第53話
第53話
<3日後(水曜日)神代の御前:巫女姿の鈴音>
男A 「盃と油留木から部隊編成が完了したとの報告が入りました」
「獲得人員を含め、行動力が最盛期の90%に修正されます」
榊 「神威・神楽・霹靂神から会合の申し入れがありました」
「鈴音様の御意向を反映し、」
「3日後の土曜に具体案が纏まる予定だと伺っております」
男B 「紫苑は現在、部下2名と共に神威の支部で療養を続けていると情報が入りました」
「移籍した他のメンバーの動向は まだ確認できておりません」
鈴音 「・・そう」
「ふふふ。日曜に決着がつくから、部隊を動かせるようにしておいてねっ」
男女 「・・・」(男女3人は頭を下げ退出)
………土曜日:午前9時過ぎ:赤いスポーツカー(走行中)………
妹 「ねえねえ、お姉ちゃん」
女の人「なあに?」
妹 「どうして、『光の速さ』よりも速く移動できないの?」
女の人「それは、加える力が足りないだけで、本当は『光の速さ』を超えられるんだよ?」
妹 「えっ、そうなの?」
女の人「でも、『光の速さ』に近付くと、」
「自分の分身が現れて『ゼロの世界』へ引き込もうとするから、」
「みんな怖くてブレーキを掛けちゃうんだって」
妹 「へえ、そうだったんだぁ」
〈2秒後〉
「ねえねえ、お姉ちゃん」
女の人「なあに?」
妹 「どうして、生物は『眠る』必要があるの?」
女の人「実わぁ、起きて行動できる人数に制限があって、眠らされているだけなんだよぉ」
妹 「えっ、そうなの?」
女の人「でも、眠っている間、自分が死んでると勘違いしちゃうから、」
「それで『夢』を見るようになったんだって」
妹 「へえ、そうだったんだぁ」
〈姉妹が安茂里の顔色を窺う〉
安茂里「・・今回は、ちょっと微妙でした」
姉妹 「・・・」(姉妹は一瞬 顔を見合わせる)
鈴音 「ふふふ。安茂里は厳しいわね」
………5分後………
妹 「ねえ、安茂里ぃ」
「此の間の話なんだけどぉ、『恐怖』って何処から来ると思う?」
安茂里「姉様はどうなのですか?」
妹 「私は、『怖い』って感覚が自分で良く分からないの」
「お姉ちゃんは、『自分で持っているからだ』って言うんだけど」
安茂里「私は、どのような方法・手段を用いても『消せないモノ』だと思います」
「どんなに距離が離れていても、それは存在し、自分と繋がっている存在」
「例えそれが宇宙の端から端までの距離でも、やはり恐怖は消えません」
「皆、同じ事を想い・考えて宇宙は広がったのだと思います」
鈴音 「そろそろ、『必然と偶然』の見分け方を話したほうが良いみたいね」
妹 「えっ?」
女の人「それって多分、私とは違う方法ですよね?」
鈴音 「あら、でもそれは同じ事よ?」
妹 「鈴音さんっ、早く教えて下さいっ」
鈴音 「貴女、『記憶』って どういう『仕組み』で出来ているか知ってる?」
妹 「えっ?、紙に書いて残すとか、石に刻むとか、そういうのですか?」
鈴音 「残念ながら それは『記憶』とは呼ばれないの、」
「何故なら、『送り手』と『媒体』と『受け手』の3つが揃わないから」
妹 「うーん」
鈴音 「安茂里の永久機関の話、そこの住民が『紙と鉛筆』を使えたとして、」
「永久機関だと分かる方法があったと思う?」
妹 「・・お姉ちゃん、タッチ」
女の人「『サイクル』が分断されてしまうから、関連付ける事が出来ないんですよね」
安茂里「神楽様、明快です」
妹 「良く分かんない・・」
鈴音 「なら、別の話ね」
「我々の日常生活で、特定できる部分があるとしたら、それは何処かしら?」
妹 「学校や会社に通うとか、習慣とか日課の事?」
鈴音 「そう。期間や時間が短いと、それは『偶然』に近くなり、」
「逆に長いと『サイクル』となって『必然』に近くなるのよっ」
「三元神は これを『記憶』として用いる事を発明したのね」
女の人「つまり、自分のサイクルや習慣が変化する事は、」
「自分が誰かの『記憶』として使われているのと同じで、」
「『必然と偶然』を分けているんですよね」
鈴音 「ええ」
妹 「うーん、分かったような、分からないような・・」
鈴音 「貴女が『記憶』を持つという事は、」
「貴女の中での『サイクル』を変えているのと同じ事なのよっ」
「貴女の『記憶』は『下の単位』へ伝わり、『下の単位』で『必然』に変わるのよ」
「分かるでしょう?」
安茂里「楽しい記憶、永久機関」「永久機関が無くなった今、楽しい記憶も有限になった」
「『記憶』と『永久機関』は『対』の存在」
………午前10時30分:神楽の本部:応接室:10人の前にお茶と茶菓子………
鈴音 「・・そうね。それで行きましょう」
朱雪 「では、此方も最終調整に入ります」
「鈴音様の部隊は、もう配置済みだと お見受けしました」
鈴音 「ええ」「後は、貴女方次第ね」(鈴音は姉妹の方を見る)
妹 「うーん、ちょっと今回は難しいかも・・」
安茂里「姉様、私も手伝います」
女の人「神楽さんと角星さんは どうなんですか?」
神楽 「はい。大丈夫ですよっ」
角星 「問題ない」
御影 「私と風雅は後方支援に徹します。不都合があれば、呼んで下さい」
風雅 「そうだな」
油留木「うふふ。いよいよ魔法少女の出番ねっ」
………午前11時過ぎ:空室の5人:神楽・角星・姉・妹・朱雪………
朱雪 「はい。角星さん、お見事です」
角星 「・・想像よりも、難しい手順だった」
女の人「『変更』を使って技をコピーするのって、意外と大変なんですね」
神楽 「はい。同じ物は『鏡』、つまり『偽りの力』なんです」
妹 「次は私達だねっ」
〈妹と姉と朱雪の3人が両手を繋ぎ、大きな輪を作る〉
朱雪 「私は自身の波動を変えられるので、お二方と『力』を共有する事が可能です」
〈繋いだ手が光を発し始める〉
妹 「『貸与』って便利だね」
「朱雪さんが見る世界って、一体どんな風になってるのか楽しみだよ」
女の人「ふふっ。そうだね」
………1分後………
朱雪 「はい。もう結構です」
女の人「あっ、これって・・」
妹 「・・うん、直接『未来』を見る能力だね」(妹のテンションが少し下がる)
「『人』って、やっぱり決まったタイミングでしか行動できないんだ・・」
神楽 「三元神は『一単位』を発明すると同時に『時間』の概念を築きました」
「そうする事で、『恐怖』を『時間』に置き換えたのです」
女の人「じゃあ、『瞬間移動』も『ワープ』も出来ないんですか?」
神楽 「三元神が決めたルールに則らないと使えない事になっています」
「それは『人』も同じです」
妹 「まさかとは思うけど、人が物事を『考える』のに時間が掛かるのって・・」
神楽 「はい。『問題』と『答え』は一瞬で結び付かないようになっています」
「理由は さっき話した通りです」
「貴女方は『三元論』に付いて、鈴音さんから聞いていますか?」
女の人「それが、『この世界は、3という概念で表せる』って事ぐらいしか・・」
神楽 「そうですか。では、作戦が終了したら鈴音さんに聞いてみて下さい」
「この世界の秘密に、迫れるかも知れませんよ?」
………次の日(日曜日)………
朝。洗面所から出る姉と、3メートル離れた所にいる普段着の妹。
妹 「おはよう」
女の人「おはよう」「今日は勝負する?」
妹 「ううん。だって、私達が勝負したら家に掛けてある『隠』が壊れちゃうもん」
女の人「そうだね」「朝ご飯にしよっか」




