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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
2章

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親子

9:15頃厨房に行くと、リラが既に来ていた。


「早いわね。いつからいるの?」

「今来ました!」

「仕事は9:30からで良いから、そうだ! 何か質問有る?」


ユリは蒸し器の鍋にお湯を張り、火をつけ、洗ったジャガイモを蒸し器に入れながらリラに聞いた。


「このエプロンは、ユリ様が洗っているんですか?」

「そうよ。どこか汚れ落ちてなかった?」

「いえ、いつ洗ってるんだろうって不思議で・・・」


ユリはソウが持ち込んだ洗濯機で洗っていたので気にしたことがなかったが、普通なら昼間洗うことになる。


「うーん。洗濯機と言う名前の魔法の箱にいれると水洗いしてくれるのよ」

「そうなのですね!ユリ様が寝ないで洗っているなら私の使ったエプロンは自分で洗わなきゃって思いました」


あるであろう不思議な機械の事よりも、ユリの労力を心配してだったらしい。


「心配してくれたのね。どうもありがとう」

「え、そんな・・・」

「そうだ、ちょっと待ってて」


ユリは2階の作業部屋から、ダンボール箱に入った沢山の生地を持ってきた。

この部屋はユリの部屋のとなりで、ミシンや手芸道具や本が沢山置いてある。


「この中から好きなのを選んで。新しいエプロンを作るわ」

「すごーい! きれいな布がいっぱい!」

「洗っても乾ききらない時もあるからね。最低でも5種類ね」


リラは目をキラキラさせて生地を選んでいた。


あまり楽しそうなのでユリもうっかり見ていたが、9:30をとうに過ぎている。


「あ、もう45分だわ。そろそろ仕込みを始めましょう」

「はい!」


返事をしたリラが生地を7種類持ってきた。女の子らしい可愛らしい小さめの花柄が多かった。

ユリは箱ごと休憩室に片付けた。


少しして、野菜などをマーレイが持ってきたが、肉屋の手違いで豚肉が早くても昼になるらしい。


メニューを変更して、明日の予定の親子丼を今日一巡目に出すことにしよう。

卵の数が若干心配だけど、限定にすればなんとかなると思う。


「マーレイさん、可能なら卵を早めに持ってきてもらえますか?」

「明日の予定分でしょうか?」

「はいそうです」

「それでしたら預かって参りました。あと、鶏肉もございます」

「注文が反対なのね」

「そのようです」

「豚肉は無理に急がなくて良いわ」

「かしこまりました」


それならと、完全に予定を変更して今日のおすすめを親子丼にすることにした。


◇ーーーーー◇

おすすめランチ

親子丼(おやこどん) 500☆

(鶏肉と卵のどんぶり)


ポテトグラタン 500☆


ランチセット プラス500☆

(冷茶、シャーベット)


フルーツゼリー 500☆(限定150)

◇ーーーーー◇


ユリはグラタンを仕込み、リラにはサラダ用の野菜を切ってもらった。


次に親子丼の玉ねぎをリラに切ってもらい、ユリは鶏肉を小さく切った。


出汁を作り、レードルで簡単にすくえるようにし、親子丼用のなべを3つ出してきた。


蒸したジャガイモを1cm厚に切りグラタン皿に並べ、できたグラタンを上にかけ、チーズを乗せて焼くだけにした。


「玉ねぎ切り終わったら卵を割ってもらいたいんだけど、できそう?」

「はい!卵は割ったことあります!」

「なら、お椀に2個ずつ、とりあえず15個作ってくれる?」

「はい!」


リラが卵を30個割り終わった頃丁度11:00になった。


「親子丼とセットとフルーツゼリーで!」


8人が同じ注文だった。

ユリは厨房に下がり作り始めた。


「ユリ様、全部食べたいと言うお客様が、頼んで良いか聞いてくれといっています。どうしたら良いですか?」

「全部? 親子丼とポテトグラタンを食べると言う意味?」

「はい。おすすめの全部頼んで良いか聞いてきてくれる?と言われました」

「構わないけど、でき次第持っていって良いか聞いておいてくれる?でなければ、食べ終わってから追加した方が良いですよって」

「はい!」


一人前では食べたりないのか、おかわりがない文化のままの人なのか。


「ユリ様、でき次第持ってきて!って言っていました」

「わかったわ。作ります」


すぐに満員になり、親子丼鍋はフル回転だった。


そして、今日は回転が速いなぁ。と思っていたら、双方食べた人が数人いたらしい。

あとからリラに聞いて驚いた。


シャーベット引き換えの人はおらず、ランチタイムにお土産購入を迫る人も来なかったそうだ。


「おはようにゃ」


13:00過ぎにユメが降りてきた。

何か食べるか聞くと、皆のお昼ご飯と一緒に食べると言っていた。


「あ、ユメちゃん、休憩室に布があるから好きなのを何枚か選んでくれる?エプロン作るから」

「わかったにゃ」


親子丼もポテトグラタンも好評で、合計が100食を越えた。ここのところ70食くらいだったので普段の1.5倍だ。


シャーベットとフルーツゼリーは全員が注文したらしく、84個売れたらしい。

全員食べて84個なら、20人近くがランチ双方食べたの?


そうか、足りない人が結構いるのね。

大盛りを作った方が良いのかしら?


「片付け終わりました。グラタン皿は浸けてあります」

「ありがとう。お昼何食べたい?」

「親子丼が食べたいです!」

「わかったわ。ユメちゃん呼んできてもらえる?休憩室に居ると思うわ」

「はーい」


手に布をもってユメは現れた。


「ユメちゃん、お昼何食べたい?」

「ユリのおすすめで良いにゃ。この布が良いにゃ」

「じゃあ、親子丼にしましょう。布は避けておいてね。リラちゃん親子丼の作り方見る?」

「はい!」

「一緒に見るにゃ!」


寸胴を乗せるガスコンロは低い位置に有る。

作り方を見るにはユメでも見やすい。


「この親子丼鍋に、この出汁を小さいお玉1杯入れます。

鶏肉と玉葱を入れて煮ます。

鶏肉が小さいのですぐに煮えます。

卵2個分を軽くかき混ぜて、なるべく白身の方が入るように2/3くらい加えます。

完全に火が通る前に火を止め、残りの卵を足し、どんぶりご飯の上に乗せます。

三つ葉か柚子を乗せて出来上がりです」


全員分三つ葉を乗せた。


「うわー!美味しそう!」

「美味しそうにゃ!」


三人で食べていると豚肉を配達に来たマーレイと、様子見にソウが一緒に来た。


「親子丼?まだある?」

「大丈夫よ。作るわね」

「いや、食べ終わってからで良いよ」

「マーレイさんは何食べたいですか?」

「同じものをお願いします」


「ユリ様、お父さんの分作ってみても良いですか?」

「マーレイさんが良ければ良いわよ」


リラが交渉し、マーレイの分はリラが作ることになった。


ユリの動作を確認しながら先程習ったことを思い出し、リラは頑張って作っていた。

最後乗せるところで鍋の底にご飯がついてあわててしまい上手に乗せられなかったが、味は変わらないだろう。

リラは三つ葉を乗せ、ユリは柚子を乗せた。


ソウとマーレイに提供し、ユリはゼリーを持ってきた。


「ゼリー食べるわよね?」

「食べるにゃ!」

「はーい、食べたいです!」

「俺ももらう」

「いただきます」


「美味しいにゃ!親子丼は卵が美味しかったにゃ、好きな味にゃ!ゼリーは果物がいっぱいにゃ!」


ユメは卵かけご飯が好きだから親子丼も気に入るだろうとユリは思っていた。


「お父さん、美味しい?」

「とても良くできている。これをリラが作ったのか」


マーレイはかなり感動したらしく、噛み締めるように一口ずつ味わっていた。

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