表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/41

リリアの手紙

次から視点が変わりますと言ったのにすいません。

先にこれがあった方がいいと思ったので。

フィリオ様


考えがまとまらず何から書いたらいいのか分からないけれど、大切なことなのでまずはこのことから書こうと思います。


私はローレンヌ様を階段で突き飛ばしたりしていません。

あの時は発言する機会がなかったので言えませんでしたが、これは揺るぎない事実です。


私のことはどうだっていいのですが、私がそのようなことをしたという噂が広がれば、マーベル公爵家の評判を落とすことになるでしょう。

お父様もお母様もお兄様も、これまで私を大切にしてくださいました。

とてもとても大切な、かけがえのない人たちに迷惑をかけてしまうのは、耐えられないことなのです。

だからどうか、私の無実を証明する機会を与えて欲しいのです。


私は今日のお昼、フィリオ様に勧めていただいた通りに図書館に行きました。

休み時間に入ってすぐに移動したので、事件が起きたとされる15分くらいには図書館の中にいたのです。

席に着いてお弁当を食べ始めた頃だったろうと思います。

それから、早く本を読みたくて10分ほどで食べ終えて、貸出カウンターへ許可をもらいに行きました。

今日の貸出担当の当番は、ルシウス先生でした。

私が図書館に入ってから誰かとお話したのは、この時が初めてになります。

事件のだいたい10分後のことなので、これ自体は無実の証明にならないと思います。

でも、もしかしたらルシウス先生は当番だったので、私が図書館に来た時から見ていたかもしれません。聞いてみて欲しいのです。

その他にも私を見かけていた人がいるかもしれません。探して欲しいのです。

この調査はお兄様にお願いしました。

もしも身内がすることに批判意見が出る場合は、フィリオ様がどなたかを指名してください。

それから、このこともお伝えさせてください。

モニカ様は犯人が“黒く長い髪を靡かせて走っていた”と言っていましたが、私には不可能なことです。

私は今日、朝から三つ編みにしていたのです。

上の方を編み込みにしたミナの力作でした。

あれを解いて再度同じように結ぶことなど、私にはできません。

私以外に、黒く長い髪を靡かせて走った人物がいたのだと思います。

このような恐ろしいことを誰がやったのかなど私には想像できませんが、いたのだと思います。



フィリオ様がマーベル公爵家にお越しになった理由は、もちろん分かっています。

元々それほど遠くない未来に、婚約は解消されるものだったのですから、時期が早まっただけ。

お心のままに。


最後に一つだけ。

あの時、フィリオ様は私の言い分も聞いてくれるだろうと思っていました。

妹のように可愛がってもらっていたことで、いつの間にか思い上がっていたのかもしれませんね。

私はフィリオ様にとって、信頼に足る人間ではなかったのに…。

重く受け止めたいと思います。

この責任を取って、私は私という存在を消してしまうことに決めました。


フィリオ様と出会えて、共に過ごすことができて、私は本当に幸せでした。ありがとうございました。

どこか遠くから、フィリオ様の幸せを願っています。


さようなら。

次こそ視点が変わります。

毎日更新したいのですが、難しいかも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ