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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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替玉

11:00頃、マーレイとリラが馬車とともにやって来た。

ユメも起きていたのですぐに出掛けることになった。


マーレイは御者をしてもらうので仕方ないが、リラには客車においでと誘ったが、かたくなに辞退された。事前にマーレイから言われていたらしい。


それでも市場(いちば)につくと、御者席が全く揺れなかったと喜んでいた。


ユリは全く場所を覚えていなかったのでソウについて行くことにした。

ユリとソウが先頭を歩き、後ろにユメとリラが手を繋いでいて、一番後ろからマーレイがついてくる感じだ。


店につくとユメとリラが入り口のドラゴンぽい飾り物を見て少し怖がっている。

これ、集客には逆効果なんじゃないかしら?と少し心配になった。


「ィらっしゃい!!」


扉を開けたとたんにこの挨拶だった。この店は、高級志向なのか、庶民派を目指しているのかいまいちわからない。


「ホシミさん、ハナノさん、と、お連れさん、5名様ご案内」

「はい!いらっしゃいませ」


コバヤシは、アオザイを着た女性店員に引き継ぎ、奥に行った。

店員に案内され座ると、コバヤシはコップに入った水を持ってきた。

ユリとソウが奥に座り、手前にユメとリラ、お誕生日席にマーレイだ。


「今日は何にしましょうか?」

「全員同じので良いよね? とんこつラーメン5つで」

「はい!とんこつラーメン5つ、少々お待ち下さい!」


メニューの紙が気になったユメがメニューを引っ張りだし広げたのをリラが見て思わず呟いた。


値段が高い(お貴族様の店)!」


◇ーーーーー◇

ラーメン 5000☆

とんこつラーメン 6000☆

餃子 1200☆

チャーハン 4000☆

替え玉 700☆ (とんこつラーメンのみ)

烏龍茶 500☆

◇ーーーーー◇


そう、この店は高いのだ。とんこつラーメンは6000☆である。


「ユリ様、帰ってからお返しするので良いですか?」

「え? あー、ここはご馳走するから心配せずに沢山食べて良いわよ」

「マーレイもしっかり食べろよ? 御者分以上に食べるんだぞ?」


マーレイもリラもお礼を言ってニコニコとしていた。


「おまちどう!」


コバヤシがトレーに3つ、アオザイの女性がトレーに2つ、とんこつラーメンを持ってきた。


「コバヤシくん、フォーク2つ」

「はい、取り皿は要りますか?」

「要らない」


コバヤシは、すでに持っていたらしいフォークを2つだけ置いていった。


白濁したトンコツスープに、小口切りの小ネギと、細切りのキクラゲと、半熟煮玉子と、大きなチャーシューが乗っている。とても美味しそうだ。


ユリがリラに食べ方を説明する。


「そのまますすると熱いし跳ねるから、この大きなスプーンみたいな『レンゲ』に少し取って乗せながら食べると良いわよ」


「れんげ?」

「正しくは、散り蓮華(ちりれんげ)。散って落ちる蓮華の花びらのような形という意味らしいわよ。蓮華は、蓮の花ね」

「ありがとうございます。花びらなのかぁ、素敵だなぁー」


リラはレンゲが気に入ったようで、手に持って見上げるように眺めていた。

それをほほえましく思いユリは見ていた。


「早く食べないと、伸びるぞ?」


ソウに言われ、ユリとリラは急いで食べだした。

驚くことに、リラは箸で器用に食べている。


「リラ、器用だな、箸使えるのか」


ソウが驚いて声をかけた。


「はい!豚カツの衣をつけるときに覚えました!」


そういえば、衣をつけるとき、菜箸を使っていた。あの長い箸が使えるなら、普通の箸は簡単であろう。


静かにユメはもくもくと食べていた。その姿はとても食べ慣れている様に思える。

そして食べきる前に言い出した。


「替え玉頼んで良いにゃ?」

「良いぞ、好きなだけ注文しろ。マーレイはどうする?替え玉は、麺のおかわりだ」

「お願いします」

「よし、替え玉3つ、お願いしまーす!」

「はい!替え玉3つ!!少々お待ち下さい!」


替え玉はすぐにきた。

奥へ帰るコバヤシにユリが替え玉を頼む。


「リラちゃんも食べるわよね? 替え玉2つお願いしまーす」


こうして、ユリ以外、3回替え玉を注文した。

ユリは思うことがありコバヤシに話しかける。


「コバヤシさん、普段、替え玉の注文って、出ます?」

「出ないですねー。今日が初めてですよ!」

「やっぱり」

「え、なんか知ってるんですか?」

「この国にはおかわりという風習がないらしいですよ」


一瞬理解ができなかったのか呆けてからコバヤシは叫んだ。


「マジっすか!!」

「うちでも、食べ足りなかった人が会計後に何度も再来店してね。それがアイスクリームの話なのよ」

「あー!成る程!」


コバヤシは、ユリの言わんとすることを悟り、納得した。7杯食べた人がいて大変だったとユリは言っていたのだ。


「ありがとうございます!何か対策します!」


アオザイの女性が、何か持ってきたようだ。

後ろからコバヤシに声をかけトレーを渡していた。


「ハナノさんに出すのはちょっと気が引けますが、杏仁豆腐です。サービスなので召し上がってください」

「わー!ごちそうさまです!」


アーモンドエッセンスを入れた牛乳寒天の味だった。結構美味しかった。


39100☆支払って店をあとにした。


「美味しかったー!」

「美味しかったにゃ!」

「美味しかったわね」

「旨かったな」

「美味しかったです」


「なんだか懐かしい味だったにゃ!」


やっぱり。とユリとソウは思ったのだった。



「魔動力機器コニファーに行きたいんだけど良いかしら?」


ユリが言うと、みんなついてくるらしい。

ところが、店がすぐというところで、ソウが知り合いに捕まった。


「ユリ、申し訳ないけど、先に行っていて。終わったら店で待ってて」

「わかったわ」

「マーレイも連れて行ってくれ」

「はーい」


ユメとマーレイとリラを連れ、魔動力機器コニファーに行くことになった。

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