第65話
第65話
<タクシー(走行中)>
篝 「宜しければ、何故あの手順にしたのか教えて頂けませんか?」
女の人「はい。これは、『2・3・1』のコンビネーションです」
「朱雪さんは『幻』、鈴音さんは『力』、私が『揮』を担当しました」
「最初、醍醐さんは6人の中から5人を選ぶ為、全員に爆弾を置きましたよね」
「私はすぐに、」
「誰かが誰かを選ばないといけないのに、誰も選ばない展開になると思いました」
「2手目、朱雪さんが『幻覚』を使って『視覚』に頼れなくなる状況を作ると、」
「4手目に鈴音さんが『保護玉』を出して『揺さ振り』を掛けました」
「そして、御影さんが『起爆』を選択」
「『保護玉』は分割可能でしたけど、5人分の容量しかなく、」
「誰かが犠牲になるのは必至です」
「だから私は、1つの技で回避できる方法、」
「6人の前に『移流』の壁で覆われた部屋を作って、『保護玉』と相殺させたんです」
鈴音 「『壁』の強度は丁度1人分だったし、綺麗に処分したわね」
御影 「やはり、貴女方に『あの絵』を託して正解だったようです」
「私は、これから起こるであろう『変化』に希望を持たずには居られません」
朱雪 「私も そう思いますぅ」
<油留木のグループ:六鳥神社の鳥居を潜る3人>
妹 「あっ、神楽さん、先に着いてたんですか?」
神楽 「はい。我々のグループは『戦い』を免れていますから」
妹 「・・えーと、お姉ちゃんは まだみたいですね」
都筑 「そろそろタクシーで来る頃だと思いますよっ」
〈妹が鳥居の外に目を向けると、すぐにタクシーが止まる〉
妹 「ホントだぁ、これでみんな揃ったね」
………タクシー内:鈴音側のドアが開き、室内灯が点く………
御影 「私と篝は此処で待っています」
「誰が乗るか、良く考えて決めて下さい」
女の人「はい」
御影 「それと、これを妹さんに渡して下さい」
〈御影は、水の入った小さなペットボトルを姉に渡す〉
女の人「ありがとうございます」
………境内:白い照明に照らされる9人………
妹 「私、喉が渇いてたから助かるよ」
〈妹がペットボトルの水を飲み始める〉
安茂里「姉様、それは・・」
鈴音 「大丈夫よ。私達には飲めないだけだから」
妹 「えっ?、じゃあ、タクシーに乗ってる御影さんと篝さんは・・」
………8分後………
女の人「私、油留木さんの考えは合ってると思うんです」
「でも、それだと『答え』には永久に辿り着けないですよね」
妹 「ねえ、私達のグループって、最大で何グループに分けられるの?」
女の人「えーと、油留木さんと安茂里のペア、」
「私、神楽さん、都筑さん、御影さん、朱雪さんで、条件付だけど6グループだね」
油留木「この神社に何人か残れば、7ヶ所全て廻る事が出来るわ」
女の人「神楽さん」
「今回の作戦、私達11人で7グループあるから成功すると思ったんですか?」
神楽 「はい。そうですよ」
妹 「あっ、もしかして、安茂里が言ってた『当てたら免除』の話、コレじゃないの?」
女の人【まさか、その話って・・】
安茂里「『人』が神を捜し当てるのは不可能だと言われます。何故なら・・」
女の人「そうかっ、分かった!」
「8ヶ所目なんて、最初から存在しないんだよっ」
妹 「何でそうなるの!?」「もしそうなら、私達これから・・」
女の人「ううん、違うの」
「7ヶ所ある神社にヒントが隠されていると思って捜したら、」
「新たに8ヶ所目を作って逃げちゃうんだよ」
「神様を見付ける事なんて出来ない。そうだよね、安茂里っ」
安茂里「はい」
(全員沈黙したまま5秒が経過する)
妹 「・・お姉ぇちゃん?」
女の人「安茂里、『四鳥神社』へ行こう」
安茂里「はい。姉様も一緒に行きましょう」
妹 「ええっ?」
………タクシー内:後部座席右から姉・妹・安茂里………
女の人「C地点、『七鳥神社』に行って下さい」
篝 「畏まりました」
………午後1時前:七鳥神社の境内………
女の人「安茂里、どう?」
安茂里「多分、この辺りだと思います」
〈安茂里を先頭に姉と妹が壁に向かって歩く:御影と篝が その様子を見守る〉
妹 「あっ、まるで祠だね」
(景色が変わり、赤い木製の鳥居の先に祠と賽銭箱が現れる)
女の人「お賽銭は幾らにする?」
妹 「私、5円で・・」
安茂里「私は50円です」
女の人「じゃあ私は、500円?」
<六鳥神社の6人:狛犬の前に油留木>
油留木「暇だわぁ、情報量を制限されるのって、私には一番向かないわよねっ」
〈そこへ〉
鈴音 「油留木。あの子、ちゃんと戦えてた?」
油留木「いいえ、空間の把握に手間取っていたようです」
「Sクラス3人相手に『降雪』まで出して、」
「ミスが起きると補正が利かないタイプだと思います」
鈴音 「・・そう。周りの人間がSS以上だから加減を知らないのね」
<七鳥神社:壁から3人が出てくる>
妹 「ねぇお姉ちゃん、どうして此処だと分かったの?」
「タクシーの中では教えてくれなかったしぃ・・」
女の人「安茂里の話。あの場の状況で出る話じゃないんだよ」
「あの時、みんな黙っちゃったでしょ?」
「つまり、安茂里にしか当てられないから、安茂里は『不可能』だと言った」
妹 「何それ」
「だったら、安茂里が『当てられる』と言えば当てられて、」
「『当てられない』と言えば当てられないって事に・・」
御影 「これは『世界の始まり』に関しての伝承です」
「『全能』を恐れる三元神は互いの能力を調整し、」
「三元神が如何なる組み合わせを以ってしても、」
「『全能』が生まれない『世界』としました」
「三元神は故意に弱点を作ったとされます」
女の人「どうして、そんな事をしたんでしょうか?」
安茂里「本物の『永久機関』を恐れた三元神、抜けられる手段がないと全員不幸になる」
「『始まり』を作った瞬間、『終わり』も用意した」
「『錯交』は、『ソート』による『整列』」
「交換する場所が無くなったら、最後の『砂時計』を引っ繰り返す『約束』」
妹 「・・ええっと、この神社の『七』って意味があるの?」
「此処を拠点にしたんだったら、此処に集まれば良かったのに」
安茂里「それでは『四鳥神社』の場所が変わってしまいます」
女の人「これは私の考えなんだけどぉ、」
「『8つの属』ってサイクルになってると思うの」
「『八鳥神社』の隣に別の神社があると分かった時、」
「きっと『1』と『8』は『糊代』になってて、」
「外から見ると宇宙は『7つの属』に見えるんじゃないかって」
「安茂里のグループは、」
「『六鳥神社』から『一鳥神社』へ行ったんだよね」
「もしも、安茂里が『影の世界』に入った瞬間、」
「この世界の『答え』が『決定』されたんだとすると、」
「安茂里から逃れようとする神様は『七』に来るしかない」
「情報量を制限されている事が、逆に この組み合わせを生み出したんだと思う」
「此処に集まる予定だったら、全ての神社の番号が変わってしまってたんだよっ」
妹 「ちょっと待って、それなら安茂里独りで探せるんじゃない?」
安茂里「私、独りでは『錯交』に制約が付きます」
「だから、水族館で姉様と一緒に探そうと誘いました」
妹 「・・・」
篝 「皆様、そろそろ戻られては如何でしょうか?」
女の人「はい、そうですね。次のメンバーを決めないと」




