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神楽  作者: 黒紫
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第49話

第49話


油留木はステッキを振り、

軌道上から10個の光玉テニスボールを姉に向けて発射する。(時速30キロ)

一方 姉は、肩の高さまで真っ直ぐ右腕を上げ、

油留木へ向けた掌から光玉(野球ボール)を連続で出して迎撃。(時速30キロ:20発)


油留木「バーリアッ」

〈油留木の左手から等身大の光の盾(ハート形)が出現する〉

「うふふ」

〈光の盾は姉の攻撃を全て受け止めつつ、巨大化しながら ゆっくりと姉へ〉

女の人【これ、幻覚じゃないよね・・】

〈姉は人差し指を立て、構えのポーズを取る〉

油留木「掛かったわねっ」

〈光の盾が姉の直前まで来た時、姉の後方にも同じ大きさの光の盾が出現する〉

女の人「えっ?」

(姉は2つの盾に挟まれ、身動きが取れない:持ち点を5ポイント失う)

油留木「さあ みんなっ」「私のト・リ・コに、なあれっ」

〈油留木はステッキを上に向け、先端から放射状に光玉(ビー玉)を発射〉

妹 「お姉ちゃん、大丈夫?」

鈴音 「油留木の『感化(かんか)』を まともに受けたら、負けは確定ね」

〈光の盾が消え、姉は光玉を全身に受ける:持ち点を3ポイント失う〉

油留木「どう?勝負あったんじゃない?」

(姉は構えが解け、目の焦点が合っていない状態)

「うふふ」

〈しかし次の瞬間、油留木の周囲に5体の分身(姉の輪郭)が出現する〉

「えっ?何コレ、まさか・・」


油留木は反射的にステッキを振って分身2体を消滅させるが、

残り3体が油留木の体に密着し、多数の光玉に分裂しながら体の中へ入っていく。


鈴音 「勝負あったわね」

〈油留木のステッキが消滅し、油留木の持ち点が0になる〉

女の人「あれっ、私・・」

(油留木は硬直したまま)


………1分後:全員が中央に集まり試合を振り返る………

油留木「納得いかないわっ」

「私の攻撃が先でしょう?」

鈴音 「これは自動攻撃の一種だから、実戦なら油留木の負けね」

妹 「お姉ちゃん、これって・・」

女の人「そう、『抑制(よくせい)』を使ったトラップだよ」

「予め『分身』を仕込んでおいて、『抑制』で発動を封じてたの」

「この関係は自然界でも幅広く使われていて、」

「例えば、植物を切っても切り口が再生するのと同じシステムなんだよ」

妹 「ふーん」

鈴音 「油留木」

「今の試合、『隠』が得意な能力者と戦うなら当然考えておくべき内容だったわね」

油留木「・・・」

「仕様がないわ。私の負けよ」

〈3分後〉

鈴音 「では、次の試合ね。今度は・・」

安茂里「私が行きます」

鈴音 「そう」「相手は・・」

朱雪 「私がやりますぅ」

妹 「えっ、朱雪さんて まだAAAでしょ?」「安茂里は もの凄く強いよ?」

鈴音 「ふふふ」


(6人は部屋の四隅へ:鈴音・妹・油留木:御影・風雅・姉)


………安茂里 VS 朱雪………

安茂里「お願いします」

朱雪 「此方こそ、お手柔らかにお願いしますぅ」


朱雪は右手の人差し指を立て、構えのポーズを取る。

しかし、安茂里は構える事もなく、

早々に朱雪の周囲に光玉テニスボールを20個発生させ、瞬く間に朱雪へ全弾ヒット。


〈朱雪は持ち点を2ポイント失う〉

安茂里「私、手加減はしません」

朱雪 「はい。私も軽く本気ですぅ」

〈安茂里は左手の人差し指を立てる:光玉(野球ボール)が30個発生〉

安茂里「これなら どうですか?」

〈光玉が朱雪に向かい、再び全弾ヒット:朱雪は持ち点を3ポイント失う〉

【おかしいです・・】

朱雪 「・・・」(朱雪に変化は見られない)

妹 「あれっ?」

鈴音 「あら、安茂里の負けね」

(突然 天井から、光を帯びた『赤い雪』が部屋中に降り始める)

安茂里「これは!?」

女の人「これ、『幻覚』じゃないですよね」

妹 「朱雪さん すごーい」

安茂里「・・寒い」

〈安茂里は立っているのがやっとで何もできない:持ち点を8ポイント失う〉

油留木「やっぱりね。御影と朱雪のコンビに関わるなと言われる筈だわっ」

鈴音 「この試合、中止にしましょう」

「安茂里には まだ、早かったわね」

(安茂里は両手で肩を(さす)り、寒そうな仕草をしている)


………全員が中央に集まり試合を振り返る………

妹 「今の技・・」

鈴音 「『吸気』の派生で『降雪(こうせつ)』って言うの」「私も実際に見るのは初めてよ」

女の人「無効化の時に発生した『風』を『光の雪』に変えたんですよね」

「でもこれ、相手の技を受けないといけないし、かなりの忍耐力が要りませんか?」

朱雪 「はい。鉄壁ですぅ」

安茂里「・・私、悔しいです」


<別の時間:神威の支部>

とあるビルの一室。部屋の壁に3枚の静物画。

窓際の大きな机に座る男性(22歳位で長い髪)と、

資料を手にした女性。(25歳位で髪が長く、眼鏡を掛けている)

男性が不意に椅子から立ち上がり、女性の横を通って部屋から出ようとすると、


女性 「神威様、まだ本件の指示を伺っておりません」

神威 「その件は『宝樹(ほうじゅ)』に任せる」(軽い口調で)

「私はこれから、先代様と、先々代様に挨拶に()かねばならない」

「急用以外は私を呼び出さないで貰えないか?」

宝樹 「畏まりました」


………ビルの空室:中央の8人………

妹 「次は私がやります」

御影 「では、私がお相手します」

鈴音 「そう、興味深いわね」


(四隅の6人:鈴音・安茂里・油留木:風雅・姉・朱雪)


………妹 VS 御影………

妹 「私、御影さんに出会ってからぁ、色んな技が使えるようになったんですよっ」

御影 「そうですか」

「貴女もそろそろ、人の上に立つとは何かを考える時期に来ているのだと思います」

妹 「えっ?」「何の話ですか?」

油留木「あの子、自覚が足りないって言うか、」

「もしかして『必然』と『偶然』の区別がつかないんじゃないの?」

鈴音 「ふふふ」

安茂里「姉様はきっと、『偶然』が怖いのだと思います」

「だから、この世界には『必然』しか存在しないと思い込む事で自分を守ってる」

油留木「仕様がないわねぇっ」


程無く、床一面に光の市松模様が現れる。

(80センチ四方、9×12マス:座標は妹[5,4]御影[5,9])

御影は左手の人差し指を立て、1秒ほど目を閉じると、


「手加減が必要ですか?」

〈次の瞬間、明るいマスの全てに御影の分身が出現する:妹は囲まれた状態〉

妹 「いえ、大丈夫です」(妹は右手の人差し指を立てている)

女の人「『(つい)』の片方を押さえられたら苦しい展開になるけど、」

「御影さんは『偶奇床』の事 知ってたんですか?」

風雅 「朱雪が2日前に入手した神代の戦術資料に、この戦法が載っていた」

「かつて実際に行われた戦いを記した物らしい」

〈妹は左手の人差し指を立て、右手と交差させる〉

御影 「その調子です」

〈床の『明と暗』が逆転し、全ての分身がテニスボール位の光玉に変化〉

妹 「はい、御影さん」

〈妹が1マス前に進み、全ての光玉が一瞬で消滅:御影の背後に大きな光玉が出現〉

鈴音 「神代様は、ここで選択を誤ったのよ」

〈御影は素早く右横のマスへ移動し、左手を左後ろの光玉(30センチ)に向ける〉

妹 「これで決まりですね」

〈妹は両手の人差し指を立て、再び両手を交差させる〉

朱雪 「お見事です」

〈床の『明と暗』が逆転し、明るいマスに妹の分身が出現:御影は囲まれた状態〉

安茂里「鈴音様、私・・」

鈴音 「これが実力の差よ。自惚れるのは、まだ早いわね」


御影の持ち点が0になり、全員が中央に集まってくる。



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