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神楽  作者: 黒紫
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第48話

第48話


<4章>


………5日後の金曜日(11月初旬)夕方:喫茶店………

奥の席で油留木と朱雪が会話をしている。

(油留木の前にはオレンジジュース、朱雪の前には紅茶)


朱雪 「やっと足取りが掴めました」

「紫苑は現在『神威(かむい)』に所属し、能力の回復を図っているようです」

油留木「そう・・。鈴音様が仰る通りになったわ」

「ありがと。助かったわよ」

朱雪 「はい。この件は御影様も気に掛けておられます」

「近く、大きな争いに発展するのではないかと、私も気が気でなりません」

油留木「そうね」

「でも、何とかなるんじゃない?」

「次期神楽と次期神代 姉妹が居るからっ」

朱雪 「ですよねっ」


………次の日(土曜日)………

朝。洗面所から出る姉と、3メートル離れた所にいるパジャマ姿の妹。


妹 「お姉ちゃん、おはよう」

「また新しい技が使えるようになったから、採点してっ」

女の人「いいよ」


妹は人差し指を立て、指先から光玉(ビー玉)を姉に向けて飛ばす。(時速20キロ)

0.5秒後、光玉は姉の手前30センチの所まで来ると、

突然ソフトボール位の大きさになり、姉の目の前で激しく輝きながら消滅する。


女の人「都筑さんの技だね」「上手く出来てるけど、50点だよ」

妹 「えー、何でぇ」

女の人「『隠』の配分を間違えてるしぃ、作る時に余計な『風』が起こってるよっ」

「これじゃあ、レベルが高い攻撃だと事前に教えてるようなもんだから、」

「小さくする意味が無いよね」

妹 「うー」


………午前9時:神楽の本部:応接室:神楽と都筑………

都筑 「神楽様、私はこれで支部に戻ります」

「皆さんにも宜しくお伝え下さい」

神楽 「ご苦労様でした」

「十分、休養を取って下さいね」

都筑 「はい」「それと大変申し上げ難いのですが・・」

神楽 「いいえ、気にしないで下さい」

「問題がそう簡単に解決しない事くらい、もう彼女達は理解できる筈ですから」


………午前9時過ぎ:赤いスポーツカー(走行中)………

妹 「ねえねえ、お姉ちゃん」

女の人「なあに?」

妹 「どうして、時間は(さかのぼ)る事が出来ないの?」

女の人「それは、時間を戻した人にしか その様子を確認できないだけで、」

「本当は時間も遡る事が出来るんだよ?」

妹 「えっ、そうなの?」

女の人「でも、みんなが時間を戻そうとするから、時間がどんどん小間切れになって、」

「とうとう、人の力では幾ら戻しても殆ど変わらなくなっちゃったんだって」

妹 「へえ、そうだったんだぁ」

〈姉妹が安茂里の顔色を窺う〉

安茂里「・・今の、ちょっと良かったです」

姉妹 「・・・」(姉妹は一瞬 顔を見合わせる)

鈴音 「ふふふ。安茂里も少しずつ変わってきてるわね」


………午前9時20分:油留木:タクシーで移動中………

油留木「ねえ、篝。この服、私に似合うと思う?」

篝 「私は、油留木様らしくてピッタリだと思います」

油留木「うふふ、そうよねっ」


………午前9時25分:赤いスポーツカー(走行中)………

安茂里「次は私の話ですね」

「・・これは、私鉄の『踏み切り』での話です」

「遮断機が降り、複線で上下線ともランプが点いた状態だったのですが、」

「全く電車が来る気配がありませんでした」

「その道は、近くの幹線道路で工事をしている為に渋滞していて、」

「歩行者は両端を合わせて4名、自転車が3台で計7名の状態です」

「すると、3分程経ってから無人の回送列車が通過しました」

「しかし、ランプが消えません」

「異常を感じた車の運転手は次々と『Uターン』を始め、更に6分が経過します」

「歩行者は10人に増え、自転車も倍になりました」

「ここで、やっと『下り』の電車が通過します」

「『下り』のランプが消えました」

「そして、『上り』の電車が通過します」

「ところが、ランプは消えずに再び『下り』のランプも点灯します」

「この時、自転車の男性1人が痺れを切らして引き返してしまいました」

「1分後、『上り』と『下り』の電車が通過します」

「ランプは消え、ようやく踏み切りが開きました」

妹 「すると、その男性が一番損だったって事?」

鈴音 「あら、そんな風に考えてしまうと、その男性と同じ運命を辿るわよ?」

女の人「それは、『必然』と『偶然』は何で分けられるのか、って事ですよね」

鈴音 「ええ、そうよ」

安茂里「ちなみに、歩行者は誰も引き返さず、」

「自転車の人も含めて3割程が携帯電話を操作しながら時間を潰していました」

「一方、車も『Uターン』せずに留まり続けた人が何人も居ます」

妹 「ねえ鈴音さん、『必然』と『偶然』を見分ける方法って何ですか?」

「お姉ちゃん、何度聞いても教えてくれないの」

鈴音 「私だって教えないわよ?」

妹 「安茂里はどう?」

安茂里「姉様の場合は、『ある力』が強過ぎるのかも知れません」

「姉様は、『繋ぐ力』の別名を御存知ですか?」

妹 「えっ?」「えーと、この世界を支配する力は3つあって、」

「其々『変化の力』『繋ぐ力』『無の力』って呼ばれてるんだよね」

「その内の1つを取り出すと、更に3つに分かれて、その繰り返しになる」

「私、『三元論』って どうもピンと来ないんだけど・・」

鈴音 「そうね。理解できない事が貴女の『力の源』だと言ったら、理解できる?」

妹 「うーん」


………午前10時前:ビルの空室(鈴音の所有)4人が部屋に入る………

妹 「あっ、風雅さんも来たんですか?」

風雅 「神威の情報は我々でも入手が困難だ」

「神代の提案にも一理ある」

油留木「紫苑を始め、多くの能力者が神代から神威に流れたみたいね」

「まあ、神威が受け皿になってくれたお蔭で時間が稼げるんだけど」

御影 「神威は『隠』を得意とし、主要メンバーは一般人と区別がつきません」

「三者が協定を結んだ今、改めて関係を見直す時期に来ているのだと思います」

朱雪 「古来より、『4つの関係』は災いを招くとされています」

「どの様な形であれ、安定に向かうには争いは()けられないでしょう」

女の人「でも鈴音さんは、この方法が最小限の労力で済むと考えたんですよね」

鈴音 「ええ、物事を変えるには、その次の影響も考慮する必要があるでしょう?」

「都合の良い所だけを変えて、」

「後は『知らぬ存ぜぬ』なんて虫が良過ぎるわよね」

安茂里「はい、鈴音様。私も皆さんのお手伝いをします」

「神威は、三者の1つと地位の入れ替えを狙っているのかも知れませんから」

鈴音 「そうね・・。では、早速始めましょうか」

〈全員が部屋の中央へ移動する〉

妹 「ねえ、油留木さん」

油留木「何?」

(油留木は少し派手な格好)

妹 「いえ、やっぱりいいです」

鈴音 「・・ルールを説明するわよ」

「『持ち点』は10点で減点制、3分経つか、持ち点が0になったら試合終了ね」

「審判側は一人に対して減点2点まで、アドバイスは禁止」

「見せたくない能力は使わなくても結構よっ」

「みんな、準備はいい?」

〈全員が頷く〉

「最初は・・そうね、油留木と・・」

女の人「私がやりますっ」

鈴音 「あら、そう」

油留木「私と勝負するの?」

「うふふ。次期神楽の実力、見せて貰うわよっ」


油留木と姉は部屋の中央に残り、互いに4メートルの距離を置く。

程無く、二人の後方に10個の光玉ソフトボールが出現し、

相手の持ち点を確認できるようになった。

(残りの6人は部屋の四隅へ移動:鈴音・妹・安茂里:御影・朱雪・風雅)


………油留木 VS 姉………

〈油留木は右手から半透明の光で作られたステッキを出現させ、ポーズを決める〉

「魔法少女ユルギ」「参上!」

女の人【油留木さんって・・】

妹 【・・ああ、油留木さん、やっぱりだコレ・・】



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