っているわ」

「わかったにゃ!」


ユリは、ユメが用意している間にクッキー種を仕込み、冷蔵庫で休ませた。

あとで焼こう。


そろそろかなと思い上にいくと、ユメがオーブントースターと格闘していた。

そばにユメのかじりかけがあった。先に味見したのだろう。

思った通りピザトーストのようだ。

ソウは横で見ているだけで、ハラハラしながらも手を出さずにいるようだった。


そっと皿を準備し、ユメの好きな王林のりんごジュースを用意した。


「できたにゃ!」


少し焦げたピザトーストはとても美味しそうだった。

少し変わった良い香りがする。

食パン、ケチャップ、塩コショウ、ベーコン、大葉、マヨネーズ、溶けるチーズ、上にも大葉で出来ているようである。(大葉(おおば) = 青紫蘇(あおじそ))


「ユメちゃん、凄く美味しい! 大葉が良い香りね」

「旨いな、大葉合うんだな」

「なんか、突然思い出したにゃ」


細かく切った大葉が良いアクセントになっていた。


「ユメちゃん、ごちそうさま!美味しかったわ!」

「旨かった!ごちそうさん!」


ユメは満足そうだった。

洗い物と片付けはソウが手伝うらしいので、ユリは厨房に戻った。



明日の分のパウンドケーキを店売り分3種類と、ソウとユメのための黒糖フルーツパウンドケーキを作った。

葉っぱクッキーを、余る予定で400枚焼いた。

ついでに黒猫クッキーも200枚作った。


リラの華は作れないから売り切れたらご免なさいってことで良いかな。


今日は休みのはずなのに、気がついたら早朝からずっと仕事をしていた。

少し休憩して外の畑を見に行くと、バタフライピーの青い花が沢山咲いていたので、収穫して平らなざるに入れて干した。


外おやつのついでにいつも見に行くので、乾燥したバタフライピーは結構たまったが、それでも量としては心許ない。

乾燥100gは、いったいいくつの花を干したものなのだろう。


外で干したバタフライピーをひっくり返しているとマーレイが来た。


「ユリ・ハナノ様、ヒノモトシトロンをご存じですか?」

「とりあえず聞いたことがありません」

「以前、親子丼をいただいたとき、ホシミ様の親子丼だけミツバではない黄色いものをお使いになっていたと思うのですが」

「はい、柚子です」

「おそらく、ヒノモトシトロンがその柚子と同じものではないかと仲間に言われまして、少しお持ちしました。大きくなると、女性の握りこぶしくらいで香りが強く、黄色でごつごつした感じの実になるそうです」


見た目、カボスのようなスダチのような青い小さな柑橘だった。

受け取り香りを確かめてみる。

そのままではあまり香りがわからない。


「これはもらって大丈夫?」

「はい」


少し傷つけてみると、確かに若い柚子のようだ。


「これ、もう少し手に入りますか?」

「どのくらい必要ですか?」

「この青いもので3キロくらい、黄色くなってから沢山ほしいです」

「これは現在、箱いっぱい在庫があるそうです。そして、全部ただで良いので、使い方を教えてほしいと言われました」

「青柚子の使い方?それとも柚子の使い方?」

「青い物の使い方がわからないそうです」

「私が知っている使い方は、青唐辛子と同量の皮を細かく刻んで塩を混ぜた調味料の『柚子胡椒』と、果汁を醤油と合わせた『柚子ポン酢』くらいしか知らないのだけど」

「もしかして、先日作っていらした唐辛子の刻んだものですか?」

「そう!それです。それに使うのに青柚子を探していました」


マーレイは少し考えたようだが、改めて挨拶してきた。


「では、明日にでもお持ちします」

「ありがとう!」


この後、ソウが夕飯を作ってくれたので、ゆっくり休めた。

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