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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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135/689

菊型

◇ーーーーー◇

来月2日Eの日(だいちのひ)から、

11日Mの日(つきのひ)まで、お休みします。


ランチとおやつの店 アルストロメリア

◇ーーーーー◇


ユリはお知らせを店に貼ると、昨晩仕込んでおいたパイ生地をパスタマシーンを使って伸ばしだした。

昨日のうちに、3×4を折ってあるので、もう一度3×4を折って冷蔵した。


抹茶クッキー生地を仕込み、葉っぱクッキーを170枚作り、焼いているとリラが来た。


「おはようございます!」

「リラちゃん、悪いんだけど、9:00から入って、昼休み90分で休んでもらえる?」

「はい!何しますか?」

「リーフパイを作ります」

「ずっと前にもらったことがあるお砂糖がついた葉っぱのお菓子ですね!」

「たぶんそれね」


3cmくらいの小さめの菊型(きくがた)で4~5mm厚に伸したパイを抜き、グラニュー糖を片面につけ、中心から上下に伸ばした。

グラニュー糖を付けた面を上にし、葉脈の切り目をつけ、少しおいてから釜で焼く。

ミニリーフパイの出来上がり。


ユリはとりあえずやって見せてから、わからないところを聞くように言った。


「この(かた)のサイズが、葉っぱの横幅だから、もっと大きな菊型を使えば、大きなリーフパイになります」

「こうやって作るんですね!大きな葉っぱ型で作るんだと思っていました!」

「そういう方法もあるらしいわよ」

「何枚作るんですか?」

「予定では330枚ね。とりあえず200枚」

「頑張って作ります!」


ユリは少し休ませたものを焼きだした。

ランチの仕込みをしながらリーフパイを焼いていく。


「形が失敗してそうなものを味見して良いわよ」

「はい!」


リラは切り込みを入れすぎて形が別れてしまったものを食べてみた。


「美味しい! サックサク!」


「良い匂いがするにゃ」

「ユメちゃんおはようございます」

「おはようにゃ」

「おはよう、ユメちゃん」

「何作ってるにゃ?」

「ミニリーフパイよ。リラちゃんにもらって味見して良いわよ」


リラがリーフパイを渡す。


「ありがとにゃ」


「サックサク美味しいにゃ!」

「パイの焼きたては美味しいわよね」

「エプロン着てくるにゃ!」


手伝ってくれるようである。

どうやら、丸っこい菊型で生地を抜くのに、出来上がりが葉っぱになるのが面白かったらしい。


「ユリ様、この余った生地はどうしますか?」

「クッキー生地と違って丸めると使えなくなるからそのままボールにいれて冷蔵庫にいれてください」

「はい!」


ランチ開始前に200枚くらいはできたらしい。


「イチゴの混ざったアイスクリームの方に挟むようにリーフパイをつけてください。ブルーベリーの方には抹茶クッキーの葉っぱをつけてください」


イチゴミルフィーユアイスクリームを、おやつ時間に来れば売ってもらえるのかと聞かれることが多かったが、今日の持ち帰り販売分はありませんごめんなさいと断った。

休み明けのラムレーズンは持ち帰り販売しますのでよろしくお願いしますと言うと、皆すぐ諦めてくれた。


「リラちゃん、手が空いたら休憩に入ってね」

「はい!」


リラと入れ替わりでソウが帰ってきた。


「アイス作るぞー!」

「ぶどう4回、ラムレーズン10回以上を予定しています」

「あはは。今までのから行くと、10回でも足りなさそうだ」

「中デッシャー80、大デッシャー40、残り約100はココット詰めです」

「ぶどうから作るか」


ユリもランチの出すものが落ち着き、あとは片付けなどであるためアングレーズソースを作り始めた。


「お客さん全部帰ったにゃ。ご飯にするにゃ!」

「ユメちゃんありがとう」


ユリはテーブルを片付け、ランチをとりあえず4人分用意した。


「ユメちゃん、リラちゃんを呼んできてもらえる?」

「わかったにゃ」


食べはじめてもマーレイはこなかった。


「リラちゃん、マーレイさんは今日はランチに来ないの?」

「特に何も聞いていません」

「なら、残しておきましょう」


再びリラが休憩に入り、ユリはリーフパイを作っていた。

早めに戻って来たソウに、また休んでないと叱られたが、気力が戻ったユリは元気だった。


おやつタイムに突入し、ユメはソウのアイスを手伝い、ユリが店を見ていると、マーレイが来た。

なんだかものすごく疲れているらしく、ぐったりしている。


「マーレイさん、大丈夫?」

「遅くなり申し訳ございません」

「時間は良いのだけど、ご飯食べるわよね?すぐできるから・・・厨房で良い?」


すでにおやつタイムなのでテーブルが空いていない。


「ありがとうございます」


ユリは残しておいたランチを温めて出し、冷茶を渡した。

一気に冷茶を飲んだマーレイは一息ついたようで、大きなため息をついた。


まだ休憩中のリラが顔をだし、マーレイにどうしたのかと聞いていた。ユメが呼んできたらしい。


リラによると、黒蜜が人気過ぎて追いかけ回されたらしい。

なんだそれ?


仲間内に分けたいから買って良いかと聞かれたユリがOKしたことから、とりあえず5個持ち出したが、欲しがる人で争奪戦になったらしい。明日たくさん持ってくるからと なだめてはみたが、誰も聞く耳を持たずに追いかけ回されることになったのだとか。


「物凄く無駄な何かだったな」


ソウが気の毒そうに声をかけていた。


「はい・・・」


「それで、いくつあれば良いの?」

「15、いえ、20お願いします」

「申告してくれればいくつでも構わないわよ?」

「ありがとうございます。5個分の代金です」

「8掛けで良いわ」


マーレイは驚いて固まっていた。


「はちがけって何にゃ?」

「仕入れ代が、売値の80%って意味よ。つまり400☆ね。あ、マーレイさんはちゃんと500☆で売るのよ?継続的に売るなら7掛けよ」


「マーレイ、食休みしたら手伝ってくれ」

「かしこまりました」

「少なくとも30分は休まなきゃダメよ」


今日は低温焼きクッキーを焼けないので、意外とゆったりしている。(釜の温度のため)


ユリはミニリーフパイを作って焼きながらアングレーズソースを作り、アイスクリームが出来上がるとココット詰めを手伝い、たまにお店を見ていた。

リラが休憩から復帰し、ミニリーフパイを作り始め、マーレイが手伝い始めたので釜とアングレーズソースに集中した。


お店の方はやはり持ち帰りたいと言い出す客は多かったが、休み明けのラムレーズンの話と、材料と手間と美味しさの兼ね合いで持ち帰りはできないのだと説明するとなんとか納得してくれた。

その中でも、リーフパイ単体がほしいと言う人には、大きいリーフパイ1枚限りで作って売った。

面白がって、リラが作ってくれた。


ミニリーフパイが合計350個ほど出来たので、リラは黒猫クッキーに切り替えた。

出来上がって冷めるとユメが持ち出し、約100枚作ったあたりで、リラの華を作り始めた。

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