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神楽  作者: 黒紫
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第31話

第31話


………家の前………

姉はトランクから引き出物を取り出して、

御影と朱雪に別れの挨拶をすると、妹と共に家の中に入る。


姉妹 「ただいま」

母親 「お帰りなさい」

妹 「お母さん聞いて聞いて。お姉ちゃん、次期神楽なんだよぉ。凄いでしょう」

母親 「そうですか。これから忙しくなりますね」

女の人「うん。世の中には色んな人達がいるんだね」

妹 「お姉ちゃんの得意技ってぇ、変な人を集める能力なんじゃない?」


………30分後………

リビングに姉と妹。(妹は何時もの服装)

姉はテーブルに置かれた紙に鉛筆で丸印を10個、横一列に並べて書いている。


女の人「この『丸』を端から順番に消していくんだけど、」

「お互い一度に消せる数は1個又は2個」

「最後の1個を消した方が負けだからね」

妹 「分かった。じゃあ、私から行くね」

〈妹は姉の左側に座り、丸印を2個、左側から線を引いて消す〉

女の人「じゃあ私は、右から1個ね」

妹 「それなら、私も1個」

女の人「今度は2個だね」

(丸印は左右から3個ずつ消され、真ん中に4個残っている)

妹 「あれっ?」

女の人「このルールだと、1個、4個、7個、10個になると負けが確定するの」

「つまり、3個が『一単位』になるって訳」

妹 「はい?」

母親 「お勉強ですか?」

女の人「お母さん、どうしよう」「これが戦いのヒントになるかも知れないのに」

母親 「あら、何時も見えている所が『答え』に結び付くとは限りませんよ?」

「ここは母さんに任せて、あなたは これから自分がすべき事を考えなさい」

女の人「はい、お母さん」

妹 「うー」


………次の日(10月1日)………

朝。洗面所から出る姉と、3メートル離れた所にいる制服姿の妹。


妹 「お姉ちゃん、おっはよう」

女の人「おはよう」

妹 「ふっふっふっ、もうお姉ちゃんは私のフィールドの中だからねっ」

「今日こそは勝つよ」

女の人「そう?」


廊下・壁・天井全体が少し光を帯び、妹自身も光に包まれる。

しかし姉は構える事もなく、妹に向かってゆっくりと歩き出す。


妹 「試そうとしたって無駄だよ、だって私のフィールドは・・」

〈妹は姉の胸元に光玉(ピンポン玉強)を次々に出現させるが全て光になって消滅〉

「何で!?」

〈姉は妹の前まで来ると、人差し指を妹の額に当てた〉

女の人「もう動けないでしょ?」

「今日私が作った『場』は逆属性だからね」

「相手の『場』を無効化する事だって、」

「相手を磁石のように引っ付ける事だって出来るんだよ?」

「それに、」

「技や能力にも『三竦み』の関係があるんだから、1つの技ばかりに頼らないのっ」

「分かった?」

〈姉が指を離すと、妹の硬直が解ける〉

妹 「うー。なんで何時もこうなるんだろう・・」


………ダイニングキッチン………

妹はトーストとジャム、姉は和食。キッチンでは母親が洗い物をしている。


女の人「ねえ、鈴音さんの事、聞いていい?」

妹 「いいけど」

「あの後 鈴音さんに電話したら、」

「土曜の午前中までは忙しいから、午後になったら会ってくれるって」

女の人「そう」

妹 「私、鈴音さんに直接会って、確かめたい事が いっぱいあるんだ」

女の人「じゃあ、勝たないとね。鈴音さんに」

妹 「・・・」

〈数分後〉

「ねえ、お姉ちゃん。聞きそびれちゃったけど、結婚式のお祝い、幾ら包んだの?」

女の人「3万円。披露宴の受付で渡しておいたよ」

「それと、オークションの絵が即決で2万円だった」

「ほら、スクラッチが当たった事があったでしょ?」

「そういう『流れ』なんだよ」

妹 「ふうん」


………土曜日:午前10時過ぎ:神楽の本部:応接室で会議中の8人………

朱雪 「被害状況の詳細が分かりました」

「『蹉跌』の全国平均はレベル1.5。東京だけ0.5で、他の地域は1~2です」

妹 「東京だけ低いのは、私達が頑張ったせいだよ・・ね?」

御影 「意図的にレベルが低い場所を作り、」

「人や物の流れを生み出すのが目的だと思います」

女の人「神代は私達の出方も全て計算(ずく)なんですよね」

「無効化に『補佑』を準備する時間も必要だし、」

「全ての反動を消すのも集めるのも難しい」

「それに、神代の一番の目的は何かって考えたら、」

「多分 人を分ける事だと思うんです」

「『蹉跌の風』の影響って、一般人と能力者とでは明らかに違うんでしょ?」

神楽 「まだ報告はありませんが、能力者の把握と選別を行い、」

「将来 神楽や霹靂神のメンバーになる者を無力化すると考えて良いでしょう」

角星 「神代は近年、物流にも深く係るようになり、」

「資金力の面でも我々を大きく上回ろうとしている」

「時間が経つほど人々の資産に対する管理能力が失われ、」

「神代を更に肥大化させるだろう」

風雅 「霹靂神では憂慮すべき事態として、長年蓄えた『補佑』を取り崩す決定をした」

「厳選した一般人を『操作』し、作戦開始まで住居に保管してもらう考えだ」

妹 「『補佑の風』を起こすんですよね。でも、やり方が強引じゃないですか?」

御影 「神代と同じように公共施設等に仕掛けるのでは時間が掛かり過ぎます」

「駅や百貨店等の人が集まる所で対象者の素性を読み取り、」

「その場の判断で『補佑』を持ち帰って貰います」

「短期間で拡散させれば、神代の妨害を最小限に抑えられるでしょう」

女の人「でも、何処に持つんですか?持ち物とかだと・・」

都筑 「そこで私の登場です」「私の『隠』を用いれば、体の中に入っても反応しません」

「これで万事解決です」

妹 「それで、何時ごろ実行できそうなんですか?」

神楽 「神楽でも『補佑』を用意する事になり、」

「下準備に1週間、配置に更に1週間掛かると予想しています」

妹 「2週間かぁ・・。私も『補佑』作るの手伝いますよっ」

神楽 「連鎖反応に必要なレベルは8以上です。貴女には少し早いのではありませんか?」

妹 「でも、私・・」

神楽 「はい。貴女の持っている特別な力が必要になりました」

「力を貸して頂けますか?」

妹 「はい。神楽さん」

〈30分後〉

女の人「ちょっと個人的な質問なんですけど、」

「オークションに出品される絵画や美術品なんかを、」

「神代から守ったりはしないんですか?」

「個人で戦うには限界があるし、組織には組織で対抗するしかないですよね」

角星 「担当者は居るが、目利きが不足していて限られたジャンルしか対応できない」

風雅 「その件に関しては、我々も対策を検討中だ。後で此方から連絡しよう」

妹 「そうだ、鈴音さん。鈴音さんに協力して貰おうよ」

全員 「・・・」

神楽 「出来そうですか?」

妹 「うーん。分かんない」


………午後1時過ぎ:玄関で靴を履く妹………

女の人「さっき帰ったばかりなのに、もう出掛けるの?」

妹 「本部の ご飯を食べたら、鈴音さんにも教えてあげたくなったの」

女の人「そう。いってらっしゃい」「鈴音さん、私にも紹介してね」

妹 「うん」


………午後2時:ビルの空室に妹が入る(第23話の場所、広さ70平米)………

鈴音 「いらっしゃい」

〈鈴音は窓辺から妹に向かって2メートル程歩く〉

妹 「あれっ、鈴音さん、その格好?」

鈴音 「ああ、これ?」

「私は自分の人生を賭けてるのっ」

「勿論、相手も それ相当の物を賭けるんだけどね」

妹 「建物のあちこちに『誘導』とか色々トラップがあったけど、もしかして?」

鈴音 「はい。みんな、私の(かて)になりました」

妹 「鈴音さん、私、聞きたい事が沢山あるんだけど・・」

鈴音 「いいですよ」

「あなたが納得しないと、私、奪えないから」



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