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神楽  作者: 黒紫
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第18話

第18話


<2章>


………2日後(8月31日)昼前:赤い車(走行中)………

神楽 「はい。今日は これでお仕舞いです」

「基本的な事は全てお話しましたので、」

「これからはご自身で自分に合った能力の使い方を考えてみて下さい」

姉妹 「ありがとうございました」

妹 「うーん。やっぱり腑に落ちないなぁ」

「何でお姉ちゃんに出来て、私に出来ないんだろう・・」

「昨日は御影さんからコツを教わったのに、何度やっても上手く行かないし」

女の人「まあまあ、焦らずゆっくりでもいいじゃない」

「出来るまで私が手伝ってあげるから、ねっ?」

妹 「うー」


………家の前………

姉妹 「神楽さん、さようなら」

神楽 「さようなら」

〈姉妹は赤い車を見送ると、玄関の戸を開け、中へ〉

妹 「お姉ちゃんは当分、私に追い付けないと思ったのになぁ」

「お姉ちゃん、何かしたの?」

女の人「ううん、これと言って何も」

「強いて言うなら、今まで勘違いしてたって事かな・・」

妹 「何それ」

女の人「いいからいいから。取り敢えず、お昼にしよっか」


………ダイニングキッチン:テーブルに向かい合って座りカレーライスを食べる姉妹………

妹 「私は明日(あした)から学校だけど、お姉ちゃんは9月中旬まで休みなんだよね」

女の人「そうだよ」

「それまで神楽さんと御影さんに みっちり仕込んで貰うから、」

「もう追い付けないかもね」

妹 「もぉ・・」

〈暫く雑談が続き〉

女の人「午後は博物館へ行くんだったよね」

妹 「うん」

「神楽さんに言われた通り、色んな所へ行って、色んな事を知ろうと思うんだぁ」

女の人「ふうん」「『歴史や考古学なんて全然興味ない』って言ってたのに、変わったね」

妹 「・・・」

女の人「それで、何処に行くか もう決めてるの?」

妹 「一応、『弥生時代』に関係してる所がいいと思うの」

「2000年前だとそうなるでしょ?」

「あっ、それから」「お姉ちゃん、解説は短めにね」


<別の時間:神代の御前>

巫女のような格好をした女性(背が高く35歳位、美人という程ではない)の前に、

男2人と女1人。


男A 「神代様、本日、首都圏からの移動が完了致しました」

「現在東京に残っている主力部隊は『鈴音(すずね)』だけです」

女 「昨日(さくじつ)、レベルBを達成致しました」

「あと30日でレベルAに移行できます」

男B 「霹靂神の御影が神楽に移籍、複数の地区で影響が出ております」

「如何致しましょうか?」

神代 「小さき事は()い」「同じ過ちは繰り返さぬ」

男女 「・・・」(男女3人は頭を下げ退出)


………午後2時:博物館に入る姉妹………

妹 「お姉ちゃんは博物館にもよく行くんでしょ?」

女の人「私はね、全ての『物』には物としての寿命があると思うんだ」

「物は人と接する事で寿命を縮め、その分 人に影響を与えてる」

「美術館や博物館は、」

「現代の人が過去の遺物を消化する為に建てた『レストラン』なんだよっ」

妹 「お姉ちゃん、相変わらずだね」


姉が入館料を払い、姉妹は順路に従って進む。

パネルには人々の生活様式が詳しく書かれ、土器や装飾品、甕棺(かめかん)等が展示されている。


妹 「弥生時代って、『稲作』って事でいいのかな?」

女の人「それでもいいと思うけど、」

「『時代』として区分されるだけの変化」

「つまり それだけ大きな争いがあったって事だよね」

妹 「それにしても、どうして『米』なんだろうね。麦や他の食べ物だってあるのに」

女の人「それは、『水』を多く使うからじゃないかな」

「私達、動物も含めて生物は『エネルギー』だけで動いてる訳じゃないよね」

「色んな物を選んで食べたいって思うのは、」

「エネルギーとは違う 別の物を必要としているからなんだよ」

妹 「それが水とどう関係してるの?」

女の人「『仮想水(かそうすい)』って知ってる?」

「輸出入された食物を生産するのに使われた水の量を計算したものなんだけど、」

「麦と米なら米の方が多くて、肉だったら鶏肉・豚肉・牛肉の順に多くなるの」

「これは、水の『媒体』としての性質を利用したもので、」

「これまでの人類の発展と大きく関係してる」

「勿論、米や牛肉ばかり食べるのが良いって言ってるんじゃなくて、」

「選べる所が良いんだよ」

妹 「ふーん」「お姉ちゃんの話は良く分からないけど、」

「お姉ちゃんが朝、ご飯を食べる理由は分かったよ」

「でもやっぱり私は、朝はパンかな」

女の人「それは自分で何が食べたいか分かってるって事だから、それでいいんじゃない?」


姉妹は部屋を出て、次のブロックへ。


………特設コーナー………

妹 「神楽さんだ」

(神楽は大きなパネルを見ている:パネルに『卑弥呼』の説明文)

〈姉妹は真っ直ぐ神楽の所まで行き〉

姉妹 「こんにちは」

神楽 「はい。こんにちは」

女の人「博物館にも現れるんですね」

神楽 「はい。『流れ』のある所に現れるのが私の役目ですから」

「宜しければ、これから私と一緒に館内を見て回りませんか?」

妹 「これは新展開の予感」

女の人「うん。きっとそうだよ」


………1時間後………

博物館の近くにある喫茶店。店内の中ほど。

神楽と妹の前にはアイスコーヒー、姉の前にはアイスティーが置かれている。


女の人「すると、私と妹が能力を使えるようになったのも、神楽さん達と出会ったのも、」

「全て『流れ』なんですか?」

神楽 「はい。『必然』や『偶然』とは異なるものですし、」

「機会や巡り合わせも『能力』の1つと考えられています」

「別の言い方をすれば、貴女方にその資格があるからこそ、」

「『流れ』を呼び込んだのでしょう」

妹 「私はてっきり、運命で私達が選ばれたんだと思ってたのに、違うんですか?」

神楽 「必然ならそうです。偶然なら他の誰かになっていたかも知れませんね・・」

「少し、意地悪でしょうか?」

女の人「それって『必然と偶然とは何か』を知っていれば、流れも分かるって事ですよね」

神楽 「はい」(神楽は嬉しそうな顔をする)

妹 「うーん。よく分からないけど、」

「これから先、私とお姉ちゃんが神代や霹靂神と戦わなきゃいけないって事?」

神楽 「それは、私が答える問題ではありませんよ」


………数分後………

妹 「ねえ、神楽さん」「私が御影さんを助ける時に使った力、」

「詳しく聞かなかったけど あれは何の力なんですか?」

「私、必殺技とか有ったほうが良いと思うんです」

神楽 「・・・」

「残念ながら今は お話できませんが、大変希少な力で名前も付いていないのです」

女の人「名前もですか?」

神楽 「はい。名前を知る事で、あたかも それが自分の物になったかのように錯覚する」

「人が持つには過ぎる力だと、その戒めとして名前で呼ばれないのです」

妹 「えっ、じゃあ私の力って・・」

女の人「だ・か・らぁ、焦っちゃダメだって」

神楽 「そうですね。話題を変えましょうか」

妹 「・・・」

「えーと、今日博物館で『卑弥呼』の事が書かれてあったよね」

「『邪馬台国』の場所は今も分からなくて、」

「関係ありそうな物が発見される度にニュースになったりしてるでしょ?」

「私はね、女の人が国を治めるのは凄く良いと思うんだ」

「これは私達日本人が日本に住んでるからそう思うのかも知れないけど、」

「憧れって言うか、惹かれるよね」

「お姉ちゃんもそう思うでしょ?」

女の人「うーん。私は・・」



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