第40話
第40話
………午後2時過ぎ………
風雅 「あと2時間程で今回の作戦は成功だ。そろそろ本部へ戻ってはどうか」
鈴音 「そうね」
女の人「えーと、もう少し時間を潰したほうが良いんじゃないですか?」
「私の勘ですけど」
妹 「それじゃあ、朱雪さんと角星さんの話でも・・」
朱雪 「えっ、・・あんまり進んでないですぅ」
妹 「私ね、1つ疑問があるの」
「よく聞く『男女の友達関係』は有り得るのかって話、御影さんはどう思います?」
御影 「その問題を解くには、ある視点で人々の関係を見るのが近道だと思います」
「まず、『人と人』との関係は『距離』と『時間』の分布で表せると考えます」
「例えば、他人同士なら居合わせる時間は短く、普段は互いの距離が遠い」
「逆に親しくなる程、一緒に居る時間が長く、距離も短くなります」
「他人・友人・親兄弟・恋人・夫婦。其々に違った距離と時間があり、」
「それは ある一定の範囲に収まります」
「ですから、『男女の友達関係』というのは、」
「結果的、又は客観的に友人の範囲から出ない事ではないでしょうか」
女の人「すると、」
「その関係を変えたいのなら、お互いの『距離と時間』を変える必要があるし、」
「逆に関係の維持を望むのなら、」
「その『距離と時間』の範囲に自然と収まる努力をしないといけないんですね」
御影 「これは飽く迄考え方です。必ずそうなるとは限りません」
「諺に『過ぎたるは猶及ばざるが如し』とあるように、」
「『すべき』や『あるべき』といった考えは逆に事態を悪化させると私は思います」
朱雪 「角星さんと結婚したら肝に銘じますぅ」
妹 「朱雪さん・・」(少し呆れた感じで)
<別の時間:神代の支部:部屋から男性(32歳位)が手荷物を持って出てくる>
榊 「盃様、もう お立ちになるのですか?」
盃 「新人の獲得数で紫苑と競争する事になってな」
榊 「そうですか。お気を付けて」
盃 「・・・」
「なるほど、私と紫苑以外は既に鈴音側に付いていたのか」
「我ながら、鈴音が退身したと聞いた時に気付くべきだった・・」
………黒い車(走行中)………
妹 「ねえ、お姉ちゃん。何でさっき・・」
〈鈴音の携帯電話が鳴る〉
鈴音 「失礼」(姉妹が鈴音を見る)
「・・・いいわよ」
(鈴音がこの間20秒程で通話を終わらせる)
女の人「油留木さんからですよね?」
鈴音 「ええ」「悪いけど、待ち合わせの喫茶店まで送って下さる?」
朱雪 「はい」
妹 「そういう事なんだ・・」
………午後3時過ぎ:喫茶店………
奥から2番目の席に4人が座る。(奥から鈴音・姉、向かいに油留木・妹)
すぐにウェイトレスが水を持って現れ、
鈴音 「カフェオレを1つ」
女の人「紅茶を1つ、お願いします」
油留木「私、パフェで」
妹 「私も」
〈ウェイトレスがその場を離れる〉
女の人「話が長くなりそうですね」
鈴音 「そうね」
………7分後(油留木と妹はパフェを食べながら)………
女の人「・・じゃあ、その二人を競わせるように仕向けたんですね」
油留木「これは私の功績なんですからね」
鈴音 「私の支持者には その後の事も話してあるから、」
「妹さんの計画が上手く行けば最小限の労力で済むわね」
女の人「計画って?」
妹 「もしかしたら、お姉ちゃんの力が必要になるかも知れないんだけど、」
「まだ途中なの」
「あともう少しだから、その時になったら話すね」
女の人「ところで、油留木さんって『感情変化』が得意なんですよね」
「油留木さんが良ければ、差し支えない範囲で教えてくれませんか?」
〈油留木は鈴音の顔色を窺う〉
油留木「・・いいわ。少しだけよ」
〈パフェを食べるのを中断して〉
「貴女は、『男』と『女』の違いって何だか知ってます?」
女の人「えーと、子供を産む産まないっていうのもあるけど、」
「よく『質』と『量』の違いに例えられたりしますよね」
油留木「ええ、そうよ。生物は性質の異なる『2つの入れ物』を持っていて、」
「男性と女性とでは、その入れ物の特性が逆になっていると考えられているわ」
妹 「そう言えば、」
「女性は『お産』の痛みに耐えられるけど、男性は無理だって言われてるね」
油留木「よく勘違いされるのが、」
「女性は痛みを軽減したり、感じなくなる機能がある訳じゃないって事」
「『痛み』や『苦しみ』に男女差なんてないの」
女の人「あっ、それで『単位未満の感覚』を利用するんですね」
油留木「そう。男は鈍感だって言われるのは特性の違いを表してるんですっ」
妹 「という事は、逆に男の人にしか分からないモノもあるって事だよねぇ?」
鈴音 「ふふふ」
………3分後………
女の人「とても参考になりました」
妹 「私、ちょっと分かったかも知んない」
鈴音 「さて、そろそろ本題に入らないとね」
女の人「これからの話をするんですよね?」
鈴音 「ええ」
女の人「一つ聞いておきたいんですけど、」
「油留木さんは『蹉跌の風』が起こった時、東京に居たんですか?」
油留木「いいえ」
「でも、すぐに仕事を終えて東京に戻ったわよ。私は優秀だから忙しいの」
女の人「その仕事って、能力者の発見と属性の見極めじゃありませんか?」
「神代の勢力を拡大する為の」
油留木「そうよ」
女の人「東京の蹉跌レベルを意図的に低くしたのは、」
「能力者に我々の存在を教えて、東京に集めさせる為だったんだ」
妹 「普通、これだけ大きな風が2回も起きれば、東京で何かあるって思うもんね」
女の人「此の間 神楽さんが、」
「霹靂神が一部の地域で爆弾の撤去をしてるって言ってたのは、」
「霹靂神がその地域に能力者を誘導する目的があったんだね」
鈴音 「それは霹靂神なりに考えての行動ね」
妹 「だとしたら、これから東京とその地域に能力者が集まって来るの?」
油留木「多分、殆ど東京でしょう」
鈴音 「あっ、言い忘れてたけど、神代の幹部が東京に向かっているわよ」
「心の準備は出来てる?」
………神楽の本部………
午後4時30分。応接室。
3人が部屋に入ると、神楽・御影・朱雪・角星・都筑の5人が席で待っていた。
鈴音 「戻りました」
姉妹 「神楽さん、ただいま」
神楽 「お帰りなさい。今、作戦の成功を確認した所です」
女の人「それは良かったです」
「それで早速なんですが、次の作戦を考えたので聞いて貰えますか?」
妹 「お姉ちゃん、タクシーに乗ってる間に考えたの?」
女の人「『篝』さんの車に乗ってると、」
「頭が冴えてくる感じがして、それで思い付いたんだぁ」
神楽 「それは『整流』の派生で『集中』と呼ばれる能力です。ちょっと珍しいんですよ」
鈴音 「油留木は何時も、移動に篝のタクシーを使うのよ。部下に恵まれたわね」
………次の日(日曜日)………
朝。洗面所から出る姉と、3メートル離れた所にいるパジャマ姿の妹。
妹 「お姉ちゃん、おはよう」
「ふっふっふっ、今日は『悟りモード』だから、私が勝つよ!」
女の人「ふーん。じゃあ、『停止』で耐性勝負だね」
妹 「いいよっ」
姉妹は、お互い人差し指を立てて光玉(ピンポン玉)を飛ばし合う。
1秒後、互いの胸元にヒットすると、
妹 「これからが本番」
女の人「そうだね」
〈3秒後。今度はテニスボール位の光玉がヒット〉
妹 「ふふっ、平気平気」
女の人「成長したね。じゃあ・・」
母親 「はいはい。そこまでにしましょう」




