四人目 故人の千子陰府(せんじよみ)さん その2
記憶を操作する魔物との、何とも不思議な出会いです。
義人の夢の中にて。
魔物「フシュる~…ゥルルルルゥ……邪魔をするか…千子の者よ」
大きな羽根があり身の丈おおよそ5メートルはありそうな禍々しい魔物が空間を歪めながら現れた。
千子陰府「昔見たな…記憶を奪う厄介な奴か…こんな所に…異空間転移を使うのか…ずっと探していたが、今の今まで見つから無かったわけじゃ。いつからかわからぬが…この魔物に記憶を封じられていたようじゃな?義人殿。」
義人「記憶を封じられていたの?俺…(@_@',)???」
陰府「爺さんからなにも聞いてないようじゃな。ならばその記憶の封印を解こう。我ら一族の敵め…覚悟しろ!!!!」
魔物「あぁ…?ああ!千子の…沢山食ったなぁ……(ニヤリ)貴様も切り裂いて食ってやるわ!!!!」
義人「( ̄□ ̄;)!!!!!」
陰府「義人殿!ここは現世とあの世の挾間に有る世界。故に今まで見つから無かったが……今から儂がこの魔物を討ち滅ぼす。戦い方をよく見て、覚えておくんだ。」
義人「夢の中じゃないのこれ?!…?!うーん…わかりました。」
物凄い速度で四方八方に飛び回る魔物。
魔物「どうだ?貴様には目で捉えることも出来まい。」
陰府「…小癪な蝿じゃな…」
陰府は刀を両手で地面に突き刺し、眼を閉じ神経を研ぎ澄まし始めた。
陰府「雷刃……風雲霧…」
陰府の周囲10メートル位が…濃い霧に包まれ稲光を放っていた。
魔物「?!!!?!!!」
魔物は飛び回る速度のまま霧に突っ込んだかと思えば、派手に転がり落ち動きを止めた。
魔物「かっ…体が動かん…痺れて…」
「斬ッ!!!」
陰府が魔物の二枚羽を切り裂いた。切り口からは青黒い血液が勢いよく出てきた。
魔物「ぐっギィャァァァァァ!!!殺してやるぅ!!殺してやるぞぉ!!!!!」
「斬ッ!!!!!」
陰府の斬撃が魔物の両足を切り裂いた。青黒い血が辺り一面に広がる。
魔物「ギィャァァァァァ!!!ひっ…ひいぃぃぃゃぁぁっ!!!!!」
陰府「やっと悲鳴をあげたな魔物よ。これでもう逃げられん。洗いざらい吐いて貰うぞ!!何故この若者の記憶を奪った?…誰の差し金じゃ?言えば命だけは勘弁してやる。」
義人「ちょっ!…ちょっと待って、よみっちぃ(゜ロ゜;」
陰府「よ?!よみっち?!儂のことか??」
義人「その人に聞きたいことがあるねんけど…俺が聞いていい?まあ、職業柄ってやつ?介護士だから気になる部分が…」
陰府「…まあいいじゃろ。好きになさい。」
義人「名前は何て言うん?」
魔物「………フラクタル………」
義人「外国の方?(゜ロ゜;良い名前やな。いつ頃、その…俺の記憶?を奪ったん?」
フラクタル「お前が3歳頃だ…(ニヤリ)」
陰府「貴様…何をにやついておる…」
義人「待ってよみっち…まだ聞きたいことがある。今の今まで俺の…夢か?脳内か?はたまた狭間?にいたんだよね?何で直ぐに殺さなかったの?」
フラクタル「お前が変な奴だったからだ。楽しかったなあ、あの頃。」
義人「うーん…わからん(゜ロ゜;覚えてない。俺どんなことしてた??」
フラクタル「小さな虫をいっぱい捕まえていたぞ…ヒッヒヒヒヒ」
義人「たのしそうやん?それで?」
フラクタル「その小さな虫を使って色々実験していたぞ。引きちぎってた遊んでやがった。くっふふふハハハハハハ!!!」
義人「え?!え??ホントに?(゜ロ゜;…( →_→)(; ゜ ロ゜)」
フラクタル「ヒャッヒャッヒャッヒャッ…変な顔( ̄▽ ̄)」
義人「お、おめー…友達にならんか?」
フラクタル「ヒョッ!!おめー俺と契約結ぶってこと、意味わかってんの?」
義人「契約じゃないし。友達やし( ・∋・)」
フラクタル「お前友達いないんだろ?仕方ねーな、なってやるよ。」
義人「…お前こそおらんやろうが(o;д;)oずっと一人で、記憶の海に縛られたままで…出方も知らんと…命じられたわけでもないのに……約束やで、友達な。」
フラクタル「おう( ̄ー ̄)いつでも名前を呼べ。一緒に遊んでやる。その為の印を残しておく。じゃあな…」
フラクタルと言う巨大な魔物は、恐ろしいほどの殺気を消し去りスゥーッと消えていった。
義人「あれ?(゜ロ゜;よみっち?!??消えたね?」
陰府「はあ…もうよみっちで良いわい、こんなの見せられたらのう。」
陰府改めて以降『よみっち』とするw
義人「成仏したんかな?」
よみっち「聞いてなかったのか┐(-。ー;)┌印を残すと言っていたじゃろ?あれはな…完全服従しますと言う印じゃ…」
義人「あっ!!!!!!そうなんか(゜ロ゜;」
よみっち「大した大物じゃお主と言う奴は…( ̄▽ ̄;)まさかあの魔物を使役しよるとはのう…これこそが万感の力なのか………( ̄ー ̄)」
陰府さんと義人両方のやり方が有り、こんなやり方もあって良いかなと考えさせられる話になりました。それこそが万感の真骨頂かもしれませんね。