三人目 下半身麻痺の佐藤よし子さん その2
時代が戦国時代にまで遡り、飯田の能力のルーツを書きました。何でヘルパーをしながら、何故異形のこの世ならざるものに襲われ、それを倒すのか?ということに関わってくる重要なお話になります。
時は遡り…江戸時代
城主「頼む。どうしても必要なんじゃ。」
一族の長「…どうしても刀や槍などの武器を作れと仰るならお願いがあります。」
側近兵「貴様ぁ!!そのような戯言を!!!御前であるぞ。」
すっと鞘から刀を抜く音がする。
城主「良い…納めよ。」
側近兵「はっ…」
側近兵は刀を納めた。
城主「申してみよ。」
一族の長「…ありがとうございます…私達一族が武器を作らないわけがございます。それは…妖刀…が出来てしまうからです。妖刀とは、血を吸う生き物のようなもの…その切れ味たるや鬼神のごとし。まさに一騎当千、間違いなく周囲は血の荒野と化しましょう。」
城主「戦に血は付きもの。妖刀…大いに結構、それこそ我が兵に必要なもの。それさえあれば鬼に金棒ではないか?!」
一族の長「しかし、物事そう上手くはできてはいないのです。この妖刀…使う者によっては、自我を失い始め周囲の仲間にも危害を加え始めます。最悪仲間共倒れの危険もあります…それ故使う者は強靭な精神力を持つ…限られた者になります。」
城主「まさか…そんな…まやかしのような話信じると思うてか?武器を作りたくないからそのような世迷い言を…!」
一族の長「わかりました。百聞は一見にしかず、私めがこしらえました刀がごさいます。暫しお待ちを…」
そういうと一族の長は一本の刀を奥の蔵から持ちだした。
一族の長「この刀の名は、千子陰府………。」
城主「千子…何処かで聞いたような……」
一族の長は、ゆっくりと鞘から刀を抜くと、
「ザッ…ズギャッドォーーーーーッン!!!………」
雷が落ちたような轟音が鳴り響いた。
城主の目の前にある大人の背丈ほどある巨大な岩を一刀両断して見せた。
刀身は青白い炎がほとばしり、岩の断面は炭のように真っ黒に焼け焦げ溶けていた。
側近兵「な……何と…!!!」
側近兵は、ビックリしすぎて思わず腰を抜かして尻餅を突いた。
城主「なんと凄まじい切れ味!!!…そなた名は何と申すのか?」
一族の長「この刀と同じ、千子陰府と申します(ニヤリ)」以後、陰府
(かげくら)
城主「?!…思い出した。影蔵の一族か!!噂には聞いていたが…そなたがそうなのか!!!」
陰府「左様でございます…先程のお願いですが、この村の者を鍛冶職人として雇い入れて貰えないでしょうか?」
城主「こんな刀を見せられて断るやつなどいるのか?そなたの思う有能な鍛冶職人全て雇い入れるぞ。」
陰府「有り難き幸せ…(ニヤリ)あっ?!城主様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
城主「ふっ…失敬な…食えぬ奴め(ニヤリ)徳川家康である。」
後の征夷大将軍である。
それ以降、影蔵の一族は、全国各地に鍛冶職人として密かに武器や防具を造り暗躍するのだが、その話はまだ先になる。
その3へ続く
江戸時代が好きで、話に絡めることができて嬉しいです。後々重要なことに絡んでくる物語。次は佐藤嘉子さん編最後になります。宜しくお願いします。