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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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子爵

「今日は午前中大丈夫だった?」

「全く混雑はなかったと思うわ」

「リラ、どうだった?」

「シャーベットも、ゼリーも、お土産を買う人は来ませんでした。でも、親子丼とポテトグラタンを両方食べた人が17人居ました」

「え、両方食べた人が居たのか?」

「はい」

「そうらしいわ」


「グラタンはともかく、親子丼は腹にたまるけどなぁ?」

「グラタンは足りないの?」

「軽めだと思うよ」

「そうなのね。最初の頃パンをつけてたんだけど、パンだけ最後に食べている人が多くて止めたのよ」


「対策しなくて良いと思うよ」

「どうして?」

「デザートまで食べて足りない人はカロリー摂りすぎだし」

「あー、そうかもしれないわね」


「あ、リラちゃん、休んできたら良いわよ」

「はい」


何やら外に数人いるような声が聞こえる。

リラも気になったようで休憩にいかずに見ている。


「恐れ入ります。おやすみ時間に大変申し訳ございません」


きちんとした身なりの腰の低そうな人が来た。


「はーい。どちら様ですか?」

「私、ペールピンク子爵家の執事をして居ります。旦那様が来られなくなりまして、代わりに参りました」

「何かあったんですか?」


一応聞いてみた。


「ご内密に願えますでしょうか?」

「そんな重大なことなら言わなくて良いです。身分の証明だけしてください」

「こちらが旦那様直筆の御手紙と、こちら紋が入った短刀でございます」


家紋を見てもユリには判断できない。

ソウは紋に覚えがあったのでおとなしく見守っていた。


「お手紙読んで良いですか?」

「はい」


一瞬読めない文字だったのが、読めるようになった。

書いてあったのは、足を骨折して療養中と言う内容だった。


ユリは書いて貰ったサインを持ってきて比べてみると非常に似た文字だったので、本物と信じることにした。


「えーと、具体的に種類を伺っていないのですが、何をご希望だったのでしょうか?」

「可能なだけ買ってきてほしいとのことです」

「真冬箱はお持ちですか?」

「はい。こちらに人を呼んでもよろしいですか?」

「どうぞ」


執事は外に人を呼びに行くと、5人の身なりの良いとても若い男性が入ってきた。

真冬箱は3台持ってきているらしい。


「今取り置きしたものは7種類で7つあります。全部持って帰りますか?今日分はオレンジシャーベットです。更に2つ足して全部で9個まで可能です」


少しざわついた。予備で3台持っては来たが、4つ入れられる2台しか使わないつもりだったらしく、6人では魔力的にギリギリらしい。


「なるべく多く持ち帰りたい」

「だが、3台、起動だけならともかく、フル充填は厳しいぞ」


「充填魔力が足りないんですか?2台分なら足りるんですか?」

「はい。お恥ずかしいですが、その通りでございます」

「じゃあ、1台貸してください」


なんだろうと思いながらも真冬箱を1台渡してきた。

受け取ったユリはさっと充填し即返した。


「これで大丈夫ですね」

「え?」


執事たちが真冬箱のランプを見るとフル充填されている。


「今の一瞬で、しかもフル充填・・・」

「冬箱もあればフルーツゼリーも有るんですけどね」

「冬箱ございます!馬車に乗せております」

「何個要りますか?ちょっと持ってきます」


ユリは現物を持ってきた。


「これです。何個(はい)ります?」

「おそらく8個くらい入るかと」

「では、アイスクリーム類が9個、フルーツゼリーが8個で、他はよろしいですか?、というか、今居る人は何か食べなくて良いんですか?」

「今、おやすみ時間なのでは?」

「まあ、そうですけど、お話聞く限りだと、遠くからいらしたのでしょ?」

「ここからは、馬車で1日半です」

「なら、ランチ食べていったら良いですよ」

「良いのですか!?」

「ごはん食べる時間くらいなら到着時間に響かないでしょ?」

「ありがとうございます!!」

「今日は親子丼とポテトグラタンですが、どっちにします?」


するとリラから声がかかる。


「ユリ様、双方残り3人前くらいです」

「あ、そうね、じゃあ、選べないけど良いかしら?」

「はい!問題ございません!」

「セットのおやつは召し上がりますか?シャーベットか、フルーツゼリーですけど」

「はい、可能なものはいただきたいです!」


席に座ってもらい、取り皿を提供し、二人組で少し分けてから食べると良いですよと助言した。


「なんだ!この旨さは!」

「お使いに来た甲斐があった!」

「役得ですね」

「冷たいお茶とは旨いものだなぁ」

「来てよかった!」

「ゼリーというのか、初めて食べたが旨いなぁ」

「これが父上の言う、這ってでも取りに来たかったアイスクリーム(シャーベット)か!」


聞くところによると、執事以外は全員子爵の息子らしい。いずれも10代のようだ。


「17500☆です」

「充填していただいた魔力の分が入っていませんが?」

「んー、じゃあ、お見舞いってことで」


6人全員が驚いていた。

ユリは知らないが、600p分の魔力が入った魔鉱石を購入すると6万☆かかる。


「では、こちらをお納めください」


2万☆あった。

ユリにしてみれば2500☆多い。


「これ、疲れたときに召し上がってください」


ユリはフルーツ入りパウンドケーキを6カット渡した。


もう、そういうものだと諦めたのか、笑顔で何度もお礼を言って帰っていった。


後に、この息子たちがユリを嫁にしたいと騒動を起こすが、ユリの耳どころか、ソウの耳にも入らない内に、王家とパープル侯爵によって叩き潰されたのは言うまでもない。

王もパープル侯爵も、ソウを本気で怒らせたら生きていける気がしないと思っている。


すぐに15:00だ。

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