表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/689

花型

早朝の厨房。

ユリは今日使う葉っぱクッキーを作っていた。

アイスクリームが抹茶と紫芋なので、クッキーはほんのり黄色くなるように、カボチャを混ぜてみた。


普通の葉っぱ型で作ってみたところ カボチャが結構良い色で、イチョウの葉にするべきかしらと考えたが、軸の部分が折れるわね。と諦めた。


「おはようございます!」


リラが出勤してきた。

先週は、週末も連れ歩いてしまったので、疲れていないか心配だったが、いつもの時間に元気よく出勤してきた。ユリはひと安心した。


「おはよう。リラちゃん疲れていない?大丈夫?」

「はい!元気いっぱいです!」


そう言いながら視線がクッキーを見ている。


「カボチャ入りよ。食べてみる?」

「はい!」


ユリは取りそびれて割れたものや、焼き色を見るために割ったものを入れている皿をリラに渡した。


「カボチャの味がします!」


リラは視線でクッキーを数えたようで、質問してきた。


「ユリ様、アイスクリームにつける分だけですか?」

「そうよ?どうして?」

「アイスクリームを買っていく人が、同じクッキーは売っていないのかって聞いていました」

「そうなの?」

「3人です」


ユリは少し考え、今日の予定を思い起こし決断した。


「なら、作りましょう。葉っぱクッキーを3種類」

「3種類?」

「抹茶入りの葉っぱ、カボチャ入りのイチョウ、紫芋粉入りのモミジよ」


イチョウもモミジも軸の部分を極力短くした

取り合えず、3種類入りを6袋、葉っぱのみを5袋作ってみた。

3種類入り150☆、葉っぱ4枚入り150☆


仕込んだクッキー生地はまだあるが、店の仕込みを開始しないと間に合わなくなるからだ


マーレイが仕入れの品物を持ってきた。

大量の野菜と肉だ。

茄子、ピーマン、ズッキーニ、玉ねぎ、ニンジンだ。八百屋が開けそうである。


今日のランチは夏野菜カレーと、青椒肉絲(チンジャオロースー)

ひたすらピーマンの細切りだ。

頭を薄く落として、おしりも少し落として、開いて種を抜いて、平らになったピーマンをひたすら細切りにしていく。

約80個のピーマンの細切りは結構大変だった。

20個ほどは赤いピーマンだ。

本当は竹の子の細切りがほしいところだけど、手に入らないので諦めた。玉ねぎでも代わりに入れよう。


「手からピーマンの臭いがしますー」


切るのを手伝ったリラが残念そうに訴えている。どうやらピーマンが苦手らしい。



そういえば、チンジャオロースーとは、緑色の甘唐辛子(ピーマン)と豚肉の細切り炒めの事で、赤ピーマンが入ると彩椒肉絲(ツァイジャオロースー)で、牛肉で作ると青椒牛肉絲チンジャオニウロースーらしいので、店で出すのは彩椒牛肉絲ツァイジャオニウロースーと言うべきかもしれない。


半解凍した牛もも肉を薄切りにして細切りにする。

2kgも有るので、結構大変だった。

切った牛肉は、20個の山にして2枚の金属トレーに乗せて、1枚は冷蔵庫に入れておいた。

ピーマンと玉ねぎもお椀20個に分けていれた。これで2人前ずつなので、忙しくても量らずに作れる。


夏野菜カレーは、ほぼ全ての野菜を油で揚げ、豚肉と玉ねぎだけで作ったルーに混ぜて作る。

茄子、ピーマン、ズッキーニ、ニンジン、を油で揚げる。


元のお店の時は、豚肉ではなくウインナーで作っていたが、ユリはこの国へ来てウインナーを見かけたことがない。

仮にあったとしても、侯爵邸の料理人が挽き肉をひく器械を知らなかったと言うことは、ソーセージ類は高価であると予想できる。

ベーコンでも良かったのだが、ベーコンもみかけない。

先日作ったカルボナーラは、ソウが持ち込んだベーコンだ。



「さて、用意が終わったけど時間余ったわね。リラちゃん、30分休憩するのと、クッキーを作ってみるのどっちが良い?」

「クッキー作りたいです!!」

「なら、練習に好きな形で良いわよ。鉄板1枚分作って良いわよ」

「はい!!」


リラは、朝ユリが残しておいた生地を冷蔵庫に取りに行った。

ユリは、クッキーの抜き型と厚み定規と麺棒を渡し、リラに簡単な説明をした。

厚さがまちまちだと生焼けか、焦げること、あまりギッチリだとくっついてしまうこと、ランチ3分前には終わらせること。


リラは紫芋の生地とカボチャの生地を花型で抜き、中心を小さい丸形で抜いて色を取り替えていた。横に抹茶生地で作った葉を2枚つけ、まるでブローチのようなクッキーを作っていた。


「素敵ねぇ!リラちゃんセンスが良いわぁ。それ、売ってみる?」

「私が作ったのが売れるんですか?」

「それ1つ100~200☆で売れると思うわよ」

「ええー!」

「自分の試食分とマーレイさんにあげる分以外、売ってみたら良いわよ」

「もう少し作ります」

「はい。あ、名前考えてね。名前がないととても面倒なことになるわよ、ふふふ」


名前がないと「何やら話題になったという菓子は無いのかね?」と、いったい何を聞きたいのか いまいちわからない質問がくるのだ。忙しいときの連想ゲームは勘弁してもらいたい。


リラはブローチのようなクッキーを20個ほど作り、15個を売って欲しいと言った。

結局名前はユリにつけて欲しいと言い、ユリは、リラが作った花だからと「リラの華」と名付けた。1個200☆。


ユリの予想通り、後に大ブームになるのである。


ランチが始まり、青椒肉絲(チンジャオロースー)の注文が多かったが、提供された料理を見てギョッとする人がかなりいた。

ピーマンが苦手なのかもしれない。


それでも食べだすと美味しかったらしく、凄い勢いで残さず食べていく人ばかりだった。


夏野菜カレーの方も、具材が変わると印象も味も変わるのですね。等と感想を言う人も多く、好評だった。


アイスクリームは、最初は質問がなかったが、食べる前に紫色のアイスクリームについて聞く人がいて説明したら、聞いた本人だけでなく、店の中にいた人全員が驚いていた。


「芋がアイスクリームになるんですか!?」


メニューには、アイスクリーム2色盛りとしか書いていないので、聞かなかった人は「なんだろう?」と思いながら食べたのかもしれない。


ランチが終わる頃、ユメが起きてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ