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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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完成

14:00少し前、少し手の空いたユリが、クッキーの計量を始めた。

白いクッキーの生地の計量のようだ。

リラが気になって見てみると、赤い生地が出来上がっていた。


「リラちゃん、この色どう?」

「赤いですね!」

「確か、高温と、長時間加熱は厳禁だったかな」

「するとどうなるんですか?」

「鮮やかな色が退色するのよ」

「それは大変ですね!?」




「さて、ランチを食べたらみんなしっかり休んでくださいね」

「ユリもな」

「うん、私も休むよ。昨日は迷惑かけちゃったし」

「迷惑はかかっていません!でも、心配しました」

「ごめんね。ありがとう」

「ユリ、元気になったにゃ?」

「うん。あ、ユメちゃん、黒蜜できたわよ。どうぞ」

「ありがとにゃ」

「ソウも、どうぞ」

「お、ありがとな」

「マーレイさんとリラちゃんも要る?」

「いいんですか?ありがとうございます!」

「ありがとうございます」


「ところで、何に使うの?」

「色々かけるにゃ」

「俺は、外で不味いお茶に入れようかと」

「あ、そのまま飲むんじゃないのね。あはは、よかった」

「いくらなんでもそのままは飲まないにゃ・・・」


ユリは少し疑っていたことを反省した。


「これいくらで売るの?」

「器が返ってくるなら500☆で良いんだけど・・・」

「返ってこないのを見越すならもう少し高いのか」

1200~1300(せんにさんびゃく)有るから当分先の話だけどね。でも無くなったら次は作ってもらうことになるだろうし・・・」


「ま、とりあえず、全員休憩な」


ユリが2階に上がった後、少し足りないココットをソウは洗っていた。


「まーた、面白いことしてるにゃ」

「なんだユメか、驚かすなよ」


「ホシミ様!お手伝いします!」

「ユリ言ってたにゃ『リラちゃんが真似したらどうするにゃ!』ってにゃ」


「どうする『にゃ』とは言ってなかったけどな」

「何か言ったにゃ?」

「いや、何も」

「ユリに言って、三つ葉ご飯にしてもらうにゃ!」

「うわー、まずそ」


「ホシミ様、何個足りないんですか?15:00になったら洗っておきます」

「わかった。リラよろしくな。追加に使った分が足りない」

「全部で50個くらいですね。洗っておきます」


ソウは諦めて2階へ上がっていった。

ユメは冷茶を出してきて、もらった黒蜜を早速使っていた。

見ていたリラも真似してみた。


「美味しくなった!」

「美味しいにゃー」


「クッキーは黒糖無いにゃ?」

「そういえば無いですね」

「有ったら美味しいにゃ」

「ユリ様に聞いてみましょうか?」

「そうするにゃ」


二人がクッキー談義をしているとユリが下りてきた。


「ユリまだ早いにゃ」

「うん、ちょっと気になることがあってね」


ユリは冷蔵庫を開けていた。


「冷蔵庫にゃ?」

「さっき、黒蜜を取ったときに、やけに暗く見えたのはなんでかなって・・・あ、やっぱり」

「どうしたにゃ?」

「漏れてるのがあるわ」


奥の方のトレー一面に黒蜜が漏れていた。

トレーごと外に出し、漏れている容器を探すため、一つずつ持ち上げてみる。


「無いわねぇ?」

「ユリ様、これこっちにヒビが見えます」

「ありがとう!」

「ユリ、これもダメにゃ」


ユメが渡してくれた容器は、大分漏れたのか軽かった。


「大丈夫なのを洗うか拭くかしないとダメね」


ユリは濡れ布巾で容器の底を拭いていった。

漏れた容器のそばに有った物は拭くだけではきれいにならず、軽く洗った。


「二人とも、休み時間なのにごめんなさいね。どうもありがとう」

「ユリ、この漏れた容器はどうするにゃ?」

「確実に処分ね」


「あー!仕事してる!」


ソウが帰ってきた。後ろにマーレイもいる。


「漏れてたのにゃ」

「漏れてたのよ」

「漏れてました」


「そ、そうか、漏れてたのか・・・?」


ソウは、よくわからないまま納得させられた。

そろそろ15:00だ。


開店と同時に満席になった。

真冬箱は持参していないが、走って帰るのでアイスクリームを売ってくれと言う客がいて、ユメを困らせていた。

ここにドライアイスはない。


アイスを作り始めていたソウだが、ユメの代わりに客対応してくれた。


リラは器をいくつか洗ってからクッキーを作っていた。

ユリは午前中に焼かずに冷蔵したクッキーを焼きながら、リラと一緒にネモフィラクッキーを作っていた。

ソウとマーレイは抹茶アイスクリームを作っている。


お店は順調だ。


16:00前に、ネモフィラクッキーが合計320個できたので、失敗している感じのものを避け、315個を完全に冷まして1枚ずつ薄い紙袋にいれてから緩衝材を挟み箱に詰め、できあがった。

ソウが、明日朝一番で持って行ってくれるそうだ。


アイスクリームも予定数ができあがった。


「リラちゃん、お疲れさまでした」

「間に合って良かったです!」

「少し休んだら、リラの華をお願いします」

「はい!」

「私はユメちゃんと代わってくるわ」


「ユメちゃん、少し休んでね。この2日間無理させたわね。どうもありがとう」

「ネモフィラクッキーできたのにゃ?」

「315個、箱に詰めたわ。弾いたのは食べて良いわよ」

「わかったにゃ」


18:00より前に店内飲食分でチョコ胡桃が足りなくなったけど、売り切れとして断った。

明日は「抹茶と黒糖胡桃バニラ黒蜜がけ」だと言ったら納得してくれた。


みんなのお陰で特別注文を乗り切れた。

ユリはホッとして息を吐いた。

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