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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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鳳梨

ランチでは見に行く余裕がなかったユリだが、おやつタイムはわりと暇で店にいたところ、抹茶クッキーがかなり好評だった。


箸休め的なものって大事よね。

本当はゴーフルがほしいところだけど、作り方知らないのよね。

ゴーフルは作り方だけ解っても専用の焼き型が必要である。


今日は昼以降仕事の予定がないらしく、ソウとマーレイは暇らしい。なので、アイスクリームは4:00頃から作ろうとユリは考えていた。

二人は今、外で何か見回っているらしい。



きな粉のアイスだと言っても感心するだけの人も、きな粉は煎り大豆の粉だと説明すると、ほとんどの人が「理解不能」と言った表情をして驚く。

この分だと、紫芋もさぞや驚くに違いない。

ユリは、人が喜ぶ方向に驚かすことが大好きである。


ソウとマーレイが戻ってきたのでイチゴアイスクリームとパイナップルアイスクリームを作ることにした。アングレーズソースも必要ないので非常に楽である。


「イチゴ6回、パイナップル4回、ココット40、中デッシャー140です」


ユリは、アイスクリームの準備をしたあとは、明日分の抹茶クッキーを焼いていた。


「家内用に試してみたいアイスクリームがあるんだけど、付き合ってもらえますか?」

「何作るの?」

「抹茶クッキーで、クッキー&クリーム風です」

「作るにゃ!」

「はい!!」

「いいねぇ!」

「はい」


こうして試作アイスを作ることになった。

パイナップルアイスクリームは、1度作っているから、毎日違うアイスクリームを作る約束を果たしたことにならないしね。と、ユリは考えていたが、実は誰もそんなことは気にしていなかった。


ユリがクッキーを焼いている間は、リラが店を見ていてくれたので、ちょうど良い焼き色のきれいな 抹茶色の円形のクッキーが出来上がった。

焼き上がりに満足したので、アングレーズソースを作り冷やしてから店を見に行った。


「ご店主!アイスクリームとクッキー、合うんですね」

「冷たいものに慣れてしまった感覚が改善しますよね」

「あ、成る程!」


食べやすくなったためか、おかわりをする人が沢山いた。控えめに作っていたため閉店を待たずに売り切れたが、特に苦情はでなかった。種類が一巡して落ち着いたのだろう。


「又、明日来ます」

「明日のアイスクリームは、イチゴとパイナップルです。又のお越しをお待ちしています」



「夕飯リクエストありますか?」

「ランチの残りは食べなくて良いの?」

「豚カツ一人前とカレーなら冷凍します。カレーはそれほど残っていません」

「こってりしたものが食べたいにゃ!」

「ユメちゃんと同じものが食べたいです!」

「皆さんと同じものをお願いします」

「俺、パスタ食べたい」

「じゃあ、カルボナーラで!」


まだアイスクリームは作り終わっていないので、ユリはカルボナーラの材料の準備だけしておいた。


「ユリ様、パイナップル終わりました!次バニラを作れば良いですか?」

「はい。そうです。一緒に作りましょう!」


ユリは冷えた抹茶クッキーを砕いて持ってきた。

出来上がる寸前に混ぜると緑色の砕けたクッキーの粉がバニラに混ざり美味しそうである。


全員でココットに詰め込むと、24個出来た。


「私は2つ、後は分けてください」

「私は1ついただきます」


ユリが言うとマーレイも1つを宣言をした。

ユリはカルボナーラを作りに行った。


「七個にゃ!」

「7個ですね!」

「7個だな!」


イチゴとパイナップルは、ユリもマーレイも辞退して12個ずつを3人で分けた。


「あ、抹茶クッキー入りは、感想がほしいから、日にちを分けて食べてね」


「15個全部は食べないにゃー」


食べないのではなく、食べきれないの間違いである。


「あ、ユリ様、もう作ってる!」

「リラ、後はやっておくから見てこい」

「ありがとうございます!」


ソウが声をかけると、ユメも見に行きたいらしい。


「ユメも見に行って良いぞ。あとはマーレイとやっておくから」

「ありがとにゃ!」


ソウとマーレイはアイスクリームを全て冷凍庫にしまい、洗い物を片付けてくれた。



「これはベーコンだけど、本当はパンチェッタという生ベーコンみたいなものを使って作るらしいわ」

「どう違うんですか?」

「うーん、使ったことないのよね。まあ、塩分が違うらしいわ」


ユリはカルボナーラの作り方の説明を二人にしていた。


「生クリームと卵黄を使うなんて、アイスクリームみたいですね」

「ベーコン入りのアイスは嫌にゃ」

「そうね、ふふふ」


ユリは麺の茹で具合を見に行った。

1本取り出して噛んでみる。


「食べてみる?この断面のほんの少し残った芯の様なものがある状態をアルデンテといって、ちょうど良いスパゲッティーの茹で加減と言われているのよ」

「真ん中だけ少し黄色いにゃ!」


ユリは二人に1本ずつ与えたあと、残りの麺をザルにあけた。


「ソースに茹で上がったスパゲッティーを入れて()えます。黒胡椒をかけるのですが、削り器からそのままかけると削るところが湿気るので、削ってからかけてくださいね」


面白がって沢山削る二人に声をかける。


「あまり沢山かけると辛いですよ」


ビクッとして二人の動作が止まる。

ユリは麺を皿に盛り付け、削ってもらった黒胡椒をかけた。


「はい、できあがりです。伸びない内に食べましょう」


冷蔵庫にあるプチトマトと残っていたレタスでぱっぱっとサラダを作り、カルボナーラとともにテーブルに持っていくと、すでに冷茶が用意されていた。


食べ始めるとリラが「柔らかいグラタンみたい!」と言い、作ったのが全てユリであると知ると、少しだけマーレイが残念そうだった。リラに作ってもらいたかったのだろう。


「なんだか懐かしい気がするにゃ」

「カルボナーラ食べたことがあるのか?」


驚いてソウが訪ねた。


「わからないにゃ。知ってる気がするだけにゃ」


「ユメちゃん、お箸使えるし、本当に食べたことがあるのかもしれないわね」

「ソウに会う前、食べたいものがあったにゃ。それがこれだった気がするにゃ」


絶対、前世なり記憶喪失の間に、自分達と同じ国に居たことが有るのだろうとユリもソウも思った。


「ユメ、今度 とんこつラーメン食べに行ってみるか?」

「!?・・・聞いたことがある気がするにゃ!行くにゃ!」


リラは声には出さないが、良いなぁ。と顔に書いてある。


「リラちゃん、一緒に行ってみる?」

「良いんですか?」


ユリが声をかけたが、リラは遠慮ぎみである。


「マーレイ、仕事外で御者して一緒に来るか?」

「はい。お願いします」


ソウがマーレイに交渉すると、リラが笑顔になった。


「では、今度の日曜日(おひさまのひ)に行きましょう」

Sの日(おひさまのひ)ですね!」

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